双極性障害で障害年金の審査に通ることは難しいのでしょうか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
-
私は双極性障害と診断されています。
障害年金の審査が厳しくなっていると聞きました。
双極性障害で審査に通ることは難しいのでしょうか?
双極性障害は障害年金の対象ですので、要件を満たせば受給することは可能です。
実際に双極性障害で障害年金を受給している方はたくさんおられます。
障害年金の審査が厳しくなっているのか、について
令和7年3月13日に共同通信から、「障害年金、不支給が増加か 24年、精神・発達は2倍」との記事が出ました。
参照:【独自】障害年金、不支給が増加か 24年、精神・発達は2倍
また、令和7年4月28日には共同通信社から「【独自】障害年金、不支給が倍増3万人に 24年度、幹部交代で厳格化か」との記事が出ました。
参照:【独自】障害年金、不支給が倍増3万人に 24年度、幹部交代で厳格化か
記事要約
障害年金を申請して2024年度に不支給と判定された人が、23年度の2倍以上に急増し約3万人に上る。これは、2019年度以降で最多であり、割合も前年度の約2倍に増える見通し。
判定基準の変更はなく、急増の要因について年金機構の複数の関係者は担当部署のトップが厳しい考え方の人間に代わったことを指摘している。
さらに、令和7年5月7日には共同通信から「厚労相、障害年金不支給急増巡り調査指示」との記事が出ました。
現段階では「調査指示」とのことですので、今度どのような動きとなっていくか、注視しなければなりません。
しかし、今まさに双極性障害で苦しんでおられる方が、この後の動きを待っていることはできないでしょう。
以下で障害年金の請求手続きについて詳しくみていきましょう。
障害年金の種類について
障害年金には、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。
種類 対象となる人 障害基礎年金 「初診日」に国民年金に加入していた人 障害厚生年金 「初診日」が厚生年金保険加入中にある人 ※「初診日」とは、「病気やけがについて初めて医師の診療を受けた日」を指します
自営業者、フリーランス、専業主婦、無職の方は、障害基礎年金の対象となります。
障害の状態の前に、請求の条件を確認しましょう
障害年金を請求するためには以下の要件を満たしていることが前提となります。
- 初診日要件…原則として初診日に公的年金に加入していること
- 保険料納付要件…原則として保険料を、ある程度納付または免除をしていること
初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されていること。
または、初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと。
なお、20歳前の公的年金未加入期間に初診日がある方は、保険料納付要件は問われません。
このふたつの要件を満たしていれば、障害年金を請求することができ、障害の状態が基準に該当しているかどうか、審査を受けることができます。
審査の結果、基準に該当すると判断されれば、障害年金を受給することができます。
では、どのような状態なら双極性障害で障害年金を受給できるか、みていきましょう。
どのような状態なら障害年金を受給できるか
障害年金では、ケガや病気の程度に応じて等級が設定されています。
▼障害基礎年金
1級と2級▼障害厚生年金
1級、2級、3級障害が重い順に、1級、2級、3級となります。
1級、2級、3級の状態は、以下の通りとなっています。
障害年金の等級 障害の状態 3級
※障害厚生年金のみ労働に著しい制限があるもの 2級 日常生活に著しい制限があるもの 1級 他人の介助がなければほとんど自分の用事を済ませることができないもの ※人格障害は、原則として認定の対象とされていません。
※神経症は、原則として認定の対象とされていません。例外はこちら。
障害年金の受給額は以下の通りです。
障害等級 障害基礎年金 障害厚生年金 1級 年1,039,625円 年1,039,625円+報酬比例の年金額×1.25 2級 年831,700円 年831,700円+報酬比例の年金額 3級 ― 報酬比例の年金額(最低保障額623,800円) 障害年金だけで悠々自適ではありませんが、受給できれば、日常生活に大きな助けとなるでしょう。
それでは、障害年金の審査について詳しくみていきましょう。
令和7年5月8日現在、この審査の段階で恣意的な判断がなされているのではないか、との指摘がなされ、厚生労働大臣から調査指示が出ています。
障害年金の審査について
障害年金の審査に、面接はありません。
すべて書類で審査されます。
そのため、書類だけで「日常生活にどのような制限を受けているのか」「働いているならどんな風に働いているのか」を審査機関に分かるように作成しなければなりません。
本当は障害年金を受給できる状態なのに、書類が不十分だからといって不支給になるのは残念なことです。
障害の状態の審査には、主に「診断書」と「病歴・就労状況等申立書」が使用されます。
診断書について
障害年金を請求するための診断書は、治療のための医学的な診断書ではなく、生活に必要な所得保障のための社会医学的な診断書です。
そのため、病気やけがなどによって日常生活にどれくらい影響を及ぼしているかがわかるように作成いただくことが大切です。
自分一人でお医者様に伝えることが難しい場合は、お医者様に伝えるべきポイントを整理するようサポート致しますのでお問い合わせください。
病歴・就労状況等申立書について
これは、「発病から現在までの病状・治療の流れ」「日常生活の様子」を記述し、あなたの症状や生活状況が、障害年金の基準を満たすことを申し立てるものです。
適切な「病歴・就労状況等申立書」を作るために必要なことは以下の2点です。
- 自分自身の状況を客観的に把握すること
- 把握した内容を、審査機関に伝わるようにわかりやすく記述すること
ただでさえ障害を抱えて大変な状況なのに、時間と精神的・体力的な負担がかかる作業になるおそれがあります。
私にご相談いただければ、代筆いたします。
障害年金を受給するために
障害年金の申請は、国民年金法・厚生年金法や認定基準等をご存じない方がひとりで対応するには限界があります。
ご自分の生活がかかった大切なことなので、専門家である社労士に知識・経験を求めるのが最善の選択です。
「事務手数料の2万円を支払うのが惜しくて、とりあえず自分でやってみたけど不支給だった。なんとかしてください」というご相談をいただくケースがあります。
当然その時点からできる限りのサポートをさせていただくのですが、事後重症請求の方の場合、1か月請求が遅くなれば、障害基礎年金2級なら毎月約6万5千円ずつ捨てていくことになります。
最初にかかる2万円の事務手数料を惜しんだばかりに、障害年金の受け取りが数か月遅くなっては本末転倒です。
一人でわけも分からず不安いっぱいで戦うのではなく、あなたの代理人となって受給に向けて取り組んでくれる専門家である社労士を味方につけてください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
双極性障害1型に関するその他のQ&A
- 双極性障害で障害年金の審査に通ることは難しいのでしょうか?
- 私は双極性障害と診断されています。障害年金の審査が厳しくなっていると聞きました。双極性障害で審査に通ることは難しいのでしょうか?
- 双極性障害は一生治らないと言われているので、障害基礎年金は永久認定にならないでしょうか?
- 私は5年前から双極性障害のため障害基礎年金を請求しようと思っています。障害年金は更新制と聞いたのですが、医師からは、「双極性障害は一生治らない、一生服薬しなければならない」と言われているので、そのことを診断書に書いてもらったら永久認定にならないでしょうか?
- 1年くらい正社員になったことがあるので、障害厚生年金の請求ができるのでしょうか。
- 私は中学生の時から不登校で、15歳の時に適応障害と診断されました。それから少し調子が良くなったので、高校には行かずアルバイトをして、そのまま正社員になりました。しかしまた調子が悪り、双極性障害と診断されたので、18歳の時に正社員を辞めました。現在19歳で無職です。私の場合、1年くらい正社員になったことがあるので、障害厚生年金の請求ができるのでしょうか。
- 半身不随で障害基礎年金2級を受給していますが、双極性障害でも障害基礎年金2級が受給できるでしょうか。
- 私は10年前に離婚したことがきっかけで自暴自棄となり、マンションのベランダから飛び降りて自殺未遂をはかりました。幸い命は助かりましたが、半身不随となり、その時から障害基礎年金2級を受給しています。精神科にもその時から通院をしていて、始めはうつ病の診断でしたが、症状の波がひどく、現在は双極性障害と診断されています。最近はうつの症状がひどくて、ひきこもりの状態が続いています。この場合、双極性障害でも障害基礎年金2級が受給できるでしょうか。
- 今の病院が初診ということで障害厚生年金を申請しても大丈夫ですか?
- 私は現在45歳で双極性障害と診断されています。今の病院に初めて受診したのは2年くらい前ですが、ここ最近10年くらいは厚生年金に入っているので、保険料納付要件は満たしていると思います。その前にもいくつか精神科を受診していますが、ほとんど通院していないところばかりですし、本当に最初に精神科を受診したのは20年以上前で、その時は双極性障害ではなくパニック障害でした。この場合、今の病院が初診ということで障害厚生年金を申請しても大丈夫ですか?