2型糖尿病は障害年金がもらえないのでしょうか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
-
私は30代の頃から2型糖尿病と診断されています。
ネットで見たのですが、1型糖尿病には障害年金が出るが、2型糖尿病には出ないとありました。
これが本当なら、私は障害年金はもらえないのでしょうか?
1型糖尿病には障害年金が出るが2型糖尿病には出ない、ということはありません。
障害年金の認定基準に1型、2型に違いはなく、いずれの糖尿病も障害年金の対象となっています。
障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金です。
障害年金には、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。
種類 対象となる人 障害基礎年金 「初診日」に国民年金に加入していた人 障害厚生年金 「初診日」が厚生年金保険加入中にある人 ※「初診日」とは、「病気やけがについて初めて医師の診療を受けた日」を指します
自営業者、フリーランス、専業主婦、無職の方は、障害基礎年金の対象となります。
障害の状態の前に、請求の条件を確認しましょう
障害年金を請求するためには以下の要件を満たしていることが前提となります。
- 初診日要件…原則として初診日に公的年金に加入していること
- 保険料納付要件…原則として保険料を、ある程度納付または免除をしていること
初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されていること。
または、初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと。
なお、20歳前の公的年金未加入期間に初診日がある方は、保険料納付要件は問われません。
このふたつの要件を満たしていれば、障害年金を請求することができ、障害の状態が基準に該当しているかどうか、審査を受けることができます。
審査の結果、基準に該当すると判断されれば、障害年金を受給することができます。
では、糖尿病での障害年金の請求について、詳しくみていきましょう。
どのような状態なら障害年金を受給できるか
障害年金では、ケガや病気の程度に応じて等級が設定されています。
▼障害基礎年金
1級と2級▼障害厚生年金
1級、2級、3級障害が重い順に、1級、2級、3級となります。
糖尿病については、以下の1から3のすべてを満たすものを血糖コントールが困難なものとして、障害等級の3級と認定されます。
1
検査日より前に、90日以上継続して必要なインスリン治療を行っていること
2
次のいずれかに該当すること
- 内因性のインスリン分泌が枯渇している状態で、空腹時または随時の血清Cペプチド値が0.3ng/mL未満を示すもの
- 意識障害により自己回復できない重症低血糖の所見が平均して月1回以上あるもの
- インスリン治療中に糖尿病ケトアシドーシスまたは高血糖高浸透圧症候群による入院が年1回以上あるもの
3
次のいずれかに該当すること
- 軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの 例えば、軽い家事、事務など
- 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
※内因性のインスリン分泌…自分自身の膵臓から分泌されるインスリンのことです。
なお、症状、検査成績及び具体的な日常生活状況等によっては、さらに上位等級に認定される可能性は考えられます。
障害年金の受給額は以下の通りです。
障害等級 障害基礎年金 障害厚生年金 1級 年1,039,625円 年1,039,625円+報酬比例の年金額×1.25 2級 年831,700円 年831,700円+報酬比例の年金額 3級 ― 報酬比例の年金額(最低保障額623,800円) 障害年金だけで悠々自適ではありませんが、受給できれば、日常生活に大きな助けとなるでしょう。
糖尿病で状態は悪いのに障害年金を受給できない場合
上記の通り、糖尿病の認定基準は3級までしか設けられていません。
3級は障害厚生年金にしかない等級ですので、「初診日」の時点で厚生年金に加入していない場合は、認定を得るハードルが高くなっています。
「糖尿病ですごく状態は悪いのに障害年金を受給できなかった」と弊所に相談に見える方が度々おられます。
「初診日の証明」が何より重要!
初診日の証明書(受診状況等証明書といいます)は、原則として、カルテに基づいて作成していただきます。カルテの保存期間は法律上5年間ですので、初診日に受診した医療機関にいかなくなってから5年以上経っている場合はカルテが破棄されていることがあります。
医療機関によっては5年より長い保存時間を定めているところもありますので、まずは連絡して確認しましょう。
初診日を確定できないと、
- 障害基礎年金の請求か、障害厚生年金の請求か。
- 保険料納付要件を満たしているか。
- 障害認定日はいつか。
を決めることができません。
これは、どんなに現在の障害の状態が重くても、障害年金の請求手続きすべてが止まってしまうことを意味します。
自分ひとりでは初診日が分からない、確定できないという方はご相談ください。
初診日の確定のために探偵のようになります。
また、糖尿病の場合は受診状況等証明書の他に、「初診日に関する調査票」も提出する必要があります。
初診日の証明については、それだけ厳格さが求められます。
初診日の証明についてご不安な方は、以下からお問い合わせください。
それでは手続きの流れを確認しましょう。
障害年金の請求手続きの流れ
「障害年金を請求しよう!」と思ってから請求までの大まかな流れは以下の通りとなります。
- 初診日はいつだったかを確認する
- 保険料納付要件を満たしているかを確認する
- 初診日を証明する
- 医師に診断書を書いていただく
- 病歴・就労状況等申立書を作成する
- その他の必要な書類を添付する
- 年金請求書とともに揃えた書類を提出する
障害年金の審査について
障害年金の審査に、面接はありません。
すべて書類で審査されます。
そのため、書類だけで「日常生活にどのような制限を受けているのか」「働いているならどんな風に働いているのか」を審査機関に分かるように作成しなければなりません。
本当は障害年金を受給できる状態なのに、書類が不十分だからといって不支給になるのは残念なことです。
障害の状態の審査には、主に「診断書」と「病歴・就労状況等申立書」が使用されます。
診断書について
病歴・就労状況等申立書について
これは、「発病から現在までの病状・治療の流れ」「日常生活の様子」を記述し、あなたの症状や生活状況が、障害年金の基準を満たすことを申し立てるものです。
適切な「病歴・就労状況等申立書」を作るために必要なことは以下の2点です。
- 自分自身の状況を客観的に把握すること
- 把握した内容を、審査機関に伝わるようにわかりやすく記述すること
ただでさえ障害を抱えて大変な状況なのに、時間と精神的・体力的な負担がかかる作業になるおそれがあります。
私にご相談いただければ、代筆いたします。
障害年金を受給するために
障害年金の申請は、国民年金法・厚生年金法や認定基準等をご存じない方がひとりで対応するには限界があります。
ご自分の生活がかかった大切なことなので、専門家である社労士に知識・経験を求めるのが最善の選択です。
「事務手数料の2万円を支払うのが惜しくて、とりあえず自分でやってみたけど不支給だった。なんとかしてください」というご相談をいただくケースがあります。
当然その時点からできる限りのサポートをさせていただくのですが、事後重症請求の方の場合、1か月請求が遅くなれば、障害基礎年金2級なら毎月約6万5千円ずつ捨てていくことになります。
最初にかかる2万円の事務手数料を惜しんだばかりに、障害年金の受け取りが数か月遅くなっては本末転倒です。
一人でわけも分からず不安いっぱいで戦うのではなく、あなたの代理人となって受給に向けて取り組んでくれる専門家である社労士を味方につけてください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
2型糖尿病に関するその他のQ&A
- 障害厚生年金ではなく老齢厚生年金の請求をしたほうが得になるのでしょうか。
- 私は10年前から糖尿病を患っております。障害厚生年金の対象になるとは知らず、請求手続きなどはしていませんでした。64歳で退職し、まもなく65歳になるため、老齢厚生年金の請求のために年金事務所を訪れた時に障害厚生年金のことを知りました。老齢厚生年金と障害厚生年金のどちらも請求はできるが、老齢厚生年金のほうが得になると言われました。詳しいことがわからないのですが、私の場合、障害厚生年金ではなく老齢厚生年金の請求をしたほうが得になるのでしょうか。
- 現在老齢厚生年金を受給しておりますが、糖尿病で障害厚生年金3級を受給することは可能でしょうか。
- 私は40歳の時から糖尿病の治療を続けています。当時は夫の厚生年金の扶養に入っていました。最近になり障害厚生年金3級がもらえることを知りました。現在62歳で、少額ですが老齢厚生年金を受給しております。このような状況で障害厚生年金3級をいただくことはできるでしょうか。
- うつ病と糖尿病がある場合は、両方の障害で障害年金を申請をするのでしょうか?
- 私は30歳の時からうつ病を発症し、通院をしています。34歳の時に糖尿病と診断され、当初は重度でしたが、今はインスリン注射で落ち着いています。無職で収入がないので障害年金が受給できればと思っているのですが、うつ病と糖尿病がある場合は、両方の障害で申請をするのでしょうか?
- 糖尿病で障害厚生年金の遡及請求はできるでしょうか?
- 私は15年前に1型糖尿病と診断され、その時は仕事をしており厚生年金でした。障害厚生年金3級が受給できると聞き、申請を考えています。15年前の病院に問い合わせると、カルテがまだ残っているとのことでした。その病院には3年くらい通っていたので、これは遡及請求ができるということでしょうか?
- 2型糖尿病とネフローゼ症候群では障害年金はもらえないのでしょうか?
- 私は45歳男性です。昨年、2型糖尿病とネフローゼ症候群と診断されました。体中が痛くて、自営業の店の仕事が全くできません。治療費も毎月高額で大変で、精神的にも辛い状況です。主治医に障害年金の申請はできないかと聞きましたが、人工透析をしていないので無理だと言われました。2型糖尿病とネフローゼ症候群では障害年金はもらえないのでしょうか?