障害厚生年金ではなく老齢厚生年金の請求をしたほうが得になるのでしょうか。

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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私は10年前から糖尿病を患っております。
障害厚生年金の対象になるとは知らず、請求手続きなどはしていませんでした。
64歳で退職し、まもなく65歳になるため、老齢厚生年金の請求のために年金事務所を訪れた時に障害厚生年金のことを知りました。
老齢厚生年金と障害厚生年金のどちらも請求はできるが、老齢厚生年金のほうが得になると言われました。
詳しいことがわからないのですが、私の場合、障害厚生年金ではなく老齢厚生年金の請求をしたほうが得になるのでしょうか。
ご質問者様の場合、障害厚生年金の「遡及請求」が可能で、認定が得られる可能性が考えられるのであれば、障害厚生年金の請求をする方が有利になります。
ただし、遡及請求ができない、もしくは認定が得られる可能性が低い場合は、老齢厚生年金の方が有利になることが考えられます。
遡及請求(さかのぼって請求すること)とは
遡及請求とは、障害認定日に障害等級に該当しているが、知らなかったなどの理由で、障害認定日から1年以上経過して請求するものです。
障害認定日とは
障害の程度の認定を行うべき日をいい、原則として、
- 初診日から起算して1年6月を経過した日
- 傷病が治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)
のいずれか早い日となります。
糖尿病のために初めて医療機関を受診した日が10年前であれば、初診日から1年6か月経過した日が障害認定日になります。
障害認定日時点のカルテが残っていて、診断書の取得が可能であれば、遡及請求は可能でしょう。
そして、その診断書から、当時の検査成績や日常生活状況等が次の認定基準に該当する程度であれば、当時にさかのぼって障害厚生年金の受給権が発生します。
そのため、遡及請求が可能で、認定が得られる可能性が考えられるのであれば、障害厚生年金の請求をする方が有利になります。
糖尿病の認定基準
糖尿病については、必要なインスリン治療を行ってもなお血糖のコントロールが困難なもので、以下のすべてを満たすものについて、3級に認定されます。
- 90日以上のインスリン治療を行っている
- Cペプチド値、重症低血糖、糖尿病ケトアシドーシス、高血糖高浸透圧症候群のいずれかが一定の程度
- 日常生活の制限が一定の程度
※症状、検査成績及び具体的な日常生活状況等によっては、さらに上位等級に認定される可能性は考えられます。
ただし、ご質問内容から、障害認定日は5年以上前になることが拝察されるため、当時のカルテが残っていない場合は診断書を取得することが困難となり、遡及請求をすることも困難になります。
また診断書を取得することができても、検査成績が認定基準に満たない場合や、必要な検査自体を行っていない場合は、認定を得ることが困難になります。
これらを踏まえ、障害厚生年金の遡及請求についてご検討されるとよいでしょう。
なお、遡及請求が困難な場合は、事後重症請求になります。
事後重症請求とは
障害認定日に、障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなかった場合でも、その後、状態が悪化し、障害等級に該当する障害の状態となった場合、65歳に達する日の前日までに裁定請求をすることができます。
ご質問者様の場合、事後重症請求で障害厚生年金3級が認定されたとしても、同時に老齢厚生年金の受給権が得られた場合は、どちらか有利な方を選択しなければなりません。
厚生年金の加入期間等から、おそらく老齢厚生年金の方が得になるでしょう。
以上のことを参考にしていただき、障害厚生年金の遡及請求をするか老齢厚生年金の請求をするかご検討されてはいかがでしょうか。
障害年金の申請について
ご自身で書類をしっかり準備したつもりが、症状に合った等級が認められないケースや、不支給となるケースが見受けられます。
このようなことを防ぐためには専門知識が必要となりますが、そうなると社労士に相談するか関連書籍を参照しなければなりません。
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このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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