夫が脳梗塞になりました。何か経済的な支えになるサービスはないでしょうか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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夫が脳梗塞になりました。
体に後遺症は残ると医師に言われています。
今は傷病手当金を受給していますが、今後経済的に不安です。
何か経済的な支えになるサービスはないでしょうか?
脳梗塞による後遺症で現在、傷病手当金を受給されているとのことですので、現在は働くことができない状態であると拝察いたします。
傷病手当金の支給期間は、通算して1年6か月となります。
それ以降は、傷病手当金の受給をすることができませんので、障害年金の請求をご検討ください。
脳梗塞の後遺症は、障害年金の認定の対象とされているので基準を満たせば受給できます。
脳梗塞の後遺症で障害年金を請求できる時期
障害年金は障害認定日が到来すれば請求することができます。
障害認定日とは「障害の程度の認定を行うべき日」をいい、脳血管疾患による障害の場合、障害認定日は以下ののいずれか「早い方の日」となります。
- 初診日から6か月経過後の症状固定日
- 初診日から1年6か月を経過した日
次に、障害年金いくらもらえるか、確認します。
障害年金の支給額
67歳以下の方(S31.4.2以後生まれ)の年金額です。
▼障害基礎年金1級 1,039,625円
+子の加算額2級 831,700円
+子の加算額▼障害厚生年金1級 障害基礎年金1級(1,039,625円 + 子の加算額)
+報酬比例の年金額×1.25
+配偶者の加給年金額2級 障害基礎年金2級(831,700円 + 子の加算額)
+報酬比例の年金額
+配偶者の加給年金額3級 報酬比例の年金額
※最低でも623,800円が保証されます障害手当金 報酬比例の年金額×2
※最低でも1,247,600円が保証されます※報酬比例の年金額は、加入年数や給料の額などが反映されます。
▼子の加算額2人まで 1人につき239,300円 3人目以降 1人につき79,800円 ※生計を維持されている子がいる時に加算されます。
なお、生計を維持されている子とは、18歳になった後の最初の3月31日までの子、または20歳未満で障害等級1級または2級の状態にある子です。
▼配偶者の加給年金額
239,300円※生計を維持されている65歳未満の配偶者がいる時に加算されます。
▼年金生活者支援給付金障害年金の等級 給付額 1級 月6,813円 2級 月5,450円 傷病手当金よりも少ないかもしれませんが、障害年金を受給することができれば大きな助けとなるでしょう。
では、障害年金の請求について、詳しくみていきましょう。
障害年金の種類
障害年金には、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。
種類 対象となる人 障害基礎年金 「初診日」に国民年金に加入していた人 障害厚生年金 「初診日」が厚生年金保険加入中にある人 ※「初診日」とは、「病気やけがについて初めて医師の診療を受けた日」を指します
自営業者、フリーランス、専業主婦、無職の方は、障害基礎年金の対象となります。
障害の状態の前に、請求の条件を確認しましょう
障害年金を請求するためには以下の要件を満たしていることが前提となります。
- 初診日要件…原則として初診日に公的年金に加入していること
- 保険料納付要件…原則として保険料を、ある程度納付または免除をしていること
初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されていること。
または、初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと。
なお、20歳前の公的年金未加入期間に初診日がある方は、保険料納付要件は問われません。
このふたつの要件を満たしていれば、障害年金を請求することができ、障害の状態が基準に該当しているかどうか、審査を受けることができます。
審査の結果、基準に該当すると判断されれば、障害年金を受給することができます。
では、どのような状態なら障害年金を受給できるか確認しましょう。
どのような状態なら障害年金を受給できるか
障害年金では、ケガや病気の程度に応じて等級が設定されています。
▼障害基礎年金
1級と2級▼障害厚生年金
1級、2級、3級障害が重い順に、1級、2級、3級となります。
1級、2級、3級の状態は、以下の通りとなっています。
障害年金においては上記の等級に該当するかどうかを、「日常生活における動作」を中心に審査され、具体的には以下に該当するかどうかを判断されます。
障害の程度
障害の状態
1級
1. 一上肢及び一下肢の用を全く廃したもの
2. 四肢の機能に相当程度の障害を残すもの
2級
1. 一上肢及び一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの
2. 四肢に機能障害を残すもの
3級
一上肢及び一下肢に機能障害を残すもの
※上肢と下肢の障害の状態が相違する場合には、障害の重い肢で障害の程度を判断し、認定されます。
- 一上肢とは…右か左の腕
- 一下肢とは…右か左の足
- 四肢とは…両腕両足
- 「用を全く廃したもの」とは…日常生活における動作のすべてが「一人で全くできない場合」又はこれに近い状態をいいます。
- 「機能に相当程度の障害を残すもの」とは…日常生活における動作の多くが「一人で全くできない場合」又は日常生活における動作のほとんどが「一人でできるが非常に不自由な場合」をいいます。
- 「機能障害を残すもの」とは…日常生活における動作の一部が「一人で全くできない場合」又はほとんどが「一人でできてもやや不自由な場合」をいいます。
具体的にどのような項目を審査されるのか、以下で確認しましょう。
「日常生活における動作」の評価項目
日常生活における動作と身体機能との関連は、厳密に区別することができませんが、おおむね次のとおりです。
ア.手指の機能
(ア)つまむ(新聞紙が引き抜けない程度)
(イ)握る(丸めた週刊誌が引き抜けない程度)
(ウ)タオルを絞る(水をきれる程度)
(エ)ひもを結ぶ
イ.上肢の機能
(ア)さじで食事をする
(イ)顔を洗う(顔に手のひらをつける)
(ウ)用便の処置をする(ズボンの前のところに手をやる)
(エ)用便の処置をする(尻のところに手をやる)
(オ)上衣の着脱(かぶりシャツを着て脱ぐ)
(カ)上衣の着脱(ワイシャツを着てボタンをとめる)
ウ.下肢の機能
(ア)片足で立つ
(イ)歩く(屋内)
(ウ)歩く(屋外)
(エ)立ち上がる
(オ)階段を上る
(カ)階段を下りる
※補助用具を使わないでどの程度の状態なのかを判断されます。
肢体の機能の障害の総合的な認定について
肢体の障害については上記「日常生活における動作」だけでなく、以下も考慮され、総合的に認定されます。
- 関節可動域
- 筋力
- 巧緻性
- 速さ
- 耐久性
なお、他動可動域による評価が適切ではないもの(例えば、末梢神経損傷を原因として関節を可動させる筋が弛緩性の麻痺となっているもの)については、以下を考慮され、総合的に認定されます。
- 筋力
- 巧緻性
- 速さ
- 耐久性
他動可動域…関節の可動域について、検査者が腕や足を持って動かそうとします。それで動く範囲が可動域となります。
関節を誰かが押したり引いたりしても動かなくなる傷病なら、他動可動域で障害の状態を判断するのが適切です。
しかし、脳出血や脳梗塞の後遺症のような、脳からの運動信号がうまく伝達しないため思うように動かせないような傷病を想像してください。
こういった傷病は誰かが関節を押したり引いたりしたらちゃんと動きます。
他動可動域のみで判断すると、「障害ではない」になります。
しかし、実際は以下のような状態です。
- 靴下を履くだけで15分かかる(速さ)
- うまく食べ物を口に運べない(巧緻性)
- 歩けるけどゆっくりと10メートルだけ(速さと耐久性)
こうした方も「他動可動域が正常だから障害ではない」ではなく、違う角度から審査して障害の状態を見極める必要がある、実際の日常生活における実用性もきちんと判断材料にしましょう、という趣旨です。
以下に脳梗塞で障害年金を受給できた事例を紹介しておりますので、クリックしてご参照ください。
障害年金を受給するために
障害年金の申請は、国民年金法・厚生年金法や認定基準等をご存じない方がひとりで対応するには限界があります。
ご自分の生活がかかった大切なことなので、専門家である社労士に知識・経験を求めるのが最善の選択です。
「事務手数料の2万円を支払うのが惜しくて、とりあえず自分でやってみたけど不支給だった。なんとかしてください」というご相談をいただくケースがあります。
当然その時点からできる限りのサポートをさせていただくのですが、事後重症請求の方の場合、1か月請求が遅くなれば、障害基礎年金2級なら毎月約6万5千円ずつ捨てていくことになります。
最初にかかる2万円の事務手数料を惜しんだばかりに、障害年金の受け取りが数か月遅くなっては本末転倒です。
一人でわけも分からず不安いっぱいで戦うのではなく、あなたの代理人となって受給に向けて取り組んでくれる専門家である社労士を味方につけてください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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- 兄(50歳)が1年前に脳梗塞で倒れました。初めの頃は体もほとんど動かすことができず、意識もはっきりせず、言葉も出にくい状態でした。徐々に意識が回復し、リハビリで体も動くようになり、話もできるようにもなりました。現在はすっかり元気になり、自営業(青果店)の仕事も再開し、麻痺もほとんどわからないくらいまで回復しています。今の状態では障害基礎年金はもらえないと言われたのですが、初めの頃は本当に大変で、仕事もできなかったので収入もありませんでした。今から初診日にさかのぼって障害基礎年金をもらうことはできますか?
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- 私は2年前の脳梗塞の後遺症で、下肢の障害があります。身体障害者手帳は5級です。今から障害厚生年金の申請を検討しており、肢体の診断書が必要なのですが、今のクリニックは小さい所なので、測定する時間が取れないので検査数値が書けないと言われました。前にリハビリを受けていた病院に聞くと、測定はしてくれるようですが診断書は今の主治医に頼んでくださいとのことでした。別の病院で測定したものを、今の主治医に診断書に書いてもらって申請してよいのでしょうか。
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