難病の強直性脊椎炎は障害年金はもらえるんですか??

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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難病の強直性脊椎炎は障害年金はもらえるんですか??
父がもう十年以上この病気にかかっていて、
今まで何も知らずに、まもなく老齢年金の支給が始まろうとしています。
今からでも請求すれば遡ってもらえますか??
本回答は2018年1月時点のものです。
障害年金は、難病と診断されたら支給される、というものではありません。
障害年金は、支給要件を満たすことができれば支給されます。
障害年金の支給要件は、以下の通りです。
「初診日要件」
障害の原因となった病気やケガを医者か歯科医師に診てもらった日は、
国民年金と厚生年金のどちらに加入していたか、
その加入していた制度によって、もらえる年金の種類が決まります。
「保険料納付要件」
初診日の前日において以下の1または2を満たしている必要があります。
- 初診日の属する月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
- 初診日において65歳未満であり、初診日の属する月の前々月までの直近1年間に保険料の未納期間がないこと
※20歳前に初診日がある場合は、保険料納付要件は問われません。
「障害認定日要件」
障害認定日において、一定以上の障害状態にあるかどうかで判断されます。
※障害認定日とは、障害の程度の認定を行うべき日をいい、原則として、
- 初診日から起算して1年6月を経過した日
- 傷病が治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)
のいずれか早い日となります。
強直性脊椎炎は、脊椎や骨盤の炎症が主体となる疾患で、
股関節や膝関節などの疼痛、全身のこわばりや倦怠感、
発熱などが主な症状といわれています。
脊柱の機能の障害については、
以下の認定基準により審査されることが考えられます。
脊柱の機能の障害の認定基準
【2級】
- 日常生活における動作が一人でできるが非常に不自由な場合又はこれに近い状態
※日常生活における動作は、おおむね次の通りです。
- ズボンの着脱(どのような姿勢でもよい)
- 靴下を履く(どのような姿勢でもよい)
- 座る(正座、横座り、あぐら、脚投げ出し)
- 深くおじぎ(最敬礼)をする
- 立ち上がる
【3級】
- 脊柱の機能に著しい障害を残すもの、つまり、脊柱又は背部・軟部組織の明らかな器質的変化のため、脊柱の他動可動域が参考可動域の2分に1以下に制限されたもの
【障害手当金】
- 脊柱の機能に障害を残すもの、つまり、脊柱又は背部・軟部組織の明らかな器質的変化のため、脊柱の他動可動域が参考可動域の4分の3以下に制限されている程度のものや頭蓋・上位頸椎間の著しい異常可動性が生じたもの
ただし、疼痛については、以下のように取り扱われます。
疼痛について
疼痛は、原則として認定の対象となりません。
ただし、次の1〜4等の場合は、
発作の頻度、強さ、持続時間、疼痛の原因となる他覚所見等により、以下の通りに取り扱います。
- 四肢その他の神経の損傷によって生じる灼熱痛
- 脳神経及び脊髄神経の外傷その他の原因による神経痛
- 根性疼痛
- 悪性新生物に随伴する疼痛等
- 3級…軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度のもの
- 障害手当金…一般的な労働能力は残存しているが、疼痛により時には労働に従事することができなくなり、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの
ご質問内容からは、障害の程度が分かりかねますが、
上記の認定基準に該当する程度であれば、
障害年金が受給できる可能性も考えられます。
障害年金の請求において、さかのぼって請求することを遡及請求といいます。
遡及請求とは
遡及請求とは、障害認定日に障害等級に該当しているが、
知らなかったなどの理由で、障害認定日から1年以上経過して請求するものです。
障害認定日から3か月以内の診断書を取得することができれば、
今からでも遡及請求を行うことができます。
ただし、年金を受ける権利は、権利が発生してから5年を経過すると時効消滅します。
そのため、障害年金を遡及請求をしたとしても、
実際に支給を受けることが出来るのは時効消滅していない直近の5年分となります。
障害認定日時点の診断書が取得できない等の理由で、
障害認定日請求ができない場合は、事後重症請求となります。
事後重症請求とは
傷病により障害の状態にあるものが、障害認定日において
障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなかった場合でも、
その後、状態が悪化し、障害等級に該当する障害の状態となった場合、
65歳に達する日の前日までに裁定請求をすることができます。
これを事後重症請求といいます。
事後重症請求が認められた場合は、請求日の翌月から支給されます。
ご質問内容に、まもなく老齢年金の支給が始まろうとしているとありますが、
障害年金と老齢年金の両方の受給権を得られた場合、
最も有利な組み合わせを選択することになります。
受給可能な組み合わせは、以下の通りです。
障害年金と老齢年金の両方の受給権を得られた場合の組み合わせ
- 障害基礎年金+障害厚生年金
- 老齢基礎年金+老齢厚生年金
- 障害基礎年金+老齢厚生年金
の3通りとなり、上記の中から有利なものを選択することになります。
また、途中で選択替えをすることも可能です。
障害年金の申請について
障害の状態によって等級が決まりますが、
提出書類によって、2級相当の状態なのに3級となったり不支給となったり
というケースが数多くあります。
そのため関連書籍をご購入の上、申請されることをお勧めします。
審査のチャンスは審査請求、再審査請求を含めて3回ありますが、
1度目に不支給となると再審査請求で支給が決定するのは14.7%となっています。
慎重にご準備ください。
申請の流れはこちらにて解説していますので、ご参考にしてください。
社労士への依頼も合わせてご検討ください
よりスムーズに認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
疑問などがございましたら、下記お問い合わせフォームからお気軽にご質問ください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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