再生不良性貧血ため障害者1級になりました。障害年金は年間でどれくらいいただけるのでしょうか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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現在48歳の夫が指定難病の再生不良性貧血になりました。
これまでは会社勤務で厚生年金を掛けていたのですが、障害年金は年間でどれくらいいただけるのでしょうか?
ひと月あたり、5万〜20万円ほど受給できます。(支給は2か月に1回です)
これほどに幅がある理由は、加入している年金制度や、再生不良性貧血の「程度」などによって受給できる金額が異なるからです。
では、詳しくみていきましょう。
加入している年金制度によって金額が違う
障害年金には、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。
種類 対象となる人 障害基礎年金 「初診日」に国民年金に加入していた人 障害厚生年金 「初診日」が厚生年金保険加入中にある人 ※「初診日」とは、「病気やけがについて初めて医師の診療を受けた日」を指します
自営業者、フリーランス、専業主婦、無職の方は、障害基礎年金の対象となります。
再生不良性貧血の程度によって金額が違う
障害年金では、ケガや病気の程度に応じて等級が設定されています。
▼障害基礎年金
1級と2級▼障害厚生年金
1級、2級、3級障害が重い順に、1級、2級、3級となります。
再生不良性貧血の程度が障害厚生年金1級と認められた場合、「障害基礎年金の1級」と「報酬比例の年金額の1級」を合算した金額が受け取れます。
各等級の年金額
67歳以下の方(S31.4.2以後生まれ)の年金額です。
▼障害基礎年金1級 1,039,625円
+子の加算額2級 831,700円
+子の加算額▼障害厚生年金1級 障害基礎年金1級(1,039,625円 + 子の加算額)
+報酬比例の年金額×1.25
+配偶者の加給年金額2級 障害基礎年金2級(831,700円 + 子の加算額)
+報酬比例の年金額
+配偶者の加給年金額3級 報酬比例の年金額
※最低でも623,800円が保証されます障害手当金 報酬比例の年金額×2
※最低でも1,247,600円が保証されます※報酬比例の年金額は、加入年数や給料の額などが反映されます。
▼子の加算額2人まで 1人につき239,300円 3人目以降 1人につき79,800円 ※生計を維持されている子がいる時に加算されます。
なお、生計を維持されている子とは、18歳になった後の最初の3月31日までの子、または20歳未満で障害等級1級または2級の状態にある子です。
▼配偶者の加給年金額
239,300円※生計を維持されている65歳未満の配偶者がいる時に加算されます。
なお、障害年金2級以上に該当している方の場合、年金生活者支援給付金も併せて受給することができます。
▼年金生活者支援給付金障害年金の等級 給付額 1級 月6,813円 2級 月5,450円 等級が決められる基準
どの程度の状態ならどの等級になるかは、以下のとおりです。
障害年金の等級 障害の状態 3級
※障害厚生年金のみ労働に著しい制限があるもの 2級 日常生活に著しい制限があるもの 1級 他人の介助がなければほとんど自分の用事を済ませることができないもの 障害年金と聞くと、病気やケガなどの状態がとても重い人のためだけの年金だと思ってしまいがちですが、1級から3級までの間にはかなり幅があります。
それでは、障害年金の審査についてみていきましょう。
障害年金の審査について
障害年金の審査に、面接はありません。
すべて書類で審査されます。
そのため、書類だけで「日常生活にどのような制限を受けているのか」「働いているならどんな風に働いているのか」を審査機関に分かるように作成しなければなりません。
本当は障害年金を受給できる状態なのに、書類が不十分だからといって不支給になるのは残念なことです。
障害の状態の審査には、主に「診断書」と「病歴・就労状況等申立書」が使用されます。
診断書について
障害年金を請求するための診断書は、治療のための医学的な診断書ではなく、生活に必要な所得保障のための社会医学的な診断書です。
そのため、病気やけがなどによって日常生活にどれくらい影響を及ぼしているかがわかるように作成いただくことが大切です。
自分一人でお医者様に伝えることが難しい場合は、お医者様に伝えるべきポイントを整理するようサポート致しますのでお問い合わせください。
病歴・就労状況等申立書について
これは、「発病から現在までの病状・治療の流れ」「日常生活の様子」を記述し、あなたの症状や生活状況が、障害年金の基準を満たすことを申し立てるものです。
適切な「病歴・就労状況等申立書」を作るために必要なことは以下の2点です。
- 自分自身の状況を客観的に把握すること
- 把握した内容を、審査機関に伝わるようにわかりやすく記述すること
ただでさえ障害を抱えて大変な状況なのに、時間と精神的・体力的な負担がかかる作業になるおそれがあります。
私にご相談いただければ、代筆いたします。
障害年金を受給するために
障害年金の申請は、国民年金法・厚生年金法や認定基準等をご存じない方がひとりで対応するには限界があります。
ご自分の生活がかかった大切なことなので、専門家である社労士に知識・経験を求めるのが最善の選択です。
「事務手数料の2万円を支払うのが惜しくて、とりあえず自分でやってみたけど不支給だった。なんとかしてください」というご相談をいただくケースがあります。
当然その時点からできる限りのサポートをさせていただくのですが、事後重症請求の方の場合、1か月請求が遅くなれば、障害基礎年金2級なら毎月約6万5千円ずつ捨てていくことになります。
最初にかかる2万円の事務手数料を惜しんだばかりに、障害年金の受け取りが数か月遅くなっては本末転倒です。
一人でわけも分からず不安いっぱいで戦うのではなく、あなたの代理人となって受給に向けて取り組んでくれる専門家である社労士を味方につけてください。
障害年金の受給額は以下の通りとなっています。
障害年金の受給額(平成29年)
- 障害基礎年金1級…年974,125円
- 障害基礎年金2級…年779,300円
- 障害厚生年金1級…年974,125円+報酬比例の年金額×1.25
- 障害厚生年金2級…年779,300円+報酬比例の年金額
- 障害厚生年金3級…報酬比例の年金額(最低保証額584,500円)
※障害基礎年金の受給権者に加算対象となる子がいる場合、子の加算を受けることができます。
※障害厚生年金1級、2級の受給権者に加算対象となる配偶者がいる場合、配偶者の加給年金を受けることができます。
報酬比例の年金額については、
「障害認定日」までの厚生年金加入期間数や給与額等によって異なります。
今まで掛けていた厚生年金期間のすべてが受給額に反映されるのではありませんので、
ご注意ください。
なお、受給額の詳細については、年金事務所にお尋ねください。
障害認定日とは
障害認定日とは、障害の程度の認定を行うべき日をいい、原則として、
- 初診日から起算して1年6月を経過した日
- 傷病が治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)
のいずれか早い日となります。
再生不良性貧血も障害年金の対象となっています。
再生不良性貧血についての各等級に該当する障害の状態は以下の通りです。
赤血球系・造血不全疾患(再生不良性貧血、溶血性貧血等)の認定基準
障害の程度
障害の状態
1級
A表1欄に掲げるうち、いずれか1つ以上の所見があり、B表1欄に掲げるうち、いずれか1つ以上の所見があるもので、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの
2級
A表2欄に掲げるうち、いずれか1つ以上の所見があり、B表2欄に掲げるうち、いずれか1つ以上の所見があるもので、かつ、一般状態区分表のエ又はウに該当するもの
3級
A表3欄に掲げるうち、いずれか1つ以上に所見があり、B表3欄に掲げるうち、いずれか1つ以上の所見があるもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの
A表
区分
臨床所見
1
- 高度の貧血、出血傾向、易感染症を示すもの
- 輸血をひんぱんに必要とするもの
2
- 中度の貧血、出血傾向、易感染症を示すもの
- 輸血を時々必要とするもの
3
- 軽度の貧血、出血傾向、易感染症を示すもの
- 輸血を必要に応じて行うもの
B表
区分
検査所見
1
1 末梢血液中の赤血球像で、次のいずれかに該当するもの
- ヘモグロビン濃度が 7.0g/dl未満のもの
- 網赤血球数が 2万/μl未満のもの
2 末梢血液中の白血球像で、次のいずれかに該当するもの
- 白血球数が 1,000/μl未満のもの
- 好中球数が 500/μl未満のもの
3 末梢血液中の血小板数が2万/μl未満のもの
2
1 末梢血液中の赤血球像で、次のいずれかに該当するもの
- ヘモグロビン濃度が 7.0g/dl以上 9.0g/dl未満のもの
- 網赤血球数が 2万/μl以上 6万/μl未満のもの
2 末梢血液中の白血球像で、次のいずれかに該当するもの
- 白血球数が 1,000/μl以上 2,000/μl未満のもの
- 好中球数が 500/μl以上 1,000/μl未満のもの
3 末梢血液中の血小板数が 2 万/μl以上 5 万/μl未満のもの
3
1 末梢血液中の赤血球像で、次のいずれかに該当するもの
- ヘモグロビン濃度が 9.0g/dl以上 10.0/dl未満のもの
- 網赤血球数が6万/μl以上10万/μl未満のもの
2 末梢血液中の白血球像で、次のいずれかに該当するもの
- 白血球数が 2,000/μl以上 3,300/μl未満のもの
- 好中球数が 1,000/μl以上 2,000/μl未満のもの
3 末梢血液中の血小板数が 5 万/μl以上 10 万/μl未満のもの
一般状態区分表
区分
一般状態
ア
無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの
イ
軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの。 例えば、軽い家事、事務など
ウ
歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の 50%以上は起居しているもの
エ
身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の 50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
オ
身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの
ご質問内容からは、輸血の頻度や検査数値等が分かりかねますので、
受給の可否については判断いたしかねますが、
上記の認定基準に該当する程度であれば、受給できる可能性も考えられます。
申請を検討されてはいかがでしょうか。
障害年金の申請について
障害の状態によって等級が決まりますが、
提出書類によって、2級相当の状態なのに3級となったり不支給となったり
というケースが数多くあります。
そのため関連書籍をご購入の上、申請されることをお勧めします。
審査のチャンスは審査請求、再審査請求を含めて3回ありますが、
1度目に不支給となると再審査請求で支給が決定するのは14.7%となっています。
慎重にご準備ください。
申請の流れはこちらにて解説していますので、ご参考にしてください。
社労士への依頼も合わせてご検討ください
よりスムーズに認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
疑問などがございましたら、下記お問い合わせフォームからお気軽にご質問ください。
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