慢性疲労症候群のため、ほぼ家で寝たきり。障害年金をいただくことはできるのでしょうか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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私は慢性疲労症候群のため、ほぼ家で寝たきり状態です。
病院へ行くこともままなりません。
高齢の母に面倒を見てもらっていますが、経済的に困窮しています。
私は障害年金をいただくことはできるのでしょうか?
慢性疲労症候群は障害年金の認定の対象とされているので、基準を満たせば障害年金を受給することができます。
障害年金の受給額は以下の通りです。
障害等級 障害基礎年金 障害厚生年金 1級 年1,039,625円 年1,039,625円+報酬比例の年金額×1.25 2級 年831,700円 年831,700円+報酬比例の年金額 3級 ― 報酬比例の年金額(最低保障額623,800円) 障害年金だけで悠々自適ではありませんが、受給できれば、日常生活に大きな助けとなるでしょう
障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金です。
どのような状態なら障害年金を受給できるか、みていきましょう。
どのような状態なら障害年金を受給できるか
障害年金では、ケガや病気の程度に応じて等級が設定されています。
▼障害基礎年金
1級と2級▼障害厚生年金
1級、2級、3級障害が重い順に、1級、2級、3級となります。
1級、2級、3級の大まかな状態は以下の通りとなっています。
障害年金の等級 障害の状態 3級
※障害厚生年金のみ労働に著しい制限があるもの 2級 日常生活に著しい制限があるもの 1級 他人の介助がなければほとんど自分の用事を済ませることができないもの 以下に慢性疲労症候群で審査されることを記載しておりますので、ご確認ください。
慢性疲労症候群の認定基準
障害の等級
障害の状態
1級
身体の機能に障害又は長期にわたる安静を必要とする症状があり、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの、たとえば、障害の程度は、休職し治療に専念していても、高度の全身倦怠感、易疲労、軽微な労作でち著しく遷延化する疲労感、咽頭痛などの症状が強く続いており、終日臥床状態となっている。身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの
2級
日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの、たとえば、障害の程度は、治療を行っても、高度の全身倦怠感や微熱、筋肉痛などの症状が続いており、日中の大半は横になっていることが多い。身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
3級
※障害厚生年金のみ
労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のもの、たとえば、障害の程度は、治療を行っても、激しい疲労感、記憶力低下、脱力、微熱、頚部リンパ節の腫大などの症状が続き、軽作業は可能であるが、週に数日は休息が必要とされている。歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
障害年金において、慢性疲労症候群として請求する場合は、その他の障害用の診断書を使用し、一般状態区分、自覚症状、他覚所見とともに重症度分類PS値を診断書にご記入していただき請求することとなります。
慢性疲労症候群の重症度分類PS値について
重症度分類PS値では、強い疲労の程度をより明確にするために、PS0からPS9まで、10段階の程度が定められています。
0: 倦怠感がなく平常の生活ができ、制限を受けることなく行動できる。
1: 通常の社会生活ができ、労働も可能であるが、 倦怠感を感ずるときがしばしばある。
2: 通常の社会生活ができ、労働も可能であるが、 全身倦怠の為、しばしば休息が必要である。
3: 全身倦怠の為、月に数日は社会生活や労働ができず、 自宅にて休息が必要である。
4: 全身倦怠の為、週に数日は社会生活や労働ができず、 自宅にて休息が必要である。
5: 通常の社会生活や労働は困難である。軽作業は可能であるが、 週のうち数日は自宅にて休息が必要である。
6: 調子のよい日は軽作業は可能であるが、 週のうち50%以上は自宅にて休息している。
7: 身の回りのことはでき、介助も不要ではあるが、 通常の社会生活や軽作業は不可能である。
8: 身の回りのある程度のことはできるが、しばしば介助がいり、 日中の50%以上は就床している。
9: 身の回りのことはできず、常に介助がいり、 終日就床を必要としている。
※なお、慢性疲労症候群と診断されるためには、PS3以上の疲労程度であることが求められています。
では、障害年金を請求するための要件を確認しましょう。
障害年金を請求できる条件を確認しましょう。
障害年金を請求するためには以下の要件を満たしていることが前提となります。
- 初診日要件…原則として初診日に公的年金に加入していること
- 保険料納付要件…原則として保険料を、ある程度納付または免除をしていること
初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されていること。
または、初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと。
なお、20歳前の公的年金未加入期間に初診日がある方は、保険料納付要件は問われません。
このふたつの要件を満たしていれば、障害年金を請求することができ、障害の状態が基準に該当しているかどうか、審査を受けることができます。
審査の結果、基準に該当すると判断されれば、障害年金を受給することができます。
障害年金の種類
障害年金には、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。
種類 対象となる人 障害基礎年金 「初診日」に国民年金に加入していた人 障害厚生年金 「初診日」が厚生年金保険加入中にある人 ※「初診日」とは、「病気やけがについて初めて医師の診療を受けた日」を指します
自営業者、フリーランス、専業主婦、無職の方は、障害基礎年金の対象となります。
初診日に加入していた年金制度によって、障害基礎年金の請求となるか、障害厚生年金の請求となるかが決まります。
障害年金はいつから請求できるか。
障害年金は、障害認定日が到来すれば請求することができます。
障害認定日とは障害の程度の認定を行うべき日をいい、原則として以下のいずれか早い日となります。
- 初診日から起算して1年6月を経過した日
- 傷病が治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)
慢性疲労症候群の場合は、初診日から1年6か月経過した日以降請求が可能です。
それでは手続きの流れを確認しましょう。
障害年金の請求手続きの流れ
「障害年金を請求しよう!」と思ってから請求までの大まかな流れは以下の通りとなります。
- 初診日はいつだったかを確認する
- 保険料納付要件を満たしているかを確認する
- 初診日を証明する
- 医師に診断書を書いていただく
- 病歴・就労状況等申立書を作成する
- その他の必要な書類を添付する
- 年金請求書とともに揃えた書類を提出する
それでは、障害年金の審査について詳しくみていきましょう。
障害年金の審査について
障害年金の審査に、面接はありません。
すべて書類で審査されます。
そのため、書類だけで「日常生活にどのような制限を受けているのか」「働いているならどんな風に働いているのか」を審査機関に分かるように作成しなければなりません。
本当は障害年金を受給できる状態なのに、書類が不十分だからといって不支給になるのは残念なことです。
障害の状態の審査には、主に「診断書」と「病歴・就労状況等申立書」が使用されます。
診断書について
障害年金を請求するための診断書は、治療のための医学的な診断書ではなく、生活に必要な所得保障のための社会医学的な診断書です。
そのため、病気やけがなどによって日常生活にどれくらい影響を及ぼしているかがわかるように作成いただくことが大切です。
自分一人でお医者様に伝えることが難しい場合は、お医者様に伝えるべきポイントを整理するようサポート致しますのでお問い合わせください。
病歴・就労状況等申立書について
これは、「発病から現在までの病状・治療の流れ」「日常生活の様子」を記述し、あなたの症状や生活状況が、障害年金の基準を満たすことを申し立てるものです。
適切な「病歴・就労状況等申立書」を作るために必要なことは以下の2点です。
- 自分自身の状況を客観的に把握すること
- 把握した内容を、審査機関に伝わるようにわかりやすく記述すること
ただでさえ障害を抱えて大変な状況なのに、時間と精神的・体力的な負担がかかる作業になるおそれがあります。
私にご相談いただければ、代筆いたします。
障害年金を受給するために
障害年金の申請は、国民年金法・厚生年金法や認定基準等をご存じない方がひとりで対応するには限界があります。
ご自分の生活がかかった大切なことなので、専門家である社労士に知識・経験を求めるのが最善の選択です。
「事務手数料の2万円を支払うのが惜しくて、とりあえず自分でやってみたけど不支給だった。なんとかしてください」というご相談をいただくケースがあります。
当然その時点からできる限りのサポートをさせていただくのですが、事後重症請求の方の場合、1か月請求が遅くなれば、障害基礎年金2級なら毎月約6万5千円ずつ捨てていくことになります。
最初にかかる2万円の事務手数料を惜しんだばかりに、障害年金の受け取りが数か月遅くなっては本末転倒です。
一人でわけも分からず不安いっぱいで戦うのではなく、あなたの代理人となって受給に向けて取り組んでくれる専門家である社労士を味方につけてください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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- 妻(28歳)の障害年金を申請しようと考えています。妻は17歳の時から精神科に通院し、今も同じクリニックに通っています。病名は自律神経失調症から不安障害、パニック障害と変わり、仕事も家のこともほとんどできない状態です。外出も一人ではできないので、必ず家族が付き添います。妻の世話で私の仕事にも制限があり、副業もできず、生活が苦しい状況です。こんな状態ですが障害年金の受給は難しいでしょうか。