人工肛門(ストーマ)になりました。障害年金は受給できますか。

障害年金のことなら障害年金.jp

障害年金ならお任せください
障害年金に関する無料相談は06-6429-6666までどうぞ!平日9時から18時まで受け付けています
 

人工肛門(ストーマ)になりました。障害年金は受給できますか。

中井智博
中井智博社会保険労務士
  • 詳しいプロフィール
公開日:

S 字結腸癌の再発から人工肛門(ストーマ)になりました。

仕事は今も休職しています。

がんで障害年金はもらえないのか調べていたら、人工肛門(ストーマ)ならもらえるという記事を見かけました。

しかし、ネットでは「人工肛門は3級だからもらえない場合もある」と書かれているものもあります。

今後職場復帰を目指していますが不安です。

障害年金が必要ではありますが、人工肛門(ストーマ)で障害年金は受給できますか。

直腸がんや膀胱がんなどが原因で臓器に機能障害(内部障害のひとつ)を負い、手術によって、人工的に腹部へ人工肛門や人工膀胱の「排泄口(ギリシャ語でストーマ)」を造設した方を「オストメイト」と言います。

国内には約20万〜30万人のオストメイトがいるといわれています。

引用元:平成24年版障害者白書-内閣府「オストメイト対応トイレ」

人工肛門や新膀胱を造設したものは、障害年金の認定の対象とされているので基準を満たせば受給できます。

障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金です。

障害年金には、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。

種類 対象となる人
障害基礎年金 「初診日」に国民年金に加入していた人
障害厚生年金 「初診日」が厚生年金保険加入中にある人

※「初診日」とは、「病気やけがについて初めて医師の診療を受けた日」を指します

自営業者、フリーランス、専業主婦、無職の方は、障害基礎年金の対象となります。

障害の状態の前に、請求の条件を確認しましょう

障害年金を請求するためには以下の要件を満たしていることが前提となります。

このふたつの要件を満たしていれば、障害年金を請求することができ、障害の状態が基準に該当しているかどうか、審査を受けることができます。

審査の結果、基準に該当すると判断されれば、障害年金を受給することができます。

では、人工肛門での障害年金の請求について、詳しくみていきましょう。

人工肛門での障害年金請求について

人工肛門(ストーマ)とは、手術によっておなかに新しく作られた、便や尿の排泄の出口のことをいいます。自分の腸や尿管を直接おなかの外に出して、便や尿の新しい排泄の管理になります。

引用元:公益財団法人がん研究会「ストーマ(人工肛門)について」

自分の意識とは無関係に便が排泄されるため、定期的に装具の交換が必要となるなど、労働や生活に支障が出てしまうため、障害年金の認定の対象とされています。

まずは、どのような状態なら障害年金を受給できるか、みていきましょう。

どのような状態なら障害年金を受給できるか

障害年金では、ケガや病気の程度に応じて等級が設定されています。

▼障害基礎年金
1級と2級

▼障害厚生年金
1級、2級、3級

障害が重い順に、1級、2級、3級となります。

1級、2級、3級の状態は、以下の通りとなっています。

障害年金の等級 障害の状態
3級
※障害厚生年金のみ
労働に著しい制限があるもの
2級 日常生活に著しい制限があるもの
1級 他人の介助がなければほとんど自分の用事を済ませることができないもの
人工肛門を造設した場合

人工肛門を造設した場合、原則として3級と認定されます。

なお、次のものは2級と認定されます。

  • 人工肛門を造設し、かつ、新膀胱を造設したもの又は尿路変更術を施したもの
  • 人工肛門を造設し、かつ、完全排尿障害(カテーテル留置又は自己導尿の常時施行を必要とする)状態にあるもの

※全身状態、術後の経過及び予後、原疾患の性質、進行状況等により総合的に判断し、さらに上位等級に認定する場合があります。

障害年金の受給額は以下の通りです。
障害等級 障害基礎年金 障害厚生年金
1級 年1,039,625円 年1,039,625円+報酬比例の年金額×1.25
2級 年831,700円 年831,700円+報酬比例の年金額
3級 報酬比例の年金額(最低保障額623,800円)

障害年金だけでは悠々自適な生活はできませんが、受給できれば、日常生活に大きな助けとなるでしょう。

このページの最後の方に弊所で手伝って受給できた事例を掲載していますので、そちらもご確認ください。

人工肛門を造設していても障害年金が不支給になる場合

人工肛門を造設した場合、上記の通り障害の状態は原則として3級に該当します。

そのため、障害基礎年金の請求(=2級以上でなければ受給できません)では認定を得ることが難しくなっています。

「人工肛門を造設したのに障害年金を受給できなかった」と弊所に相談に見える方が度々おられます。

人工肛門を造設したのに障害年金を受給できなかった理由は、十中八九「初診日が厚生年金加入期間ではない」というものです。

※人工肛門を造設し障害年金2級が得られた事例はこちら

「初診日の証明」が何より重要!

受診状況等証明書

初診日の証明書(受診状況等証明書といいます)は、原則として、カルテに基づいて作成していただきます。カルテの保存期間は法律上5年間ですので、初診日に受診した医療機関にいかなくなってから5年以上経っている場合はカルテが破棄されていることがあります。

医療機関によっては5年より長い保存時間を定めているところもありますので、まずは連絡して確認しましょう。

初診日を確定できないと、

  • 障害基礎年金の請求か、障害厚生年金の請求か。
  • 保険料納付要件を満たしているか。
  • 障害認定日はいつか。

を決めることができません。

これは、どんなに現在の障害の状態が重くても、障害年金の請求手続きすべてが止まってしまうことを意味します。

自分ひとりでは初診日が分からない、確定できないという方はご相談ください。

初診日の確定のために探偵のようになります。

初診日の証明についてご不安な方は、以下からお問い合わせください。

それでは手続きの流れを確認しましょう。

障害年金の請求手続きの流れ

「障害年金を請求しよう!」と思ってから請求までの大まかな流れは以下の通りとなります。

  1. 初診日はいつだったかを確認する
  2. 保険料納付要件を満たしているかを確認する
  3. 初診日を証明する
  4. 医師に診断書を書いていただく
  5. 病歴・就労状況等申立書を作成する
  6. その他の必要な書類を添付する
  7. 年金請求書とともに揃えた書類を提出する

以下では弊事務所でサポートした人工肛門の受給事例を紹介いたします。

ご参考いただき「自分ももらえるのではないか」という可能性を考えてみましょう。

人工肛門での受給事例

事例1 病名:イレウス(腸閉塞)

以前から腹痛がありましたが、仕事が忙しく、受診をしていませんでした。

初診日からまもなくがんと診断され、数か月後に人工肛門を造設したため、障害認定日がわからず、ご相談にお見えになりました。

傷病名

イレウス(腸閉塞)

障害の状態

S状結腸がんと診断され手術を行ったが、数か月後にがんの再発と腸閉塞があり、人工肛門造設術施行。

就労状況

正社員であった。

身体障害者手帳の等級

身体障害者手帳4級

労働能力及び日常生活能力

労働能力、日常生活活ともに制限を受けている。

予後

不明

認定が得られた障害年金の等級

障害厚生年金3級

障害年金の受給額

年額約65万円

本事例のポイント

初診日から1年6月を経過した日よりも早い時点で障害認定日が到来。

人工肛門を造設した場合の障害認定日について

障害認定日とは、「障害の程度の認定を行うべき日」をいい、人工肛門を入れた場合の障害認定日は、以下の「いずれか早い日」となります。

  • 初診日から起算して1年6月を経過した日
  • 人工肛門を造設した日から起算して6月を経過した日
請求サポートさせていただき、無事支給となりました。

本事案では、人工肛門を造設した日から起算して6月を経過した日の方が早いため、こちらが障害認定日となると判断しました。

結果として、障害認定日時点で認定を得ることができました。

現在は無職となっていたため、無事に障害年金を受給でき、依頼者の方は大変喜んでおられました。

事例2 病名:S状結腸癌(人工肛門を造設し、2級の認定が得られた事例)

S状結腸癌により人工肛門を造設しておられました。

人工肛門では原則として3級であるとご存じでしたが、障害基礎年金の請求のため2級の認定をご希望され、弊所にご相談にお見えになりました。

傷病名

S状結腸癌

障害の状態

人工肛門造設術施行

就労状況

無職

身体障害者手帳の等級

身体障害者手帳4級

労働能力及び日常生活能力

労働能力、日常生活活動能力は減退している。

予後

不良

認定が得られた障害年金の等級

障害基礎年金2級

障害年金の受給額

年額約120万円

本事例のポイント

人工肛門造設術を受けた場合、原則として障害年金3級に相当するが、障害基礎年金の請求のため2級を希望していた。

人工肛門で2級がもらえる場合

人工肛門を造設した場合、原則として3級と認定されます。

なお、次のものは2級と認定されます。

  • 人工肛門を造設し、かつ、新膀胱を造設したもの又は尿路変更術を施したもの
  • 人工肛門を造設し、かつ、完全排尿障害(カテーテル留置又は自己導尿の常時施行を必要とする)状態にあるもの
  • 全身状態、術後の経過及び予後、原疾患の性質、進行状況等により総合的に判断し、さらに上位等級に認定する
請求サポートさせていただき、無事2級の認定となりました。

本事案では、「人工肛門を造設しても原則として3級」ということをご存じの上で、ご相談にお見えになりました。

新膀胱造設、尿路変更術や完全排尿障害の状態にはありませんでしたので、2級の認定を得るためには上記の「全身状態、術後の経過及び予後、原疾患の性質、進行状況等」により2級に該当する必要がありました。

詳しく聞き取りをすると、原疾患の大腸がんのための抗がん剤治療により、身体は衰弱し、日中の半分以上は横になっている状態でしたので、2級に該当する可能性があると判断しました。

無理かもしれないと諦めかけていたところ、結果として障害基礎年金2級の認定が得られ、大変喜んでおられました。

障害年金の審査について

障害年金の審査に、面接はありません。

すべて書類で審査されます。

そのため、書類だけで「日常生活にどのような制限を受けているのか」「働いているならどんな風に働いているのか」を審査機関に分かるように作成しなければなりません。

本当は障害年金を受給できる状態なのに、書類が不十分だからといって不支給になるのは残念なことです。

障害の状態の審査には、主に「診断書」と「病歴・就労状況等申立書」が使用されます。

診断書について

診断書:血液・造血器・その他の障害用 診断書:血液・造血器・その他の障害用2

障害年金を請求するための診断書は、治療のための医学的な診断書ではなく、生活に必要な所得保障のための社会医学的な診断書です。

そのため、病気やけがなどによって日常生活にどれくらい影響を及ぼしているかがわかるように作成いただくことが大切です。

自分一人でお医者様に伝えることが難しい場合は、お医者様に伝えるべきポイントを整理するようサポート致しますのでお問い合わせください。

病歴・就労状況等申立書について

病歴・就労状況等申立書 病歴・就労状況等申立書2

これは、「発病から現在までの病状・治療の流れ」「日常生活の様子」を記述し、あなたの症状や生活状況が、障害年金の基準を満たすことを申し立てるものです。

適切な「病歴・就労状況等申立書」を作るために必要なことは以下の2点です。

  1. 自分自身の状況を客観的に把握すること
  2. 把握した内容を、審査機関に伝わるようにわかりやすく記述すること

ただでさえ障害を抱えて大変な状況なのに、時間と精神的・体力的な負担がかかる作業になるおそれがあります。

私にご相談いただければ、代筆いたします。

障害年金を受給するために

障害年金の申請は、国民年金法・厚生年金法や認定基準等をご存じない方がひとりで対応するには限界があります。

ご自分の生活がかかった大切なことなので、専門家である社労士に知識・経験を求めるのが最善の選択です。

「事務手数料の2万円を支払うのが惜しくて、とりあえず自分でやってみたけど不支給だった。なんとかしてください」というご相談をいただくケースがあります。

当然その時点からできる限りのサポートをさせていただくのですが、事後重症請求の方の場合、1か月請求が遅くなれば、障害基礎年金2級なら毎月約6万5千円ずつ捨てていくことになります。

最初にかかる2万円の事務手数料を惜しんだばかりに、障害年金の受け取りが数か月遅くなっては本末転倒です。

一人でわけも分からず不安いっぱいで戦うのではなく、あなたの代理人となって受給に向けて取り組んでくれる専門家である社労士を味方につけてください。

お気軽にお問合せください。

障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。

煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。

どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。

お問合せフォームへ

お電話でも承ります

06-6429-6666

平日9:00~18:00