糖尿病網膜症で視力低下があります。障害年金を申請すれば受給できますか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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私は現在57歳、無職です。
糖尿病網膜症で視力低下があり、障害者手帳2級です。
この状態は、障害年金を申請すれば受給できると言われましたが、本当ですか?
本回答は2020年12月現在のものです。
ご質問内容から、障害の程度は等級に該当する可能性が考えられますが、ほかの要件の確認も必要となります。
視力障害の障害者手帳2級は、「両眼の視力の和が0.02以上0.04以下のもの」ですので、障害年金の認定基準に当てはめると、1級に相当します。
しかし障害年金を受給するためには、ほかの「初診日要件」と「保険料納付要件」を満たさなければなりません。
これらの要件を満たさない場合は、どれほど障害の状態が重くても、障害年金を受給することはできません。
視力障害の認定基準
- 1級…両眼の視力の和が0.04以下のもの
- 2級…両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの
- 3級…両眼の視力が0.1以下に減じたもの、または、障害手当金の程度であり症状固定していないもの
- 障害手当金…両眼の視力が0.6以下に減じたもの、または、一眼の視力が0.1以下に減じたもの
※屈折異常のあるものについては、矯正視力により認定する。
※両眼の視力とは、それぞれの視力を別々に測定した数値であり、両眼の視力の和とは、それぞれの測定値を合算したものをいう。
初診日要件とは
初診日は、国民年金と厚生年金のどちらに加入していたか、その加入していた制度によって、もらえる年金の種類が決まります。
- 初診日が厚生年金被保険者期間中にある場合は、障害厚生年金
- 初診日が国民年金被保険者期間中にある場合は、障害基礎年金
- 初診日が20歳前または60歳以上65歳未満(国内に住んでいる方のみ)の年金未加入期間にある場合は、障害基礎年金
※初診日とは…障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。
保険料納付要件とは
初診日の前日において以下の1または2を満たしている必要があります。
- 初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
- 初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと
※ただし、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、納付要件はありません。
ご質問者様の場合、糖尿病性網膜症を合併したものによる視力低下ですので、初診日は、「糖尿病のために初めて病院を受診した日」となります。
糖尿病は、長期にわたって症状が経過することが多く、初診日を特定することが難しい場合があります。
例えば、20代の頃に倦怠感などで近くの病院を受診したところ、糖尿病を疑われ専門の病院を紹介された、というケースでは、「近くの病院で糖尿病を疑われた日」が初診日になるでしょう。
しかし30年以上が経過し、すでにカルテが残っていない等で初診日を特定することができない場合は、障害年金の申請そのものができないケースもあります。
また初診日を特定することができたとしても、その時点で保険料納付要件を満たしていない場合は、認定を得ることはできません。
このように、障害の程度が1級相当であっても、ほかの要件を満たさない場合は、受給することができません。
障害年金の申請にあたっては、まず初診日の特定から行いましょう。
障害年金の申請について
ご自身で書類をしっかり準備したつもりが、症状に合った等級が認められないケースや、不支給となるケースが見受けられます。
このようなことを防ぐためには専門知識が必要となりますが、そうなると社労士に相談するか関連書籍を参照しなければなりません。
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このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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