交通事故で高次脳機能障害とてんかんになりました。障害基礎年金は受給できますでしょうか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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私は19歳の時に交通事故にあい、外傷性くも膜下出血で高次脳機能障害とてんかんになりました。
症状としては忘れやすい、メモをとってもメモを紛失する、怒りやすい、物事を順序良く進められないなどです。
てんかんに関しては脳波で異常がみられるため、投薬で発作を抑えています。
現在は25歳で正社員として働いています。
上司に病気のことは伝えており、フォローしてもらっています。
このような状況で障害基礎年金は受給できますでしょうか?
外傷性くも膜下出血で高次脳機能障害とてんかんになったとのことですので、大変な思いをされていることが拝察いたします。
高次脳機能障害とてんかんの両方とも、障害年金の認定の対象とされているので基準を満たせば受給できます。
早速どのような状態なら障害年金を受給できるかみていきましょう。
どのような状態なら障害年金を受給できるか
障害年金では、ケガや病気の程度に応じて等級が設定されています。
▼障害基礎年金
1級と2級▼障害厚生年金
1級、2級、3級障害が重い順に、1級、2級、3級となります。
1級、2級、3級の状態は、以下の通りとなっています。
障害年金の等級 障害の状態 3級
※障害厚生年金のみ労働に著しい制限があるもの 2級 日常生活に著しい制限があるもの 1級 他人の介助がなければほとんど自分の用事を済ませることができないもの それでは、高次脳機能障害、てんかんの認定基準を詳しくみていきましょう。
高次脳機能障害の認定基準
障害の等級
障害の状態
3級
※障害厚生年金のみ
- 認知障害、人格変化は著しくないが、その他の精神神経症状があり、労働が制限を受けるもの
- 認知障害のため、労働が著しい制限を受けるもの
2級
認知障害、人格変化、その他の精神神経症状が著明なため、日常生活が著しい制限を受けるもの
1級
高度の認知障害、高度の人格変化、その他の高度の精神神経症状が著明なため、常時の援助が必要なもの
次にてんかんの1級、2級、3級の状態をみていきましょう。
てんかんの認定基準
以下、てんかんの認定基準となっております。
障害が軽い順に、3級、2級、1級となります。
3級
以下の基準1または基準2のいずれかを満たすこと。
<基準1>
◎発作の重症度(程度)
・意識障害があり、状況にそぐわない行為を示す発作
または
・意識障害の有る無しに関わらず、転倒する発作
◎発作の頻度
・年2回未満
◎発作がないときの日常生活の状況
・労働が制限を受けるもの
<基準2>
◎発作の重症度(程度)
・意識を失い、行為が途絶えるが、倒れない発作
または
・意識障害は無いが、随意運動を損なう発作
◎発作の頻度
・月に1回未満
◎発作がないときの日常生活の状況
・労働が制限を受けるもの
2級
以下の基準1または基準2のいずれかを満たすこと。
<基準1>
◎発作の重症度(程度)
3級の基準1と同じ
◎発作の頻度
年2回以上
◎発作がないときの日常生活の状況
・労働が制限を受けるもの
<基準2>
◎発作の重症度(程度)
3級の基準2と同じ
◎発作の頻度
・月に1回以上
◎発作がないときの日常生活の状況
・日常生活が著しく制限を受けるもの
1級
◎発作の重症度(程度)
2級、3級の基準1と同じ
◎発作の頻度
・2級の基準2と同じ
◎発作がないときの日常生活の状況
・常に介護を必要とする。
服薬によって発作が抑えられている場合
お薬を服用することで、発作が抑えられている場合は、認定を得ることができません。
お薬を飲んでいるのに発作が起きる場合に、障害年金の認定を得られる可能性があります。
本事案の場合
本事案の場合、19歳時の交通事故がきっかけで発症したとのことですが、事故の時点で年金制度に未加入であった場合は、20歳前傷病の障害基礎年金の請求に、事故の時点でご自身で就労し厚生年金に加入していた場合は、障害厚生年金の請求が可能となります。
障害年金には、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。
種類 対象となる人 障害基礎年金 「初診日」に国民年金に加入していた人 障害厚生年金 「初診日」が厚生年金保険加入中にある人 ※「初診日」とは、「病気やけがについて初めて医師の診療を受けた日」を指します
自営業者、フリーランス、専業主婦、無職の方は、障害基礎年金の対象となります。
また、服薬により発作を抑えられているとのことですので、てんかんについて認定を得られる可能性は低いでしょう。
高次脳機能障害の状態が障害年金の等級に該当するかがポイントとなるでしょう。
障害年金を受給するために
障害年金の審査は、「しんどい」、「お金に困っている」、「悲しい」等ではなく、あくまで認定基準に該当しているか否かを審査されます。
そのため、国民年金法・厚生年金法や認定基準等をご存じない方がひとりで対応するには限界があります。
ご自分の生活がかかった大切なことなので、専門家である社労士に知識・経験を求めるのが最善の選択です。
一人でわけも分からず不安いっぱいで戦うのではなく、あなたの代理人となって受給に向けて取り組んでくれる専門家である社労士を味方につけてください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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