糖尿病とうつ病のどちらで障害年金を申請したらよいのでしょうか。

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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私は30歳の時に初めて1型糖尿病と診断されました。
当時は会社に勤めていたのですが、営業職ということもあり続けられず退職となりました。
それから血糖コントロールがうまくいかず、精神状態が悪化し、2年前からうつ病と診断されています。
最初は内科の先生に睡眠薬などをいただいていたのですが、症状が悪化してきたので先月から心療内科に通っています。
現在40歳で無職なので障害年金を申請したいと考えています。
私の場合、糖尿病で申請をしたらよいのでしょうか、それともうつ病で申請をしたらよいのでしょうか。
もしうつ病で申請をするとしたら、初診日は心療内科を受診した日になるのでしょうか。
ご質問内容からは、糖尿病の状態やうつ病の状態が分かりかねるため、どちらで申請をすればよいかの判断は致しかねますが、どちらか認定が得られる可能性がある方で申請をご検討されてはいかがでしょうか。
例えば、糖尿病で申請をする場合、初診日は30歳の時となり、その時点で厚生年金に加入している場合は、障害厚生年金の申請が可能となります。
糖尿病の状態が、以下の認定基準に該当する場合は、障害厚生年金3級が認定される可能性が考えられます。
糖尿病の認定基準
糖尿病については、必要なインスリン治療を行ってもなお血糖のコントロールが困難なもので、以下のすべてを満たすものについて、3級に認定されます。
- 90日以上のインスリン治療を行っている
- Cペプチド値、重症低血糖、糖尿病ケトアシドーシス、高血糖高浸透圧症候群のいずれかが一定の程度
- 日常生活の制限が一定の程度
※症状、検査成績及び具体的な日常生活状況等によっては、さらに上位等級に認定される可能性は考えられます。
また、うつ病で申請をする場合、初診日は先月の心療内科を受診した日ではなく、うつ病について初めて受診をした日となります。
その時点では厚生年金ではなく国民年金に加入していたのであれば、障害基礎年金の申請になります。
うつ病の状態が2級以上に該当する場合、障害基礎年金の認定を得ることができるでしょう。
初診日とは
障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。
具体的には次のような場合が初診日とされます。
- 初めて診療を受けた日(治療行為又は療養に関する指示があった日)
- 同一の傷病で転医があった場合は、一番初めに医師等の診療を受けた日
- 過去の傷病が治癒し同一傷病で再度発症している場合は、再度発症し医師等の診療を受けた日
- 傷病名が確定しておらず、対象傷病と異なる傷病名であっても、同一傷病と判断される場合は、他の傷病名の初診日が対象傷病の初診日
- 障害の原因となった傷病の前に、相当因果関係があると認められる傷病があるときは、最初の傷病の初診日が対象傷病の初診日
※ただし、知的障害の場合は、出生日が初診日となります。
うつ病の認定基準
- 1級…高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したりまたは頻繁に繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの
- 2級…気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したりまたは頻繁に繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの
- 3級…気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、その病状は著しくないが、これが持続したりまたは繰り返し、労働に制限を受けるもの
このように、それぞれの状態を認定基準に照らし合わせて、認定が得られる可能性がある方で申請をご検討されるとよいでしょう。
両方の傷病で申請をすることは可能ですが、両方とも認定が得られた場合は、両方とも受給できるのではなく、どちらか有利な方を選択することになります。
どちらが有利になるかは、障害厚生年金3級の年金額が分かりかねるため、判断致しかねます。
障害厚生年金額の目安については、年金事務所でお尋ねください。
以上のことを踏まえ、どちらの傷病で申請をするかご検討されてはいかがでしょうか。
(本回答は2022年1月現在のものです。)
障害年金の申請について
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このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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