障害基礎年金を申請するためには、精神科を受診しないといけないのでしょうか。

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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私の娘は生まれつき知的障害と聴覚障害があり、身体障害者手帳3級と療育手帳B1を持っています。
もうすぐ20歳になるので障害基礎年金の書類をもらいに行ったのですが、耳鼻科の診断書と精神科の診断書が必要と言われました。
娘は鼓膜を診てもらうために聴力検査などには行きますが、知的障害では病院に通っていません。
ましてや精神科には受診したことはありません。
障害基礎年金を申請するためには、精神科を受診しないといけないのでしょうか。
聴覚の障害のみで申請をする場合は、精神の障害用診断書は不要ですので、精神科を受診する必要はありません。
ただし、聴覚の障害と知的障害の両方で申請をする場合は、精神の診断書が必要になりますので、精神科もしくは知的障害を診ていただける病院を受診する必要があります。
精神の障害用診断書を書くことができる医師について
精神の障害用診断書は、精神保健指定医又は精神科を標ぼうする医師が作成できることとされています。
※なお、てんかん、知的障害、発達障害、認知症及び高次脳機能障害等、診療科が多岐に分かれている疾患については、小児科、脳神経外科、神経内科、リハビリテーション科、老年科等を専門とする医師が主治医となっている場合、これらの科の医師であっても、精神・神経障害の診断又は治療に従事している医師であれば、作成できることとなっております。
娘様の場合、生まれつきの聴覚障害で身体障害者手帳3級を持っているとのことですので、身体障害者手帳3級の状態を障害年金の認定基準に照らすと、2級に該当する可能性が考えられます。
そのため、聴覚障害のみで申請をしても、障害基礎年金2級が認定される可能性が考えられます。
聴覚障害の認定基準
【1級】
- 両耳の聴力レベルが100デジベル以上のもの
【2級】
- 両耳の聴力レベルが90デジベル以上のもの
- 両耳の平均純音聴力レベル値が80デジベル以上で、かつ、最良語音明瞭度が30%以下のもの
【3級】
- 両耳の平均純音聴力レベル値が70デジベル以上のもの
- 両耳の平均純音聴力レベル値が50デジベル以上で、かつ、最良語音明瞭度が50%以下のもの
- 一耳の平均純音聴力レベル値が80デジベル以上で、かつ、症状が固定していないもの
【障害手当金】
- 一耳の平均純音聴力レベル値が80デジベル以上で、かつ、症状が固定しているもの
知的障害でも2級が認定された場合は、併合で1級に認定されます。
療育手帳B1を持っているとのことですので、知的障害でも2級に認定される可能性は考えられ、聴覚障害と知的障害の併合で、障害基礎年金1級が受給できる可能性が考えられます。
知的障害の認定について
知的障害の認定に当たっては、知能指数のみに着眼することなく、日常生活のさまざまな場面における援助の必要度を勘案して総合的に判断されます。
日常生活能力等の判定当たっては、身体的機能および精神的機能を考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断されます。
知的障害の認定基準
- 1級…食事や身のまわりのことを行うのに全面的な援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が不可能か著しく困難であるため、日常生活が困難で常時援助を必要とするもの
- 2級…食事や身のまわりのことなどの基本的な行為を行うのに援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が簡単なものに限られるため、日常生活にあたって援助が必要なもの
これらについて参考にしていただき、知的障害でも申請を検討される場合は、精神科もしくは知的障害を診ていただける病院を受診しましょう。
(本回答は2022年6月現在のものです。)
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このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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