慢性腎不全のため人工透析を導入しているのですが、障害年金の遡及請求はできないのでしょうか。

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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私は5歳の時に遺伝性の腎炎が発覚しました。
そして25歳の時に慢性腎不全となり人工透析を導入しました。
しかし障害年金が受給できることを知らず、現在(40歳)になり今から請求を検討しています。
役所の方からは遡及請求の説明は受けましたが、無理だとも言われました。
なぜ無理なのか理解できないまま自宅に帰ってしまったのですが、私の場合、障害年金の遡及請求はできないのでしょうか。
ご質問者様の場合、20歳の時の診断書を取得することができれば、遡及請求は可能です。
その時点で、障害の状態が認定基準の1級もしくは2級に該当する程度であれば、さかのぼって支給を受けることができます。
遡及請求(さかのぼって請求すること)とは
遡及請求とは、障害認定日に障害等級に該当しているが、知らなかったなどの理由で、障害認定日から1年以上経過して請求するものです。
ご質問者様の場合、5歳時が初診日となりますので、20歳前傷病の障害基礎年金の申請となります。
20歳前傷病の障害基礎年金とは
先天性の病気などにより20歳前から障害があり、初診日が、20歳前(年金制度に加入していない期間)にあり、かつ、障害の状態が認定基準に該当する場合には、障害基礎年金を受けることができます。
等級は1級と2級があり、障害の程度によって決められます。
※初診日とは、出生直後に、あるいは乳幼児期の健康診断(6ヶ月〜3歳時健診)、または養護学校、更生相談所等の各種検査のいずれかにおいて、医師または歯科医師の診断により、20歳までに障害が確認されている場合や、療育手帳等が交付されている場合を含みます。
障害年金の審査を受けることができる時点は、障害認定日と現在の2時点のみとなります。
遡及請求をするためには、障害認定日当時の診断書が必要となります。
20歳前傷病の障害基礎年金の障害認定日
20歳前傷病の障害基礎年金の障害認定日は、
- 20歳の誕生日
- 請求する傷病の初診日から起算して1年6か月を経過した日
のいずれか遅い方となります。
ご質問者様の場合、遡及請求をするためには20歳の誕生日の前後3カ月以内の診断書が必要となります。
20歳時点では人工透析を受けていないこと、今から20年前になることから、役所の方は遡及請求は現実的ではないと判断されたのかもしれません。
20歳の障害認定日時点の診断書を取得することができ、以下の1級、2級に該当する程度であれば、遡及で障害年金を受給できる可能性が考えられます。
腎疾患の認定基準
【1級】
- 以下1〜2を満たすもの
- 内因性クレアチニンクリアランスが10ml/分未満または、血清クレアチニンが8mg/dl以上
- 身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの
【2級】
- 以下1〜2を満たすもの
- 内因性クレアチニンクリアランスが10ml/分以上20ml/分未満または、血清クレアチニンが5mg/dl以上8mg/dl未満
- 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の 50%以上は起居しているもの、または、身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の 50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
- 人工透析療法施行中のもの
【3級】
- 以下1〜2を満たすもの
- 内因性クレアチニンクリアランスが20ml/分以上30ml/分未満または、血清クレアチニンが3mg/dl以上5mg/dl未満
- 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の 50%以上は起居しているもの、または、軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの
- 以下1〜3を満たすもの
- 尿蛋白量が3.5以上を持続する
- 血清アルブミンが3.0g/dl以下または血清総蛋白が6.0g/dl以下
- 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の 50%以上は起居しているもの、または、軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの
上記のように、腎疾患の認定基準において、人工透析療法施行中のものは2級と認定されますが、人工透析をしていない場合は、検査成績等により等級が判断されます。
ご質問内容からは詳細がわかりかねますが、まずは遡及請求そのものができるのか、またできるとして認定基準に該当する程度であったか確認し、手続きについて検討しましょう。
なお、現在は人工透析をしているとのことですので、事後重症請求により、障害基礎年金2級の受給が可能となるでしょう。
事後重症請求とは
障害認定日に、障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなかった場合でも、その後、状態が悪化し、障害等級に該当する障害の状態となった場合、65歳に達する日の前日までに裁定請求をすることができます。
障害年金の申請について
ご自身で書類をしっかり準備したつもりが、症状に合った等級が認められないケースや、不支給となるケースが見受けられます。
このようなことを防ぐためには専門知識が必要となりますが、そうなると社労士に相談するか関連書籍を参照しなければなりません。
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平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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