父は現在79歳で、人工透析を行っています。障害基礎年金を遡求請求するのは難しいでしょうか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
-
私の父は現在79歳で、糖尿病性腎症から人工透析を行っています。
父は障害基礎年金を知らず、今まで生活保護で暮らしていました。
障害基礎年金のことを調べると、遡及請求ができることを知りました。
糖尿病の初診日は、父が54歳の時で、カルテが残っているとのことでした。
初診日から1年6ヶ月後の障害の状況は、今よりまだ軽いものでしたが、
自営の運送業ができなくなり、その頃から生活保護だったと思います。
65歳になる前にはすでに血糖値のコントロールはできていませんでした。
初診日2ヶ月前から1年間未納はありません。
この状態で障害基礎年金を遡求請求するのは難しいでしょうか?
本回答は2019年1月現在のものです。
ご質問内容から、障害基礎年金を遡及請求するのは、
難しいことが考えられます。
障害年金は原則として、65歳の誕生日の2日前までに申請しなければなりません。
65歳以降でも申請できる場合は以下に限られます。
65歳以降でも障害年金を申請できる場合
- 初診日が、65歳の2日前までにあり、障害認定日の障害状態が障害等級に該当している場合
- 前発傷病と後発傷病を併せて、65歳前にはじめて2級となった場合
- 初診日において国民年金の任意加入者であった場合
- 初診日において厚生年金加入中であった場合
ご質問内容から、上記1に該当することが考えられ、
障害年金の請求をするためには、遡及請求をしなければなりません。
遡及請求とは
遡及請求とは、障害認定日に障害等級に該当しているが、
知らなかったなどの理由で、障害認定日から1年以上経過して請求するものです。
障害認定日から3か月以内の診断書を取得することができれば、
遡及請求を行うことができます。
障害認定日とは
障害認定日とは、障害の程度の認定を行うべき日をいい、原則として、
- 初診日から起算して1年6月を経過した日
- 傷病が治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)
のいずれか早い日となります。
初診日とは
初診日とは、障害の原因となった傷病について、
初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。
初診日のカルテが残っているとのことですので、
初診日が特定でき、その時点の保険料納付要件を満たし、
障害認定日の時点の状態が認定基準の該当している場合、
遡って支給されます。
保険料納付要件とは
初診日の前日において以下の1または2を満たしている必要があります。
- 初診日の属する月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
- 初診日において65歳未満であり、初診日の属する月の前々月までの直近1年間に保険料の未納期間がないこと
※20歳前に初診日がある場合は、保険料納付要件は問われません。
糖尿病の認定基準は、以下の通りです。
糖尿病の認定基準
以下のすべてを満たすものについて、3級に認定されます。
- 90日以上のインスリン治療を行っている
- Cペプチド値、重症低血糖、糖尿病ケトアシドーシス、高血糖高浸透圧症候群のいずれかが一定の程度
- 日常生活の制限が一定の程度
糖尿病性腎症を合併したものによる障害の程度は、
腎疾患による障害の認定基準により認定されます。
3級は厚生年金にしかない等級ですので、初診日の時点で厚生年金に加入し、
障害厚生年金の請求であれば認定が得られる可能性が考えられますが、
初診日の時点で自営業で、国民年金に加入していた場合は、
障害基礎年金の請求となるため、3級相当では支給されません。
今より軽いものだったとのことですので、認定を得ることは難しい可能性が考えられます。
また、年金を受け取る権利は、権利が発生してから5年を経過すると時効消滅します。
そのため、遡及請求が認められたとしても、
実際に支給を受けることが出来るのは、時効消滅していない直近の5年分となります。
お父さまの場合、現在79歳とのことですので、
74歳の時点で老齢基礎年金を受給している場合は、
障害基礎年金と老齢基礎年金のどちらか有利な方を選択することとなり、
差額分が支給されることになります。
また、老齢基礎年金ではなく生活保護を受けている場合は、
生活保護を返還することになります。
生活保護と障害年金の関係
生活保護と障害年金の両方の受給権を得られた場合、
障害年金は満額支給され、生活保護費の方が調整を受けることとなります。
生活保護と障害年金は以下のような関係になります。
- 最低生活費>障害年金の場合、障害年金は満額、最低生活費は障害年金との差額分が支給されます。
- 最低生活費<障害年金の場合、障害年金は満額、最低生活費は支給されません。
上記のように、たとえ遡及請求が認められたとしても、
5年以上前から老齢基礎年金もしくは生活保護を受けているのであれば、
遡及請求をするメリットはあまり感じられないかもしれません。
◎障害年金の申請について
ご自身で書類をしっかり準備したつもりが、症状に合った等級が認められないケースや、不支給となるケースが見受けられます。
このようなことを防ぐためには専門知識が必要となりますが、そうなると社労士に相談するか関連書籍を参照しなければなりません。
当サイトでは1分で障害年金をもらえるか、カンタン査定をいたします。
◎社労士への依頼も合わせてご検討ください
審査を受ける機会は審査請求、再審査請求を含めて3回あります。
しかし、1度目の請求で認められない場合、2度目以降で決定が覆るのは、たった14.7%となっています。より確実に認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
こちらも合わせてご検討ください。疑問などがございましたら、下記よりお気軽にお問い合わせください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
難しいに関するその他のQ&A
- 今は統合失調症と診断されているのですが、一度却下されているので今から認定をもらうのは難しいですか?
- 10年前に人格障害で障害年金を申請したら、却下されました。今は統合失調症と診断されているのですが、一度却下されているので今から認定をもらうのは難しいですか?
- 障害年金の申請を考えているのですが、社労士の力を借りないと難しいですか?
- 私は32歳の時に双極性障害と診断され、その後休職、復職、転職を繰り返してきました。しかし病状が安定せず、現在は無職で無収入の状態です。障害年金の申請を考えているのですが、社労士の力を借りないと難しいですか?
- 起立性低血圧や過敏性腸症候群、パニック障害で障害年金がもらえる可能性はありますか?
- 私は16歳くらいの時から、起立性低血圧や過敏性腸症候群などで内科に通院していました。なかなか治らず、18歳の頃にはパニック障害も発症し、この頃から心療内科をメインに通院をしています。今も常に動悸、震え、腹痛、不安感があり、外出が困難です。障害年金のことを知り、申請したいと思っていますが、私の場合もらえる可能性はありますか?
- 不安障害、パニック障害で障害年金の受給は難しいでしょうか?
- 妻(28歳)の障害年金を申請しようと考えています。妻は17歳の時から精神科に通院し、今も同じクリニックに通っています。病名は自律神経失調症から不安障害、パニック障害と変わり、仕事も家のこともほとんどできない状態です。外出も一人ではできないので、必ず家族が付き添います。妻の世話で私の仕事にも制限があり、副業もできず、生活が苦しい状況です。こんな状態ですが障害年金の受給は難しいでしょうか。
- 乾癬性関節炎で障害厚生年金3級がもらえるでしょうか?
- 私は20代男性、乾癬性関節炎と診断されています。2年前に頭に湿疹のようなものができ皮膚科を受診。その1週間後くらいに関節痛があったので整形外科を受診。関節痛が治まらなかったので、別の整形外科を受診し、半年で3か所くらい転々としました。さらに1年後に線維筋痛症かと思い専門医を受診したところ、乾癬性関節炎だと言われました。そして今は乾癬性関節炎専門の病院に通院しています。このような経緯ですが、初診日は最初の皮膚科ということでいいのでしょうか?だとすれば、その時は厚生年金に加入していたので、障害厚生年金3級がもらえるでしょうか?会社は去年退職したので、乾癬性関節炎と診断されたときが初診日になると、障害基礎年金になるので2級以上じゃないともらえません。2級は難しいでしょうか?