緑内障が進行し車の運転ができなくなったので、障害厚生年金3級が受けられますか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
-
私の父(60歳)は、最近緑内障が進行し、車の運転ができなくなりました。
父は自営でタクシーの運転手を何十年もやっており、今労働に著しい制限を受ける状態です。
これは障害年金3級が受けられるということでしょうか。
ご質問内容からは、具体的な視力や視野障害の状態がわかりかねるため、3級に該当するかの判断は致しかねます。
障害年金3級の基本の状態は、「労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度もの」ですが、眼の障害や聴覚の障害など、それぞれの障害の程度について認定基準が設けられています。
眼の障害のうち、視力障害および視野障害の認定基準は、次の通りです。
障害の状態がいずれかに該当する場合は、障害年金が受けられる可能性が考えられます。
視力障害の認定基準について
【1級】
- 視力の良い方の眼の視力が0.03以下のもの
- 視力の良い方の眼の視力が0.04かつ他方の眼の視力が手動弁以下のもの
【2級】
- 視力の良い方の眼の視力が0.07以下のもの
- 視力の良い方の眼の視力が0.08かつ他方の眼の視力が手動弁以下のもの
【3級】(症状が固定していないもの)
- 視力の良い方の眼の視力が0.1以下のもの
【障害手当金】(症状が固定しているもの)
- 視力の良い方の眼の視力が0.6以下のもの
- 一眼の視力が0.1以下のもの
視野障害の認定基準
◎自動視野計に基づく認定基準
- 1級…両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が20点以下のもの
- 2級…両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が40点以下のもの
- 3級…両眼開放視認点数が70点以下のもの
- 障害手当金…両眼開放視認点数が100点以下のもの又は、両眼中心視野視認点数が40点以下のもの
◎ゴールドマン型視野計に基づく認定基準
【1級】- 両眼のI/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつI/2視標による両眼中心視野角度が28度以下のもの
【2級】
- 両眼のI/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつI/2視標による両眼中心視野角度が56度以下のもの
- 求心性視野狭窄又は輪状暗点があるものについて、I/2の視標で両眼の視野がそれぞれ5度以内におさまるもの
【3級】(症状が固定していないもの)
- 両眼のI/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下のもの
【障害手当金】(症状が固定しているもの)
- 両眼による視野が2分の1以上欠損したもの
- I/2視標による両眼中心視野角度が56度以下のもの
なお、障害年金を受給するためには、上記の認定基準と併せて、次の初診日要件および保険料納付要件についても確認しなければなりません。
初診日要件とは
初診日は、国民年金と厚生年金のどちらに加入していたか、その加入していた制度によって、もらえる年金の種類が決まります。
- 初診日が厚生年金被保険者期間中にある場合は、障害厚生年金
- 初診日が国民年金被保険者期間中にある場合は、障害基礎年金
- 初診日が20歳前または60歳以上65歳未満(国内に住んでいる方のみ)の年金未加入期間にある場合は、障害基礎年金
※初診日とは…障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。
※障害基礎年金と障害厚生年金の障害等級について
- 障害基礎年金…1級および2級
- 障害厚生年金…1級、2級および3級
症状の重さによって等級が分けられています。3級が最も症状が軽く、2級、1級になるにつれて症状が重く、また受給額も多くなります。
保険料納付要件とは
初診日の前日において以下の1または2を満たしている必要があります。
- 初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
- 初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと
※ただし、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、納付要件はありません。
お父さま様の場合、いつから緑内障を患っているか分かりかねますが、障害の状態と併せて初診日要件や保険料納付要件についても確認し、申請をご検討されてはいかがでしょうか。
(本回答は2022年7月現在のものです。)
障害年金の申請について
ご自身で書類をしっかり準備したつもりが、症状に合った等級が認められないケースや、不支給となるケースが見受けられます。
このようなことを防ぐためには専門知識が必要となりますが、そうなると社労士に相談するか関連書籍を参照しなければなりません。
当サイトでは1分で障害年金をもらえるか、カンタン査定をいたします。
◎社労士への依頼も合わせてご検討ください
審査を受ける機会は審査請求、再審査請求を含めて3回あります。
しかし、1度目の請求で認められない場合、2度目以降で決定が覆るのは、たった14.7%となっています。より確実に認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
こちらも合わせてご検討ください。疑問などがございましたら、下記よりお気軽にお問い合わせください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
緑内障に関するその他のQ&A
- 視力障害と人工肛門をあわせたら障害基礎年金2級になるでしょうか。
- 母(55歳)は2年前に緑内障で両眼の手術をしており、視力が著しく低下したため障害年金の申請をしようかと思ったのですが、主治医から難しいと言われたため、その時は申請はしませんでした。現在、直腸がんのため人工肛門の手術を受けたので、今回は障害年金の申請をしようと思っています。母は障害基礎年金の申請になるので、2級にならないと受給できないのですが、視力障害と人工肛門をあわせたら2級になるでしょうか。
- 退職後であれば障害年金の受給は可能でしょうか。
- 私は生まれつき視神経が弱い病気で、幼少期から通院しています。症状は視野が欠けるもので、緑内障に似ています。治療は点眼のみです。現在40歳で、15年ほど事務の仕事をしてきましたが、これ以上病気を進行させたくないため、退職を検討しています。現時点で障害年金をいただくことは難しいかもしれませんが、退職後であれば受給は可能でしょうか。
- 視野欠損が進んで仕事に支障をきたすようになれば、障害年金がもらえるでしょうか。
- 私は現在50代女性です。パートで事務の仕事をしています。最近書類やパソコンが見えづらいと感じて、メガネ屋で老眼鏡を作りに行ったのですが、緑内障ではないかと言われました。眼科で検査をしたら、軽度の視野欠損があると言われました。今後視野欠損が進んで仕事に支障をきたすようになれば、障害年金がもらえるでしょうか。
- 緑内障で障害者手帳の審査は該当しなかったので、障害年金の申請も通らないのでしょうか。
- 私の父(58歳)は、糖尿病の合併症で緑内障にかかり、視力が低下し視野も狭くなっています。障害者手帳を申請したのですが、審査で該当せずダメでした。この場合、障害年金の申請も通らないということでしょうか。
- 緑内障のため視野欠損もある状態は障害厚生年金が支給されますか?
- 私は現在50代男性会社員です。ちょうど1年前に左目が緑内障と診断され、治療を開始しました。レーザー手術も受け、それでも再び眼圧が上昇したため、再度レーザー手術を受けましたが効果はありませんでした。現在視野欠損もしております。この状態は障害厚生年金が支給されますか?