白内障と緑内障で障害者手帳がもらえませんでした。障害年金を申請しても無駄ですか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
-
現在、父は57歳です。
糖尿病の合併症で白内障と緑内障にかかり視力がかなり低下してしまい、
眼鏡をかけても仕事をすることができません。
そこで障害者手帳を申請したのですが審査で該当せずだめでした。
このような場合、障害年金は受けられるのでしょうか?
申請しても無駄でしょうか?
本回答は2017年6月時点のものです。
身体障害者手帳と障害年金の関係について
身体障害者手帳と障害年金は、
根拠法、認定基準、審査機関の異なる全く別の制度となっています。
そのため両者の等級は対応していません。
ただし、手帳の等級から障害の程度を推察して、
障害年金の等級に該当するかを判断することは可能です。
身体障害者手帳の5級、6級の程度は以下の通りです。
【5級】
- 両眼の視力の和が0.13以上0.2以下のもの
- 両眼による視野の1/2以上が欠けているもの
【6級】
- 一眼の視力が0.02以下、他眼の視力が0.6以下のもので、両眼の視力の和が0.2を超えるもの
一方、障害年金の眼の障害による障害の程度は、以下により認定されます。
視力障害の各等級に該当する障害の状態は以下の通りとなっております。
視力障害の認定基準
- 1級…両眼の視力の和が0.04以下のもの
- 2級…両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの
- 3級…両眼の視力が0.1以下に減じたもの、または、障害手当金の程度であり症状固定していないもの
- 障害手当金…両眼の視力が0.6以下に減じたもの、または、一眼の視力が0.1以下に減じたもの
視野障害の認定基準は以下の通りです。
視野障害の認定基準
視野障害の認定基準は、次のいずれかを満たすものとなっています。
【2級】
- 両眼の視野が5度以内(I/2視標)
- 両眼の視野が10度以内(I/4視標)であり、かつ中心10度以内の8方向の残存視野のそれぞれの角度の合計が56度以下(I/2視標)
【3級】(症状が固定していないもの)
- 両眼の視野が10度以内のもの
- 両眼による視野が2分の1以上欠損したもの…片眼ずつ測定し、それぞれの視野表を重ね合わせることで、測定した視野の面積が生理的限界の面積の1/2以上欠損しているもの
視力障害と視野障害が併存している場合
視力障害と視野障害が併存している場合、併合認定の取扱いを行われます。
お父さまの場合、身体障害者手帳の申請で審査が通らなかったとのことですので、
身体障害者手帳6級の程度よりも軽いものと推察されます。
その場合、障害年金の視野障害の認定基準においては、
3級以下とされることが考えられ、受給することは難しいでしょう。
視力障害の認定基準においては、3級もしくは障害手当金相当とされることが考えられます。
障害手当金とは
障害手当金は、厚生年金に加入している間に初診日のある
病気やけがが初診日から5年以内に治り、
3級の障害よりやや程度の軽い障害が残ったときに支給される一時金です。
「傷病が治ったもの」とは
障害年金において「傷病が治ったもの」とは、
器質的欠損もしくは変形又は機能障害を残している場合は、
医学的に傷病が治った時、又は、その症状が安定し、長期にわたって
その疾病の固定性が認められ、医療効果が期待し得ない状態に至った場合をいいます。
また、糖尿病も障害年金の認定対象となっています。
糖尿病の認定基準
以下のすべてを満たすものについて、3級に認定されます。
- 90日以上のインスリン治療を行っている
- Cペプチド値、重症低血糖、糖尿病ケトアシドーシス、高血糖高浸透圧症候群のいずれかが一定の程度
- 日常生活の制限が一定の程度
症状、検査成績および具体的な日常生活状況等によっては、
さらに上位等級に認定されることも考えられます。
ご質問内容からは、検査成績や日常生活状況等が分かりかねますので、
障害年金の受給の可否については判断いたしかねますが、
糖尿病での障害年金申請についても、上記を参考いただき、
検討されてはいかがでしょうか。
障害年金の申請について
障害の状態によって等級が決まりますが、
提出書類によって、2級相当の状態なのに3級となったり不支給となったり
というケースが数多くあります。
そのため関連書籍をご購入の上、申請されることをお勧めします。
審査のチャンスは審査請求、再審査請求を含めて3回ありますが、
1度目に不支給となると再審査請求で支給が決定するのは14.7%となっています。
慎重にご準備ください。
申請の流れはこちらにて解説していますので、ご参考にしてください。
社労士への依頼も合わせてご検討ください
よりスムーズに認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
私は元厚生労働省の事務官ですので、
役所の論理・理屈を理解しており、これまで90%以上の確率で認定を得ています。
もし社労士への依頼を検討される場合は、こういった点も合わせてお考えください。
疑問などがございましたら、下記お問い合わせフォームからお気軽にご質問ください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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