生まれつきの弱視ですが、視力が低下したのは仕事のせいですので、障害厚生年金の受給になるでしょうか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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私は生まれつきの弱視で、今までは障害者手帳4級をもっていました。
高校を卒業してからすぐに工場の仕事に就き、現在(30歳)も働いています。
仕事で目を酷使するためか、数年ぶりに検査をしたところ、視力が低下していました。
手帳の等級が3級になる予定で、障害年金がもらえるそうです。
私の場合、生まれつきの弱視ですが、視力が低下したのは仕事のせいですので、障害厚生年金の受給になるでしょうか?
ご質問者様の場合、障害厚生年金ではなく、障害基礎年金の請求になる可能性が考えられます。
障害厚生年金か障害基礎年金か、どちらの請求になるかについては、初診日の時点でどちらの年金制度に加入していたかによって決まります。
初診日とは、初めて病院を受診した日のことです。
ご質問者様のように、生まれつき弱視で、その後視力が低下したケースでは、双方に相当因果関係があると判断された場合は、弱視のために初めて病院を受診した日が初診日になります。
初診日の時点で厚生年金ではなく、国民年金未加入期間中であった場合は、障害基礎年金の請求になります。
初診日とは
障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。
具体的には次のような場合が初診日とされます。
- 初めて診療を受けた日(治療行為又は療養に関する指示があった日)
- 同一の傷病で転医があった場合は、一番初めに医師等の診療を受けた日
- 過去の傷病が治癒し同一傷病で再度発症している場合は、再度発症し医師等の診療を受けた日
- 傷病名が確定しておらず、対象傷病と異なる傷病名であっても、同一傷病と判断される場合は、他の傷病名の初診日が対象傷病の初診日
- 障害の原因となった傷病の前に、相当因果関係があると認められる傷病があるときは、最初の傷病の初診日が対象傷病の初診日
※ただし、知的障害の場合は、出生日が初診日となります。
相当因果関係とは
前の疾病または負傷がなかったならば、後の疾病が起こらなかったであろうと認められる場合は、相当因果関係ありと見て前後の傷病を同一傷病として取り扱います。
そのため初診日は、前の疾病または負傷について初めて医師等の診療を受けた日となります。
障害厚生年金か障害基礎年金か
障害厚生年金を受給できるか、障害基礎年金の受給となるかは、初診日(初めて病院を受診した日)に加入していた年金制度によって決まります。
- 初診日が厚生年金被保険者期間中にある場合は、障害厚生年金
- 初診日が国民年金被保険者期間中にある場合は、障害基礎年金
- 初診日が20歳前または60歳以上65歳未満(国内に住んでいる方のみ)の年金未加入期間にある場合は、障害基礎年金
障害基礎年金と障害厚生年金の障害等級について
- 障害基礎年金…1級および2級
- 障害厚生年金…1級、2級および3級
※症状の重さによって等級が分けられています。
※3級が最も症状が軽く、2級、1級になるにつれて症状が重く、また受給額も多くなります。
ご質問者様の場合、障害者手帳が3級になる予定とのことですので、障害基礎年金2級が受給できる可能性が考えられます。
次の認定基準を参考にしていただき、申請をご検討されてはいかがでしょうか。
視力障害の認定基準
- 1級…両眼の視力の和が0.04以下のもの
- 2級…両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの
- 3級…両眼の視力が0.1以下に減じたもの、または、障害手当金の程度であり症状固定していないもの
- 障害手当金…両眼の視力が0.6以下に減じたもの、または、一眼の視力が0.1以下に減じたもの
※屈折異常のあるものについては、矯正視力により認定する。
※両眼の視力とは、それぞれの視力を別々に測定した数値であり、両眼の視力の和とは、それぞれの測定値を合算したものをいう。
(本回答は2021年8月現在のものです。)
障害年金の申請について
ご自身で書類をしっかり準備したつもりが、症状に合った等級が認められないケースや、不支給となるケースが見受けられます。
このようなことを防ぐためには専門知識が必要となりますが、そうなると社労士に相談するか関連書籍を参照しなければなりません。
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審査を受ける機会は審査請求、再審査請求を含めて3回あります。
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お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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