慢性閉塞性肺疾患(COPD)で障害年金がもらえるのですか?
- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
-
私の友人が慢性閉塞性肺疾患(COPD)で10年が経ちます。
医者や周りがどれだけ禁煙を言ってもやめなくて、少し歩いただけで息が上がる状態です。
今は58歳で自営業をやってきましたが、
早歩きで100m歩くと呼吸が乱れて汗がダラダラな状態なので、仕事はやめるそうです。
年金をもらうそうですが、老齢年金は65歳からですよね?
障害年金がもらえるのですか?
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本回答は2017年7月時点のものです。
障害年金とは
障害年金は、怪我や病気が原因で精神や身体に障害を負い、
労働や日常生活に支障のある方に支給される制度であり、
老齢年金などと同じ公的年金のひとつです。
障害年金をもらうためには3つの要件があります。
支給要件を満たすことができれば受給が可能です。
「初診日要件」とは
障害の原因となった病気やケガを医者か歯科医師に診てもらった日は、
国民年金と厚生年金のどちらに加入していたか、
その加入していた制度によって、もらえる年金の種類が決まります。
「保険料納付要件」とは
初診日の前日において以下の1または2を満たしている必要があります。
- 初診日の属する月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
- 初診日において65歳未満であり、初診日の属する月の前々月までの直近1年間に保険料の未納期間がないこと
※20歳前に初診日がある場合は、保険料納付要件は問われません。
「障害認定日要件」とは
障害認定日において、一定以上の障害状態にあるかどうかで判断されます。
※障害認定日とは、障害の程度の認定を行うべき日をいい、原則として、
- 初診日から起算して1年6月を経過した日
- 傷病が治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)
のいずれか早い日となります。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、
慢性気管支炎や肺気腫などによって生じる肺の病気の総称です。
重症になると呼吸不全に至り、息苦しさのために日常生活ができなくなるとも言われています。
呼吸不全の認定基準は以下の通りです。
呼吸器疾患の認定基準
【A表 動脈血ガス分析値】
区分
検査項目
単位
軽度異常
中等度異常
高度異常
1
動脈血O2分圧
Torr
70~61
60~56
55以下
2
動脈血CO2分圧
Torr
46~50
51~59
60以上
(注)病状判定に際しては、動脈血 O2分圧値を重視する。
【B表 予測肺活量1秒率】
検査項目
単位
軽度異常
中等度異常
高度異常
予測肺活量1秒率
%
40~31
30~21
20以下
【1級】
以下2点を満たすもの
- 上記A表及びB表の検査成績が高度異常を示すもの
- 身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの
【2級】
以下2点を満たすもの
- 上記A表及びB表の検査成績が中等度異常を示すもの
- 身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の 50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの、または、歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の 50%以上は起居しているもの
【3級】
以下2点を満たすもの
- 上記A表及びB表の検査成績が軽度異常を示すもの
- 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の 50%以上は起居しているもの、または、軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの
なお、呼吸不全の障害の程度の判定は、A表の動脈血ガス分析値を優先するが、
その他の検査成績等も参考とし、認定時の具体的な日常生活状況等を把握して、
総合的に認定するとされています。
ご質問内容から、日常生活にも支障をきたしているようですが、
まずは、きちんと禁煙をするなど、的確な治療を行う必要があるでしょう。
的確な治療の下、なおも上記の症状を示す場合は、受給の可能性も考えられます。
その他の支給要件を満たしているのであれば、
申請を検討されてはいかがでしょうか。
なお、老齢基礎年金は原則として65歳から受給が可能となりますが、
希望すれば60歳から65歳になるまでの間でも繰上げて受けることができます。
老齢基礎年金を繰り上げ受給した場合、
障害年金の事後重症請求ができなくなります。
事後重症請求とは
傷病により障害の状態にあるものが、
障害認定日(原則として初診日から1年6月経過した日)において
障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなかった場合でも、
その後、状態が悪化し、障害等級に該当する障害の状態となった場合、
65歳に達する日の前日までに裁定請求をすることができます。
また、老齢年金と障害年金とは、併せて受給することはできません。
今後両方の受給権を得られた場合は、
最も有利となる組み合わせを選択することになります。
障害年金と老齢年金の両方の受給権を得られた場合の組み合わせ
障害年金と老齢年金の両方の受給権を得られた場合の受給可能な組み合わせは、
- 障害基礎年金+障害厚生年金
- 老齢基礎年金+老齢厚生年金
- 障害基礎年金+老齢厚生年金
の3通りとなり、上記の中から有利なものを選択することになります。
途中で選択替えをすることも可能です。
障害年金の申請について
障害の状態によって等級が決まりますが、
提出書類によって、2級相当の状態なのに3級となったり不支給となったり
というケースが数多くあります。
そのため関連書籍をご購入の上、申請されることをお勧めします。
審査のチャンスは審査請求、再審査請求を含めて3回ありますが、
1度目に不支給となると再審査請求で支給が決定するのは14.7%となっています。
慎重にご準備ください。
申請の流れはこちらにて解説していますので、ご参考にしてください。
社労士への依頼も合わせてご検討ください
よりスムーズに認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
私は元厚生労働省の事務官ですので、
役所の論理・理屈を理解しており、これまで90%以上の確率で認定を得ています。
もし社労士への依頼を検討される場合は、こういった点も合わせてお考えください。
疑問などがございましたら、下記お問い合わせフォームからお気軽にご質問ください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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