生活保護をやめて障害年金をもらうメリットが私にありますか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
-
私は発達障害と統合失調症の診断を受けています。
会社で働いていた時は、ミスばかりで人付き合いができず、
変なやつだ、変わってると言われながら、今は会社を辞めて引きこもり状態です。
働く意欲も体力もなく、生活保護を受けていますが、
市役所からは障害年金をもらうように指導されています。
生活保護をやめて障害年金をもらうメリットが私にありますか?
本回答は2019年9月現在のものです。
生活保護と障害年金の両方の受給権が得られた場合は、以下の通りとなります。
生活保護と障害年金の関係
生活保護と障害年金の両方の受給権を得られた場合、
障害年金は満額支給され、生活保護費の方が調整を受けることとなります。
生活保護と障害年金は以下のような関係になります。
- 最低生活費>障害年金の場合、障害年金は満額、最低生活費は障害年金との差額分が支給されます。
- 最低生活費<障害年金の場合、障害年金は満額、最低生活費は支給されません。
ご質問者様の場合、現在は働く意欲も体力もないとのことですので、
障害年金の認定を受けても、お手元に入る金額は変わらないでしょう。
もし今後就労を検討される場合は、障害年金を請求されておくとより良いでしょう。
生活保護を受けながら就労した場合、給与額の分、最低生活費が調整を受けます。
しかし、障害年金は、給与と障害年金の受給額の調整は行われません。
また、障害年金を受給するためには支給要件を満たす必要があります。
下記の支給要件を満たしているのであれば、
障害年金を請求することもご検討されてはいかがでしょうか。
障害年金を受給するための3つの条件
- 初診日要件…障害の原因となった病気やケガを医者か歯科医師に診てもらった日は、国民年金と厚生年金のどちらに加入していたか
- 保険料納付要件…一定以上の年金保険料を納めているかどうか。
- 障害認定日要件…厚生労働省が定めた「障害の基準」を満たしているかどうか
「初診日要件」とは
初診日は、国民年金と厚生年金のどちらに加入していたか、
その加入していた制度によって、もらえる年金の種類が決まります。
- 初診日が厚生年金被保険者期間中にある場合は、障害厚生年金
- 初診日が国民年金被保険者期間中にある場合は、障害基礎年金
- 初診日が20歳前または60歳以上65歳未満(国内に住んでいる方のみ)の年金未加入期間にある場合は、障害基礎年金
※初診日とは…障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。ただし、知的障害の場合は、出生日が初診日となります。
「保険料納付要件」とは
初診日の前日において以下の1または2を満たしている必要があります。
- 初診日の属する月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
- 初診日において65歳未満であり、初診日の属する月の前々月までの直近1年間に保険料の未納期間がないこと
※20歳前に初診日がある場合は、保険料納付要件は問われません。
「障害認定日要件」とは
障害認定日において、一定以上の障害状態にあるかどうかで判断されます。
※障害認定日とは、障害の程度の認定を行うべき日をいい、原則として、
- 初診日から起算して1年6月を経過した日
- 傷病が治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)
のいずれか早い日となります。
発達障害の認定について
発達障害については、
たとえ知能指数が高くても社会行動やコミュニケーション能力の障害により
対人関係や意思疎通を円滑に行うことが出来ないために
日常生活に著しい制限を受けることに着目して認定をされます。
発達障害の認定基準
【1級】
以下1〜2を満たすもの
- 社会性やコミュニケーション能力が欠如している
- 著しく不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの
【2級】
以下1〜2を満たすもの
- 社会性やコミュニケーション能力が乏しい
- 不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの
【3級】
以下1〜2を満たすもの
- 社会性やコミュニケーション能力が不十分
- 社会行動に問題がみられるため、労働が著しい制限を受けるもの
統合失調症の認定について
統合失調症は、罹患後数年ないし十数年の経過中に症状の好転を見ることもあり、
また、その反面急激に増悪し、その状態を持続することもある。
したがって、統合失調症として認定を行うものに対しては、
発病時からの療養及び症状の経過を十分考慮するものとされています。
統合失調症の認定基準
- 1級…高度の残遺状態又は高度の病状があるため高度の人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験が著明なため、常時の援助が必要なもの
- 2級…残遺状態又は病状があるため人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があるため、日常生活が著しい制限を受けるもの
- 3級…残遺状態又は病状があり、人格変化の程度は著しくないが、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があり、労働が制限を受けるもの
◎障害年金の申請について
ご自身で書類をしっかり準備したつもりが、症状に合った等級が認められないケースや、不支給となるケースが見受けられます。
このようなことを防ぐためには専門知識が必要となりますが、そうなると社労士に相談するか関連書籍を参照しなければなりません。
当サイトでは1分で障害年金をもらえるか、カンタン査定をいたします。
◎社労士への依頼も合わせてご検討ください
審査を受ける機会は審査請求、再審査請求を含めて3回あります。
しかし、1度目の請求で認められない場合、2度目以降で決定が覆るのは、たった14.7%となっています。より確実に認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
こちらも合わせてご検討ください。疑問などがございましたら、下記よりお気軽にお問い合わせください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
働きながらに関するその他のQ&A
- 母を扶養に入れると、世帯収入が増えたとみなされて妻の障害年金が減ることはあるのでしょうか?
- 私の妻は、現在障害年金3級を受給しており、私の社会保険の扶養に入っています。今度、私の母を扶養に入れる予定ですが、母は老齢年金を年100万円ほど受給しており、そのことで世帯収入が増えたとみなされて妻の障害年金が減ることはあるのでしょうか?
- ここ何年も年金を免除してもらっていますが、障害年金を受給することはできるのでしょうか?
- 私は5年前からパニック障害で心療内科に通院をしていますが、うつ病へと進行し、現在も治療を継続しています。生活のためパートやアルバイトをしていますが、長続きせず、転々としています。最近障害年金について知り、もし障害年金を受給できるなら、ゆっくり治療に励みたいと考えています。しかし私はここ何年も年金を免除してもらっています。このような状況で障害年金を受給することはできるのでしょうか?
- 世帯収入が十分にある場合、障害年金の受給資格はなくなってしまうのでしょうか?
- 28歳の妹がうつ病のため仕事ができない状態となっています。きっかけは上司や同僚から強い叱責を受けたことで、はじめの頃は通院しながら仕事を続けていたのですが、休職となり、そのまま復帰できず退職となりました。今はアルバイトもできない状態で、実家に引きこもっています。医師から障害年金のことを教えてもらい申請を検討していますが、実家では両親ともまだ現役で働き、私も正社員で働いているので、世帯収入は十分あります。同世帯である妹は、障害年金の受給資格はなくなってしまうのでしょうか?
- 幻聴の症状があり疲労のため仕事はできません。障害年金は認定されますでしょうか?
- 私は現在55歳で、5年前から幻聴の症状があります。起きている時も睡眠中もあって目を覚ます状態なので、疲労はこの上なく、仕事はできません。薬を飲んでも体がだるくなるだけで効きません。なので精神科には行ってません。この状態で障害年金は認定されますでしょうか?
- 障害年金の申請には、主治医の許可がいるのですか?
- 今から2年ほど前に、心臓疾患があることがわかりました。当時はフルタイムで働いていましたが、治療のため1日3時間程度の軽いパートに変わりました。障害年金の申請をしたいので役所に聞いてみたところ、一度主治医に許可をもらってから用紙を取りに来てくださいと言われました。障害年金の申請には、主治医の許可がいるのですか?