まず、遡及請求について確認し、次に精神障害で就労している場合の障害年金の審査について確認しましょう。
遡及請求とは
障害認定日(原則として初診日から1年6月を経過した日)から長期間経過していたとしても、障害認定日から3か月以内の診断書を取得することができれば、障害認定日時点で審査を受けることができます。
審査の結果、障害認定日の時点で障害等級に該当すると判断された場合、障害認定日にさかのぼって受給権が得られ、障害認定日の翌月分から現在までの障害年金(最大5年分)をさかのぼって受給することができます。
この遡及請求は、障害認定日時点での障害の状態を審査されることとなります。
本事案の場合、障害認定日時点ではフルタイムで就労していたとのことですので、精神障害で働いている場合の障害年金の審査について確認しましょう。
精神障害で就労している場合の日常生活能力の判断について
精神障害で就労している場合、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している方については、
- 療養状況…通院の状況や在宅での療養の状況等
- 仕事の種類、内容…その仕事を一般の人と同じ条件でこなせているか、病気のために特別な配慮や制限が必要な状態か
- 就労状況…出勤状況への影響はないか
- 仕事場で受けている援助の内容…職場が病気に合わせて、どれだけ手加減やサポートをしてくれているか
- 他の従業員との意思疎通の状況…臨機応変な対応や意思疎通に困難な状況が見られないか
等を十分確認したうえで日常生活能力を判断されます。
働きながら障害年金を受給している方はどれくらいいるのか
働いているからといって、不支給になるとは限りません。
障害年金の受給者のうち、34.06%の方々が働きながら受給しています。
| 受給者数 |
働いていない |
働いている |
働いている人の割合 |
| 2,096,000人 |
1,346,000人 |
714,000人 |
34.06% |
参照元:年金制度基礎調査(障害年金受給者実態調査)
そして、精神の障害については、28.28%の方々が働きながら受給しています。
精神障害による
受給者数 |
働いていない |
働いている |
働いている人の割合 |
| 725,000人 |
508,000人 |
205,000人 |
28.28% |
また、働いていることを理由に支給が認められなかった方が訴訟した結果、受給が認められた判例もあります。
このように、働いているからといって受給できないわけではないことがわかります。
本事案の場合
上記の通り、障害年金の審査では、就労の一事をもって受給の可否が決まるものではありません。
あくまでも障害の状態の審査を受け、等級が決定されます。
就労していたとしても、以下の障害の状態に該当するようであれば、認定を得られる可能性が考えられます。
| 障害年金の等級 |
障害の状態 |
3級 ※障害厚生年金のみ |
労働に著しい制限があるもの |
| 2級 |
日常生活に著しい制限があるもの |
| 1級 |
他人の介助がなければほとんど自分の用事を済ませることができないもの |
遡及請求についても、前向きにご検討されてはいかがでしょうか。
また、現在は就労もできない状態とのことですので、事後重症請求にて認定を得られる可能性も考えられます。
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事後重症請求とは
傷病により障害の状態にあるものが、障害認定日において障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなかった場合でも、その後、状態が悪化し、障害等級に該当する障害の状態となった場合、65歳に達する日の前日までに裁定請求をすることができます。
これを事後重症請求といいます。
事後重症請求で障害年金の認定を得ることができた場合、請求日の属する月の翌月分から受給することができます。
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遡及請求で障害年金を受給できなかったとしても、これから未来の分の障害年金を得られる可能性も考えられます。
障害年金の請求を前向きにご検討されてはいかがでしょうか。
障害年金を受給するために
障害年金の審査は、「しんどい」、「お金に困っている」、「悲しい」等ではなく、あくまで認定基準に該当しているか否かを審査されます。
そのため、国民年金法・厚生年金法や認定基準等をご存じない方がひとりで対応するには限界があります。
ご自分の生活がかかった大切なことなので、専門家である社労士に知識・経験を求めるのが最善の選択です。
一人でわけも分からず不安いっぱいで戦うのではなく、あなたの代理人となって受給に向けて取り組んでくれる専門家である社労士を味方につけてください。