まず、障害厚生年金と障害基礎年金の違いを整理し、次にストーマ造設した場合の障害年金の取扱いについて確認しましょう。
障害年金の種類
障害年金には、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。
| 種類 |
対象となる人 |
| 障害基礎年金 |
「初診日」に国民年金に加入していた人 |
| 障害厚生年金 |
「初診日」が厚生年金保険加入中にある人 |
※「初診日」とは、「病気やけがについて初めて医師の診療を受けた日」を指します
自営業者、フリーランス、専業主婦、無職の方は、障害基礎年金の対象となります。
障害厚生年金と障害基礎年金、いずれの請求になるかは、初診日に加入している年金制度によって決まります。
では、障害厚生年金と障害基礎年金のふたつの大きな違いをみていきましょう。
障害厚生年金と障害基礎年金の違い1:支給額が違う。
| 障害等級 |
障害基礎年金 |
障害厚生年金 |
| 1級 |
年1,059,125円 |
年1,059,125円+報酬比例の年金額×1.25 |
| 2級 |
年847,300円 |
年847,300円+報酬比例の年金額 |
| 3級 |
― |
報酬比例の年金額(最低保障額635,500円) |
障害厚生年金と障害基礎年金の違い2:設けられている等級が違う。
障害年金では、ケガや病気の程度に応じて等級が設定されています。
▼障害基礎年金
1級と2級
▼障害厚生年金
1級、2級、3級
障害が重い順に、1級、2級、3級となります。
さらに、障害厚生年金は、初診日から5年以内にこれ以上は医療の効果が期待できない状態になった(傷病が回復して元気な状態という意味ではありません)ときに一時金で支給される障害手当金があります。
| 1級 |
他人の介助を受けなければほとんど自分の用を弁ずることができない程度のもの |
| 2級 |
必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない程度のもの |
| 3級 厚生年金保険のみ |
労働に著しい制限を受ける程度のもの。職場の援助のものと就労ができる。 |
| 障害手当金 |
傷病が治った(症状が固定した)もので、労働が制限を受けるか、労働に制限を加えることを必要とする。 |
では、ストーマを造設した場合の障害年金の取扱いを確認しましょう。
人工肛門を造設した場合の障害年金
人工肛門を造設した場合、原則として3級と認定されます。
なお、次のものは2級と認定されます。
- 人工肛門を造設し、かつ、新膀胱を造設したもの又は尿路変更術を施したもの
- 人工肛門を造設し、かつ、完全排尿障害(カテーテル留置又は自己導尿の常時施行を必要とする)状態にあるもの
※全身状態、術後の経過及び予後、原疾患の性質、進行状況等により総合的に判断し、さらに上位等級に認定する場合があります。
人工肛門を造設していても障害年金が不支給になる場合
人工肛門を造設した場合、上記の通り障害の状態は原則として3級に該当します。
そのため、障害基礎年金の請求(=2級以上でなければ受給できません)では認定を得ることが難しくなっています。
「人工肛門を造設したのに障害年金を受給できなかった」と弊所に相談に見える方が度々おられます。
人工肛門を造設したのに障害年金を受給できなかった理由は、十中八九「初診日が厚生年金加入期間ではない」というものです。
※人工肛門を造設し障害年金2級が得られた事例はこちら
本事案の場合
上記の通り、障害の状態が3級相当の場合、障害年金を受給できるかどうかは「障害厚生年金の請求ができるか=初診日に厚生年金被保険者であったか」が大きなポイントとなります。
まずは初診日の特定が第一歩となるでしょう。
障害年金の請求を前向きにご検討されてはいかがでしょうか。
障害年金を受給するために
障害年金の審査は、「しんどい」、「お金に困っている」、「悲しい」等ではなく、あくまで認定基準に該当しているか否かを審査されます。
そのため、国民年金法・厚生年金法や認定基準等をご存じない方がひとりで対応するには限界があります。
ご自分の生活がかかった大切なことなので、専門家である社労士に知識・経験を求めるのが最善の選択です。
一人でわけも分からず不安いっぱいで戦うのではなく、あなたの代理人となって受給に向けて取り組んでくれる専門家である社労士を味方につけてください。