母は悪性腹膜癌と診断されています。障害基礎年金を受給することはできるのでしょうか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
-
私の母は現在61歳で、2年前に「悪性腹膜癌」と診断され、
今も通院しながら抗がん剤治療と飲み薬を服用しています。
医師からは今後も治療が必要と言われ、父と自営業をしていたのですが仕事はできていません。
母の抗がん剤治療にお金がかかり、母の老齢基礎年金の繰上げ年金と、
父の老齢基礎年金とあわせてもかなり厳しい状況です。
母は障害基礎年金を受給することはできるのでしょうか?
本回答は2019年7月現在のものです。
悪性腹膜癌などの悪性新生物による障害も、障害年金の支給対象となっています。
そのため、保険料を納めるなどの支給要件を満たしていれば、
障害基礎年金を受けることができます。
障害年金を受給するための3つの条件
- 初診日要件…障害の原因となった病気やケガを医者か歯科医師に診てもらった日は、国民年金と厚生年金のどちらに加入していたか
- 保険料納付要件…一定以上の年金保険料を納めているかどうか。
- 障害認定日要件…厚生労働省が定めた「障害の基準」を満たしているかどうか
「初診日要件」とは
初診日は、国民年金と厚生年金のどちらに加入していたか、
その加入していた制度によって、もらえる年金の種類が決まります。
- 初診日が厚生年金被保険者期間中にある場合は、障害厚生年金
- 初診日が国民年金被保険者期間中にある場合は、障害基礎年金
- 初診日が20歳前または60歳以上65歳未満(国内に住んでいる方のみ)の年金未加入期間にある場合は、障害基礎年金
※初診日とは…
障害の原因となった傷病について、
初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。
具体的には次のような場合が初診日とされます。
- 初めて診療を受けた日(治療行為又は療養に関する指示があった日)
- 同一の傷病で転医があった場合は、一番初めに医師等の診療を受けた日
- 過去の傷病が治癒し同一傷病で再度発症している場合は、再度発症し医師等の診療を受けた日
- 傷病名が確定しておらず、対象傷病と異なる傷病名であっても、同一傷病と判断される場合は、他の傷病名の初診日が対象傷病の初診日
- 障害の原因となった傷病の前に、相当因果関係があると認められる傷病があるときは、最初の傷病の初診日が対象傷病の初診日
※ただし、知的障害の場合は、出生日が初診日となります。
「保険料納付要件」とは
初診日の前日において以下の1または2を満たしている必要があります。
- 初診日の属する月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
- 初診日において65歳未満であり、初診日の属する月の前々月までの直近1年間に保険料の未納期間がないこと
※20歳前に初診日がある場合は、保険料納付要件は問われません。
「障害認定日要件」とは
障害認定日において、一定以上の障害状態にあるかどうかで判断されます。
※障害認定日とは、障害の程度の認定を行うべき日をいい、原則として、
- 初診日から起算して1年6月を経過した日
- 傷病が治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)
のいずれか早い日となります。
悪性新生物の認定基準
【1級】
- 著しい衰弱又は障害のため、身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの
【2級】
- 衰弱又は障害のため、身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
- 衰弱又は障害のため、歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
【3級】
- 著しい全身倦怠のため、歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
- 著しい全身倦怠のため、軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの。 例えば、軽い家事、事務など
初診日が国民年金加入期間中であれば、障害基礎年金の申請となり、
障害の状態が2級以上に該当すると判断された場合、支給されます。
ただし、老齢基礎年金を繰上げて受給している場合、
65歳に達したとみなされるため、障害年金の事後重症請求ができません。
そのため、障害認定日時点で2級以上に認定された場合のみ、支給されます。
事後重症請求とは
傷病により障害の状態にあるものが、障害認定日において
障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなかった場合でも、
その後、状態が悪化し、障害等級に該当する障害の状態となった場合、
65歳に達する日の前日までに裁定請求をすることができます。
これを事後重症請求といいます。
また、障害基礎年金の認定が得られても、老齢基礎年金と併給することができません。
どちらか有利な方を選択することになります。
以上のことを踏まえて、障害年金の申請について検討されてはいかがでしょうか。
◎障害年金の申請について
ご自身で書類をしっかり準備したつもりが、症状に合った等級が認められないケースや、不支給となるケースが見受けられます。
このようなことを防ぐためには専門知識が必要となりますが、そうなると社労士に相談するか関連書籍を参照しなければなりません。
当サイトでは1分で障害年金をもらえるか、カンタン査定をいたします。
◎社労士への依頼も合わせてご検討ください
審査を受ける機会は審査請求、再審査請求を含めて3回あります。
しかし、1度目の請求で認められない場合、2度目以降で決定が覆るのは、たった14.7%となっています。より確実に認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
こちらも合わせてご検討ください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
がんに関するその他のQ&A
- 母は悪性腹膜癌と診断されています。障害基礎年金を受給することはできるのでしょうか?
- 私の母は現在61歳で、2年前に「悪性腹膜癌」と診断され、今も通院しながら抗がん剤治療と飲み薬を服用しています。医師からは今後も治療が必要と言われ、父と自営業をしていたのですが仕事はできていません。母の抗がん剤治療にお金がかかり、母の老齢基礎年金の繰上げ年金と、父の老齢基礎年金とあわせてもかなり厳しい状況です。母は障害基礎年金を受給することはできるのでしょうか?
- ガンでの障害年金の受給は不可能なのですか?
- 母ががんで障害年金を申請しましたが不支給となりました。母は今回ガンが再発したため障害年金の申請をしましたが、1級、2級に該当しないとの理由で不支給でした。現在は抗がん剤治療を継続していますが、抗がん剤を入れる度に激しい吐き気や倦怠感などで全く動くことができない状態となります。手足の痺れや倦怠感もあり、抗がん剤を入れているときは立ち上がることも出来ません。当然、働くことは出来ません。それなのに、障害年金に該当せず、今後の治療も経済的に苦しい状態です。ガンでの障害年金の受給は不可能なのですか?
- 年収250万円で正社員でした。ガンの転移で仕事に戻れない場合障害厚生年金がもらえますか。
- 友人がガンです。一度ガンの手術を行い、抗がん剤治療をしました。その間、休職をし、抗がん剤治療が終了後職場に復帰していました。しかし、転移が見つかりました。年収が250万円ほどですが、一応正社員でした。今回の転移でも手術、抗がん剤治療となると、仕事に戻ることができない可能性が高いようです。この場合、障害厚生年金をもらえるんでしょうか?
- 胃がんで胃の全摘出。障害年金の受給は出来るでしょうか?
- 現在57歳です。胃がんになり、胃の全摘出をしました。勤続34年でしたが、このような状態になり、傷病手当金を受給して休職しています。抗がん剤治療を受けていますが、抗がん剤の副作用もきつく、倦怠感があります。会社も私が職場復帰できないと思っていて、退職勧奨されそうです。この場合、障害年金の受給は出来るでしょうか?
- がん再発時は国民年金でした。申請は障害基礎年金になるのですか?
- 4年前にがんのステージが3のときに手術を受け、抗がん剤治療をしました。抗がん剤治療が終わった後は、経過観察として検査を受けていました。しかし4年経って再発して再び抗がん剤治療となりました。4年前に手術を受けたときは会社員でしたので、厚生年金に入っていました。でも再発したときはやめていたので国民年金でした。今は働くことができない状態ですので、障害年金の申請を考えているんですが、申請は障害基礎年金になるのですか?