傷病手当金を受給すると厚生年金と健康保険は免除になりますか??

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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傷病手当金を受給すると厚生年金と健康保険は免除になりますか??
また、退職した後、国民年金、国民健康保険を払わないといけないのでしょうか?
傷病手当金をもらった後、障害年金の受給はできるのでしょうか?
まずは、傷病手当金受給中の社会保険料について記載します。
傷病手当金受給中の社会保険料について
傷病手当金の受給中は、厚生年金保険料と健康保険料は免除になりません。
社会保険料は従業員負担分、会社負担分の両方をまとめて会社が納付しますので、療養中の保険料(従業員負担分)を、会社に支払う必要があります。
なお、会社が従業員負担分の保険料を負担するのであれば、会社からの報酬とみなされ、傷病手当金の支給額が減らされることになります。
次に、退職後について記載します。
退職後の国民健康保険料、国民年金保険料について
退職後、すぐに新たな職場で厚生年金に加入しないのであれば、国民健康保険、国民年金に加入しなければならず、その際は直接、保険料を納めなければなりません。
両保険の免除については、お住いの自治体窓口にてご相談されることをお勧めします。
最後に障害年金について記載します。
障害年金は、傷病手当金から自動的に切り替わることはなく、障害年金の請求手続きをしなければなりません。
そして、審査の結果、障害年金の支給要件を満たしていると判断されれば、受給することができます。
いつから障害年金を請求できるのか
障害年金は、障害認定日が到来すれば請求することができます。
障害認定日とは障害の程度の認定を行うべき日をいい、原則として以下のいずれか早い日となります。
- 初診日から起算して1年6月を経過した日
- 傷病が治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)
傷病手当金が支給される期間は、支給を開始した日から通算して1年6ヵ月ですので、障害年金を請求できる時期が到来したら、速やかに請求手続きを行うことをお勧めします。
障害年金の受給額は以下の通りです。
障害等級 障害基礎年金 障害厚生年金 1級 年1,039,625円 年1,039,625円+報酬比例の年金額×1.25 2級 年831,700円 年831,700円+報酬比例の年金額 3級 ― 報酬比例の年金額(最低保障額623,800円) 障害年金だけで悠々自適ではありませんが、受給できれば、日常生活に大きな助けとなるでしょう。
それでは、障害年金について詳しくみていきましょう。
障害年金の種類
障害年金には、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。
種類 対象となる人 障害基礎年金 「初診日」に国民年金に加入していた人 障害厚生年金 「初診日」が厚生年金保険加入中にある人 ※「初診日」とは、「病気やけがについて初めて医師の診療を受けた日」を指します
自営業者、フリーランス、専業主婦、無職の方は、障害基礎年金の対象となります。
障害の状態の前に、請求の条件を確認しましょう
障害年金を請求するためには以下の要件を満たしていることが前提となります。
- 初診日要件…原則として初診日に公的年金に加入していること
- 保険料納付要件…原則として保険料を、ある程度納付または免除をしていること
初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されていること。
または、初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと。
なお、20歳前の公的年金未加入期間に初診日がある方は、保険料納付要件は問われません。
このふたつの要件を満たしていれば、障害年金を請求することができ、障害の状態が基準に該当しているかどうか、審査を受けることができます。
審査の結果、基準に該当すると判断されれば、障害年金を受給することができます。
では、どのような状態なら障害年金を受給できるか、みていきましょう。
どのような状態なら障害年金を受給できるか
障害年金では、ケガや病気の程度に応じて等級が設定されています。
▼障害基礎年金
1級と2級▼障害厚生年金
1級、2級、3級障害が重い順に、1級、2級、3級となります。
さらに、障害厚生年金は、初診日から5年以内にこれ以上は医療の効果が期待できない状態になった(傷病が回復して元気な状態という意味ではありません)ときに一時金で支給される障害手当金があります。
1級、2級、3級の状態は、以下の通りとなっています。
障害年金の等級 障害の状態 3級
※障害厚生年金のみ労働に著しい制限があるもの 2級 日常生活に著しい制限があるもの 1級 他人の介助がなければほとんど自分の用事を済ませることができないもの 障害年金を受給するために
障害年金の申請は、国民年金法・厚生年金法や認定基準等をご存じない方がひとりで対応するには限界があります。
ご自分の生活がかかった大切なことなので、専門家である社労士に知識・経験を求めるのが最善の選択です。
「事務手数料の2万円を支払うのが惜しくて、とりあえず自分でやってみたけど不支給だった。なんとかしてください」というご相談をいただくケースがあります。
当然その時点からできる限りのサポートをさせていただくのですが、事後重症請求の方の場合、1か月請求が遅くなれば、障害基礎年金2級なら毎月約6万5千円ずつ捨てていくことになります。
最初にかかる2万円の事務手数料を惜しんだばかりに、障害年金の受け取りが数か月遅くなっては本末転倒です。
一人でわけも分からず不安いっぱいで戦うのではなく、あなたの代理人となって受給に向けて取り組んでくれる専門家である社労士を味方につけてください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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