ADHDで働いていますが、ミスが多いです。障害年金の申請をしたいのですが、在職中は通りませんか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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私は現在25歳女性会社員です。
事務の仕事に就いていますが、集中力が続かずミスが多いため、2年前に人に勧められて精神科を受診したところ、ADHDと診断されました。
現在も薬を服用しながらなんとか勤務していますが、心身ともに落ち込むことが多く、退職を検討しています。
障害年金の申請を検討していますが、在職中は申請しても通りませんか?
働いているからといって、不支給になるとは限りません。
障害年金の受給者のうち、34.06%の方々が働きながら受給しています。
受給者数
働いていない
働いている
働いている人の割合
2,096,000人
1,346,000人
714,000人
34.06%
そして、精神の障害に限定すると、28.28%の方々が働きながら受給しています。
精神障害による
受給者数働いていない
働いている
働いている人の割合
725,000人
508,000人
205,000人
28.28%
また、働いていることを理由に支給が認められなかった方が訴訟した結果、受給が認められた判例もあります。
このように、働いているからといって受給されないわけではないことがわかります。
働きながら障害年金を受給できたMさんの事例
私が申請をお手伝いした事例を紹介します。
性別・年齢
女性、36歳
症状
記憶力や集中力がなく気がそれてしまいミスを頻発する。人の話が理解できない。物事を整理して考えたり、複数のことを同時に並行処理することができない。
就労状況
一般企業(一般雇用)に3年勤務。急な予定変更等に対応できず、たびたび叱責を受けている。
結果
障害厚生年金3級
障害年金の認定基準
障害年金には1級から3級の等級があり、各等級の認定基準は以下の通りとされています。
1級
他人の介助を受けなければほとんど自分の用を弁ずることができない程度のもの
2級
必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない程度のもの
3級
労働に著しい制限を受ける程度のもの
この基準を見ると、「働いていたら障害年金はもらえない」、「働いていたら2級はとてもじゃないけど無理」と思ってしまいそうです。
しかし、これは目安であり、「働いていたらもらえない」「働いていなければもらえる」という主旨ではありません。
精神障害で働いている場合に審査で考慮されること
精神に障害があっても、「働いているということは、十分に日常生活能力や労働能力がある」と考えるのではなく、
- 療養状況
- 仕事の種類
- 仕事の内容
- 就労状況
- 仕事場で受けている援助の内容
- 他の従業員との意思疎通の状況
等を十分確認したうえで判断されます。
発達障害で働いている場合に審査で考慮されること
- 執着が強く、臨機応変な対応が困難である等により、常時の管理・指導が必要か
- 仕事場での意思疎通の状況等を考慮し、検討されます。
Mさんの具体的な状況
Mさんの具体的状況は以下のとおりです。
- 一つのことに集中すると他のことが抜けてしまったり、話しかけると手元がおろそかになり、仕事のミスが多発する。
- 同じ業務に3年在籍しているが、急な状況の変化に対して適切に対応ができない。特に判断を求められる場面では適切な判断ができない。
- 複数のことを同時に言われると、何を指示されているのかわからず、人の話も理解できない。
「労働能力がある」とは、障がいのない人と同様の労働環境で、同様の仕事をしている、できている状態をいいます。
Mさんは、表面的には一般企業に勤めているため、十分に日常生活能力があり、労働能力もあるように見えますが、実際にはそうではないことがわかります。
この事実を正確かつ、審査機関が3級の認定のために考慮する事項を余すことなく盛り込んだ書類を作成することで3級をもらえる可能性があると判断しました。
結果、無事3級の支給が決定されました。
あなたの症状は受給できる可能性は十分にあります
あなたの症状は、「集中力が続かずミスが多い」「心身ともに落ち込むことが多い」ということですので、障害年金をもらえる可能性は十分にあります。
もう少し詳しい状況をお聞かせいただければ、障害年金をもらえるかどうかチェックいたします。
なお、うつ病や統合失調症など、その他の精神の障害でも他人の力を借りないと日常生活や仕事ができない状況であれば、たとえ働いていたとしても、もらえる可能性は十分にあります。
申請に必要な書類準備の難しさ
障害年金の審査に、面接はありません。
すべて書類で審査されます。
そのため、書類だけで「就労にどのような制限を受けているのか」「働いているならどんな風に働いているのか」を審査機関に分かるように作成しなければなりません。
必要なのは、客観的事実を揃え、正確に事実をわかりやすくすることです。
特に、精神の病気の場合は、目に見える症状ではないので、主観的な内容を記載するのでは不十分です。
Mさんは、「私は在職中だから障害年金をもらえないと思っていました。もらえてよかった!」と大変喜んでおられました。
障害年金は「施し」ではなく「権利」です
障害年金は、施しではありません。社会保険料を納めている人にとっての権利です。
本当はもらえる権利があるのに、書類が不十分だからといって不支給になるのは残念なことだと思っています。
私は、もらうべき人のために、的確にお客様の状況を把握し「審査機関に必要なことを伝える」ことを常に意識しています。
この権利をきっちり行使できるようお手伝いいたします。
面談では社会保険労務士の中井が直接対応致しますので1日2人までのご予約とさせていただいております。
遠方の方の場合、ZOOMやLINEのビデオ通話での対応となりますが、月に5人程度と限らせていただいております。
お住いの都道府県によっては都道府県担当の社会保険労務士を案内させていただくケースがあります。
まずは、お気軽にご相談ください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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