障害年金と老齢年金では、どちらの方が多くもらえるのでしょうか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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私の母は60歳の時にパーキンソン病で障害者手帳3級が交付されました。
その時は、障害年金より老齢年金の方が金額が高いと言われ、
老齢年金を今までもらっていましたが、
現在67歳になり、最近、手帳が1級になりました。
施設に入所するにあたって、障害年金の方が高ければ、
そちらに変えようかと思っています。
障害年金と老齢年金では、どちらの方が多くもらえるのでしょうか?
本回答は2018年4月現在のものです。
障害年金の支給額は平成30年現在、以下の通りとなっています。
障害年金の支給額(平成30年)
- 障害基礎年金1級…年974,100円
- 障害基礎年金2級…年779,300円
- 障害厚生年金1級…年974,100円+報酬比例の年金額×1.25
- 障害厚生年金2級…年779,300円+報酬比例の年金額
- 障害厚生年金3級…報酬比例の年金額(最低保証額584,500円)
※障害基礎年金の受給権者に加算対象となる子がいる場合、子の加算を受けることができます。
※障害厚生年金1級、2級の受給権者に加算対象となる配偶者がいる場合、配偶者の加給年金を受けることができます。
老齢年金の金額については、年金加入期間等により異なりますので、
詳細は年金事務所でご確認ください。
障害年金と老齢年金の双方の受給権がある場合は、
どちらか有利な方を選択することができますが、
一方の受給権しかない場合は、選択替えはできません。
ご質問内容からは詳細が分かりかねますが、
すでに障害年金の受給権があり、
老齢年金を選択していたことで障害年金の支給が停止されている場合は、
手続きを行うことで、障害年金の支給が再開されます。
ただし障害等級3級の場合は、
65歳以降は額改定請求ができませんので、2級以上に改定されることはなく、
老齢年金の受給額の方が高額になることが考えられます。
額改定請求とは
障害の程度が重くなったときは、その旨を申し立て、
年金額の変更を請求することができます。
ただし、3級の障害厚生年金を受けている方
(過去に支給事由を同じくする障害基礎年金の受給権を有する方をのぞく)が
65歳以上になったときは、年金額の改定の請求はできません。
すでに2級の受給権がある場合は、額改定請求を行うことができますので、
状態によっては1級が認定される可能性も考えられます。
障害年金の認定において、肢体の機能の障害の程度は、
関節可動域、筋力、巧緻性、速さ、耐久性を考慮し、
日常性における動作の状態から、身体機能を総合的に認定されます。
各等級に該当する障害の状態は以下の通りです。
パーキンソン病の認定基準
【1級】
- 一上肢及び一下肢の用を全く廃したもの
- 四肢の機能に相当程度の障害を残すもの
【2級】
- 一上肢及び一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの
- 四肢に機能障害を残すもの
【3級】
- 一上肢及び一下肢に機能障害を残すもの
体幹の機能の障害の認定基準
【1級】
- 体幹の機能に座っていることができない程度の障害を有するもの。具体的には、腰かけ、正座、あぐら、横座りのいずれもができないもの
- 体幹の機能に立ち上がることができない程度の障害を有するもの。具体的には、臥位又は座位から自力のみで立ち上がれず、他人、柱、杖、その他の器物の介護または補助によりはじめて立ち上がることができる程度のもの
【2級】
- 体幹の機能に歩くことができない程度の障害を有するもの。具体的には、室内においては、杖、松葉杖、その他の補助用具を必要とせず、起立移動が可能であるが、野外ではこれらの補助用具の助けを借りる必要がある程度のもの
なお、障害年金の受給権がない場合は、裁定請求を行う必要があります。
ただし、障害年金は原則として、65歳の誕生日の2日前までに申請しなければなりません。
65歳以降でも申請できる場合は以下に限られます。
65歳以降でも障害年金を申請できる場合
- 初診日が、65歳の2日前までにあり、障害認定日の障害状態が障害等級に該当している場合
- 前発傷病と後発傷病を併せて、65歳前にはじめて2級となった場合
- 初診日において国民年金の任意加入者であった場合
- 初診日において厚生年金加入中であった場合
お母さまの場合、上記1のケースになることが考えられますので、
障害認定日の時点の状態が、認定基準に該当する程度であれば、
受給権が得られる可能性が考えられます。
ただしその場合も、等級が3級の場合は、
65歳以降は額改定請求ができませんので、2級以上に改定されることはなく、
老齢年金の受給額の方が高額になることが考えられます。
障害年金は、原則として1〜5年の有期認定のため更新の手続きが必要ですが、
老齢年金は、そのような更新の手続きは必要ありません。
障害年金は非課税所得となりますが、老齢年金は課税対象となっています。
単に受給額のみを比較するだけではなく、
これらを考慮したうえで、老齢年金と障害年金のどちらを受ける方が得か、
検討されてはいかがでしょうか。
社労士への依頼も合わせてご検討ください
よりスムーズに認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
疑問などがございましたら、下記お問い合わせフォームからお気軽にご質問ください。
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このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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