アルコール性肝硬変で障害年金を申請するためには肝臓内科に通院しないダメですか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
-
主人が3年前にアルコール性肝硬変と診断されました。
しかしその後肝臓内科には通院せず、
アルコールを止めるため精神病院に通院をし、定期的に血液検査を受けて、
投薬治療を続けています。
障害年金を申請するためには肝臓内科に通院しないダメですか?
本回答は2017年7月現在のものです。
アルコール性肝硬変も障害年金の対象となっております。
ただし、肝硬変であれば直ちに認定を得られるものではなく、
自覚症状、他覚所見、検査成績、一般状態、治療及び病状の経過、
具体的な日常生活状況等により、
総合的に認定するものとされています。
認定基準は以下の通りです。
肝硬変の認定基準
【1級】
1,2を満たすもの
- 以下の検査成績及び臨床所見のうち高度異常を3つ以上示すもの又は高度異常を2つ及び中等度の異常を2つ以上示すもの
- 一身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの
【2級】
1,2を満たすもの
- 以下の検査成績及び臨床所見のうち中等度又は高度の異常を3つ以上示すもの
- 身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの、または、歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
【3級】
1,2を満たすもの
- 以下の検査成績及び臨床所見のうち中等度又は高度の異常を2つ以上示すもの
- 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの、または軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの
○肝疾患での重症度判定の検査項目及び臨床所見並びに異常値の一部を示すと次のとおりである。
検査項目/臨床所見
基準値
中等度の異常
高度異常
血清総ビリルビン
(mg/dl)
0.3〜1.2
2.0 以上 3.0 以下
3.0 超
血清アルブミン
(g/d l)
(BCG 法)
4.2〜5.1
3.0 以上 3.5 以下
3.0 未満
血小板数
(万/μ l)
13〜35
5 以上 10 未満
5 未満
プロトロンビン
時間(PT)(%)
70 超〜130
40 以上 70 以下
40 未満
腹 水
―
腹水あり
難治性腹水あり
脳 症
―
【精神症状】
睡眠−覚醒リズムに逆転。
多幸気分ときに抑うつ状態。
だらしなく、気にとめない態度。
【参考事項】
あとで振り返ってみて判定できる。
【精神症状】
指南力(時、場所)障害、
物をとり違える(confusion)
異常行動
(例:お金をまく、 化粧品をゴミ箱に捨てるなど)
ときに傾眠状態(普通のよびかけで開眼し
会話が出来る)
無礼な言動があったりするが、他人の指示には従う態度を見せる。
【参考事項】
興奮状態がない。
尿便失禁がない。
羽ばたき振戦あり。
なお、障害の程度の判定に当たっては、前記の検査成績及び臨床所見によるほか、他覚所見、他の一般検査及び特殊検査の検査成績、治療及び病状の経過等も参考とし、認定時の具体的な日常生活状況等を把握して、総合的に認定する。
アルコール肝硬変について
アルコール性肝硬変については、
- 継続して必要な治療を行っていること
- 検査日より前に180日以上アルコールを摂取していないこと
について確認できたものに限り認定を行うものとされています。
よって、肝臓内科には通院せず「必要な治療を行っていること」とされない場合は、
アルコール性肝硬変の認定対象とはならないことも考えられます。
ご質問内容から、現在は精神病院に通っているとのことですが、
アルコール依存症についても障害年金の対象とされています。
ただし、アルコール依存症は、
アルコールの精神作用物質の使用により生じる精神障害について認定するものであって、
次のものは認定の対象とはなりません。
- 精神病性障害を示さない急性中毒
- 明らかな身体依存の見られないもの
また、その原因に留意し、
発症時からの療養および症状の経過を十分考慮するとされています。
アルコール依存症の各等級に該当する障害の程度は、
以下の通りとなっています。
アルコール依存症の認定基準
【1級】
- 高度の認知障害、高度の人格変化、その他の高度の精神神経症状が著明なため、常時の援助が必要なもの
【2級】
- 認知障害、人格変化、その他の精神神経症状が著明なため、日常生活が著しい制限を受けるもの
【3級】
- 認知障害、人格変化は著しくないが、その他の精神神経症状があり、労働が制限を受けるもの
- 認知障害のため、労働が著しい制限を受けるもの
アルコール依存症については、症状性を含む器質性精神障害として審査されるため、
精神の障害用診断書を提出します。
精神の障害用診断書の作成をすることができる医師について
精神の障害用診断書については、原則として、
精神保健指定医または精神科を標榜する医師が作成することができるとされています。
上記の認定基準に該当する程度であれば、
アルコール依存症で受給できる可能性も考えられます。
申請を検討されてはいかがでしょうか。
障害年金の申請について
障害の状態によって等級が決まりますが、
提出書類によって、2級相当の状態なのに3級となったり不支給となったり
というケースが数多くあります。
そのため関連書籍をご購入の上、申請されることをお勧めします。
審査のチャンスは審査請求、再審査請求を含めて3回ありますが、
1度目に不支給となると再審査請求で支給が決定するのは14.7%となっています。
慎重にご準備ください。
申請の流れはこちらにて解説していますので、ご参考にしてください。
社労士への依頼も合わせてご検討ください
よりスムーズに認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
私は元厚生労働省の事務官ですので、
役所の論理・理屈を理解しており、これまで90%以上の確率で認定を得ています。
もし社労士への依頼を検討される場合は、こういった点も合わせてお考えください。
疑問などがございましたら、下記お問い合わせフォームからお気軽にご質問ください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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