人工弁を入れていて身体障害者手帳1級を持っていますので、障害年金を受給できますよね?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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息子について相談です。
息子は現在15歳ですが、人工弁の置換術を受けています。
身体障害者手帳は1級を持っています。
今はワーファリンを飲んでいます。
今後、ワーファリンを飲むと血が出やすくなるから、けがには気をつけるように言われました。
仕事にも制限があるのではないかと心配しています。
人工弁を入れていて身体障害者手帳1級を持っていますので、障害年金を受給できますよね?
まず、身体障害者手帳と障害年金の関係について確認しましょう。
身体障害者手帳と障害年金の関係
身体障害者手帳と障害年金は根拠法、認定基準、認定機関の異なる全く別の制度となっております。
両者の等級は対応しておりませんので、人工弁を装着していて身体障害者手帳1級の交付を受けていたとしても、必ずしも障害年金を受給できるとは限りません。
では、人工弁を装着した場合の障害年金についてみていきましょう。
人工弁を装着した場合の障害年金
人工弁を装着した場合、原則として、障害年金3級に認定されます。
障害年金3級について
3級は、障害厚生年金にしかない等級です。
障害基礎年金の請求となるか、障害厚生年金の請求となるかは、初診日に加入していた年金制度によって決まります。
初診日の時点で厚生年金に加入している場合は、障害厚生年金の請求が可能となり、3級または障害手当金の認定を得ることができます。
しかし、初診日の時点で国民年金に加入している場合や20歳前で年金未加入であった場合は、障害基礎年金の請求になるため、3級相当では障害年金を受給することができません。
本事案の場合
15歳時に人工弁置換術を受けているとのことですので、初診日は20歳前の年金未加入期間中となります。
この場合、20歳前傷病の障害基礎年金の請求となります。
20歳前傷病の障害基礎年金とは…
先天性の病気などにより20歳前から障害があり、初診日が、20歳前(年金制度に加入していない期間)にあり、かつ、障害の状態が1級または2級に該当する場合には、障害基礎年金を受けることができます。
障害基礎年金の請求の場合、2級以上に該当しなければ受給することができません。
人工弁を装着している場合は、原則として障害年金3級相当とされますが、以下の場合は2級に該当します。
人工弁を装着で障害年金2級に該当する場合
人工弁を装着術後、6カ月以上経過しているが、なお以下の臨床所見のうち5つ以上病状をあらわし、
【臨床所見】
- 自覚症状…動悸、呼吸困難、息切れ、胸痛、咳、痰、失神
- 他覚所見…チアノーゼ、浮腫、頸静脈怒張、ばち状指、尿量減少、器質的雑音
かつ、以下の異常検査所見から1つ以上に該当し、
【異常所見】
- 安静時の心電図において、0.2mV以上のSTの低下もしくは 0.5mV以上の深い陰性T波(aVR誘導を除く。)の所見のあるもの
- 負荷心電図(6Mets 未満相当)等で明らかな心筋虚血所見があるもの
- 胸部X線上で心胸郭係数 60%以上又は明らかな肺静脈性うっ血所見や間質性肺水腫のあるもの
- 心エコー図で中等度以上の左室肥大と心拡大、弁膜症、収縮能の低下、拡張能の制限、先天性異常のあるもの
- 心電図で、重症な頻脈性又は徐脈性不整脈所見のあるもの
- 左室駆出率(EF)40%以下のもの
- BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)が 200pg/ml 相当を超えるもの
- 重症冠動脈狭窄病変で左主幹部に 50%以上の狭窄、あるいは、3 本の主要冠動脈に 75%以上の狭窄を認めるもの
- 心電図で陳旧性心筋梗塞所見があり、かつ、今日まで狭心症状を有するもの
かつ、以下のいずれか
- 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の 50%以上は起居しているもの
- 身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の 50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
に該当する場合は2級に認定されます。
障害年金を受給するために
障害年金の申請は、国民年金法・厚生年金法や認定基準等をご存じない方がひとりで対応するには限界があります。
ご自分の生活がかかった大切なことなので、専門家である社労士に知識・経験を求めるのが最善の選択です。
「事務手数料の2万円を支払うのが惜しくて、とりあえず自分でやってみたけど不支給だった。なんとかしてください」というご相談をいただくケースがあります。
当然その時点からできる限りのサポートをさせていただくのですが、事後重症請求の方の場合、1か月請求が遅くなれば、障害基礎年金2級なら毎月約6万5千円ずつ捨てていくことになります。
最初にかかる2万円の事務手数料を惜しんだばかりに、障害年金の受け取りが数か月遅くなっては本末転倒です。
一人でわけも分からず不安いっぱいで戦うのではなく、あなたの代理人となって受給に向けて取り組んでくれる専門家である社労士を味方につけてください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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