20歳前の初診日になるので、国民年金保険料が未納でも申請できるのではないですか。

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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私は幼少期から自閉症スペクトラム障害で療育手帳を持っています。
周囲とコミュニケーションが取れないということだけでいじめやパワハラを受け、22歳の時にパニック障害を発症しました。
そして強いフラッシュバックと激しい感情が湧きおこり、突然飛び出して交通事故に遭ってしまいました。
その時の後遺症で右足が動かなくなり、現在身体障害者手帳3級を交付されています。
このような状態で仕事もできないため、障害基礎年金の申請を検討しているのですが、国民年金保険料の未納の時期があるため申請できないと言われました。
私の場合、自閉症スペクトラム障害が原因でパニック障害を発症したのですから、20歳前の初診日になるので、国民年金保険料が未納でも申請できるのではないですか。
ご質問者様の場合、精神の障害で申請をする場合は、20歳前傷病の障害基礎年金の申請になることが考えられるため、保険料が未納でも申請は可能です。
ただし、下肢の障害で申請をする場合は、交通事故に遭って初めて病院を受診した日が初診日になるため、その時点で保険料納付要件が満たせない場合は、申請をすることはできません。
保険料納付要件とは
初診日の前日において以下の1または2を満たしている必要があります。
- 初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
- 初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと
※ただし、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、納付要件はありません。
初診日とは
障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。
具体的には次のような場合が初診日とされます。
- 初めて診療を受けた日(治療行為又は療養に関する指示があった日)
- 同一の傷病で転医があった場合は、一番初めに医師等の診療を受けた日
- 過去の傷病が治癒し同一傷病で再度発症している場合は、再度発症し医師等の診療を受けた日
- 傷病名が確定しておらず、対象傷病と異なる傷病名であっても、同一傷病と判断される場合は、他の傷病名の初診日が対象傷病の初診日
- 障害の原因となった傷病の前に、相当因果関係があると認められる傷病があるときは、最初の傷病の初診日が対象傷病の初診日
※ただし、知的障害の場合は、出生日が初診日となります。
パニック障害などの神経症にあっては障害年金の対象とはなりませんが、自閉症スペクトラム障害などの発達障害は認定の対象となります。
神経症の障害年金での取り扱いについて
パニック障害などの神経症にあっては、その症状が長時間持続し、一見重症なものであっても、原則として、認定の対象とはなりません。
「神経症にあっては原則として認定対象とならない」とは、その傷病による障害については、それがどのようなものであっても、その状態をもって、障害等級に該当する程度以上の障害の状態にあたるものとはしない、との趣旨となっております。
ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症または気分障害に準じて取り扱うとされ、例外的に認定の対象となります。
20歳前傷病の障害基礎年金の申請では、障害の状態が1級もしくは2級に該当する場合受給が可能です。
20歳前傷病の障害基礎年金とは
先天性の病気などにより20歳前から障害があり、初診日が、20歳前(年金制度に加入していない期間)にあり、かつ、障害の状態が認定基準に該当する場合には、障害基礎年金を受けることができます。
等級は1級と2級があり、障害の程度によって決められます。
次の認定基準を参考にしていただき、障害基礎年金の申請についてご検討されてはいかがでしょうか。
発達障害の認定について
発達障害については、たとえ知能指数が高くても社会行動やコミュニケーション能力の障害により対人関係や意思疎通を円滑に行うことが出来ないために日常生活に著しい制限を受けることに着目して認定をされます。
発達障害の認定基準
【1級】
以下1〜2を満たすもの
- 社会性やコミュニケーション能力が欠如している
- 著しく不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの
【2級】
以下1〜2を満たすもの
- 社会性やコミュニケーション能力が乏しい
- 不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの
【3級】
以下1〜2を満たすもの
- 社会性やコミュニケーション能力が不十分
- 社会行動に問題がみられるため、労働が著しい制限を受けるもの
(本回答は2022年7月現在のものです。)
障害年金の申請について
ご自身で書類をしっかり準備したつもりが、症状に合った等級が認められないケースや、不支給となるケースが見受けられます。
このようなことを防ぐためには専門知識が必要となりますが、そうなると社労士に相談するか関連書籍を参照しなければなりません。
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06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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