人工透析をしていなくても障害年金をもらえた事例はありますか。

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人工透析をしていなくても障害年金をもらえた事例はありますか。

中井智博
中井智博社会保険労務士
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公開日:

慢性腎不全です。

人工透析はしていません。

人工透析をしていなくても障害年金をもらえた事例はあるのでしょうか。

あればどういう場合にもらえるのか教えてください。

慢性腎不全で人工透析をしていなくても、障害年金を受給できた事例はあります。

確かに人工透析療法を施行中のものは2級に認定されます。

しかし、「人工透析をしていないと障害年金をもらえない」という意味ではありません。

慢性腎不全とは、慢性腎疾患によって腎機能障害が持続的に徐々に進行し、生体が正常に維持できなくなった状態をいいます。

人工透析をしていなくても、慢性腎不全は障害年金の認定の対象とされているので、基準を満たせば障害年金を受給することができます。

弊所での事例を紹介する前に、まずは障害年金の制度や請求のための条件を確認しましょう。

※「先に事例を見たい!」という方はこちらをクリックしてください。

障害年金とは

障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金です。

障害年金には、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。

種類 対象となる人
障害基礎年金 「初診日」に国民年金に加入していた人
障害厚生年金 「初診日」が厚生年金保険加入中にある人

※「初診日」とは、「病気やけがについて初めて医師の診療を受けた日」を指します

自営業者、フリーランス、専業主婦、無職の方は、障害基礎年金の対象となります。

障害の状態の前に、請求の条件を確認しましょう

障害年金を請求するためには以下の要件を満たしていることが前提となります。

このふたつの要件を満たしていれば、障害年金を請求することができ、障害の状態が基準に該当しているかどうか、審査を受けることができます。

審査の結果、基準に該当すると判断されれば、障害年金を受給することができます。

まずは、どのような状態なら障害年金を受給できるか、みていきましょう。

どのような状態なら障害年金を受給できるか

障害年金では、ケガや病気の程度に応じて等級が設定されています。

▼障害基礎年金
1級と2級

▼障害厚生年金
1級、2級、3級

障害が重い順に、1級、2級、3級となります。

1級、2級、3級の大まかな状態は以下の通りとなっています。

障害年金の等級 障害の状態
3級
※障害厚生年金のみ
労働に著しい制限があるもの
2級 日常生活に著しい制限があるもの
1級 他人の介助がなければほとんど自分の用事を済ませることができないもの

詳細な腎疾患の認定基準は以下でご確認ください。

腎疾患の認定基準
  1. 認定基準

    腎疾患による障害については、次のとおりである。

    障害の程度 障害の状態
    1級 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
    2級 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
    3級 身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの

    腎疾患による障害の程度は、自覚症状、他覚所見、検査成績、一般状態、治療及び病状の経過、人工透析療法の実施状況、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定するものとし、当該疾病の認定の時期以後少なくとも1年以上の療養を必要とするものであって、長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものを1級に、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものを2級に、また、労働が制限を受けるか又は働に制限を加えることを必要とする程度のものを3級に該当するものと認定する。

  2. 認定要領
    1. (1) 腎疾患による障害の認定の対象はそのほとんどが、慢性腎不全に対する認定である。慢性腎不全とは、慢性腎疾患によって腎機能障害が持続的に徐々に進行し、生体が正常に維持できなくなった状態をいう。すべての腎疾患は、長期に経過すれば腎不全に至る可能性がある。腎疾患で最も多いものは、糖尿病性腎症、慢性腎炎(ネフローゼ症候群を含む。)、腎硬化症であるが、他にも、多発性嚢胞腎、急速進行性腎炎、腎盂腎炎、膠原病、アミロイドーシス等がある。
    2. (2) 腎疾患の主要症状としては、悪心、嘔吐、食欲不振、頭痛等の自覚症状、浮腫、貧血、アシドーシス等の他覚所見がある。
    3. (3) 検査としては、尿検査、血球算定検査、血液生化学検査(血清尿素窒素、血清クレアチニン、血清電解質等)、動脈血ガス分析、腎生検等がある。
    4. (4) 病態別に検査項目及び異常値の一部を示すと次のとおりである。
      1. ① 慢性腎不全
        区分 検査項目 単位 軽度異常 中等度異常 高度異常
        内因性クレアチニンクリアランス ml/分 20以上
        30未満
        10以上
        20未満
        10未満
        血清クレアチニン mg/dl 3以上
        5未満
        5以上
        8未満
        8以上

        (注)eGFR(推算糸球体濾過量)が記載されていれば、血清クレアチニンの異常に替えて、eGFR(単位はml/分/1.73㎡)が10以上 20未満のときは軽度異常、10未満のときは中等度異常と取り扱うことも可能とする。

      2. ② ネフローゼ症候群
        区分 検査項目 単位 異常
        尿蛋白量
        (1日尿蛋白量又は尿蛋白/尿クレアチニン比)
        g/日
        又は
        g/gCr
        3.5以上を持続する
        血清アルブミン
        (BCG法)
        g/dl 3.0以下
        血清総蛋白 g/dl 6.0以下
    5. (5) 腎疾患による障害の程度を一般状態区分表で示すと次のとおりである。
      一般状態区分表
      区分 一般状態
      無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの
      軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの 例えば、軽い家事、事務など
      歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
      身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
      身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの
    6. (6) 各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりである。
      区分 障害の状態
      1級 前記(4)?の検査成績が高度異常を1つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの
      2級
      1. 前記(4)①の検査成績が中等度又は高度の異常を1つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のエ又はウに該当するもの
      2. 人工透析療法施行中のもの
      3級
      1. 前記(4)①の検査成績が軽度、中等度又は高度の異常を1つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの
      2. 前記(4)②の検査成績のうちアが異常を示し、かつ、イ又はウのいずれかが異常を示すもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの
    7. (7) 人工透析療法施行中のものについては、原則として次により取り扱う。
      1. 人工透析療法施行中のものは2級と認定する。
        なお、主要症状、人工透析療法施行中の検査成績、長期透析による合併症の有無とその程度、具体的な日常生活状況等によっては、さらに上位等級に認定する。
      2. 障害の程度を認定する時期は、人工透析療法を初めて受けた日から起算して3月を経過した日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)とする。
    8. (8) 検査成績は、その性質上変動しやすいものであるので、腎疾患の経過中において最も適切に病状をあらわしていると思われる検査成績に基づいて認定を行うものとする。
    9. (9) 糸球体腎炎(ネフローゼ症候群を含む。)、腎硬化症、多発性嚢胞腎、腎盂腎炎に罹患し、その後慢性腎不全を生じたものは、両者の期間が長いものであっても、相当因果関係があるものと認められる。
    10. (10) 腎疾患は、その原因疾患が多岐にわたり、それによって生じる臨床所見、検査所見も、また様々なので、前記(4)の検査成績によるほか、合併症の有無とその程度、他の一般検査及び特殊検査の検査成績、治療及び病状の経過等も参考とし、認定時の具体的な日常生活状況等を把握して総合的に認定する。
    11. (11) 腎臓移植の取扱い
      1. 腎臓移植を受けたものに係る障害認定に当たっては、術後の症状、治療経過、検査成績及び予後等を十分に考慮して総合的に認定する。
      2. 障害年金を支給されている者が腎臓移植を受けた場合は、臓器が生着し、安定的に機能するまでの間を考慮して術後1年間は従前の等級とする。

それでは手続きの流れを確認しましょう。

障害年金の請求手続きの流れ

「障害年金を請求しよう!」と思ってから請求までの大まかな流れは以下の通りとなります。

  1. 初診日はいつだったかを確認する
  2. 保険料納付要件を満たしているかを確認する
  3. 初診日を証明する
  4. 医師に診断書を書いていただく
  5. 病歴・就労状況等申立書を作成する
  6. その他の必要な書類を添付する
  7. 年金請求書とともに揃えた書類を提出する

以下では弊事務所でサポートした慢性腎不全の受給事例を紹介いたします。

ご参考いただき「自分ももらえるのではないか」という可能性を考えてみましょう。

人工透析をしていない慢性腎不全の受給事例

事例1 病名:慢性腎炎からの慢性腎不全

この方は10年前に学校での検尿で蛋白尿を指摘されていました。その後蛋白尿に加えて腎機能障害により受診をしました。

障害年金を請求しようと考えましたが、最初に蛋白尿を指摘されたときは10代であり年金未加入であったため、障害基礎年金の請求になるのではないかとお考えでした。

更に、人工透析をせずに腎移植を検討していましたので、障害年金をもらえないのではないかと考え、弊所に相談に見えました。

傷病名

慢性腎炎からの慢性腎不全

障害の状態

徐々にクレアチニンの値が上昇、倦怠感やむくみも顕著。

就労状況

正社員として就労。年収500万円以上。

身体障害者手帳の等級

身体障害者手帳3級

労働能力及び日常生活能力

座業のみ可能。

予後

近い将来に血液透析、腹膜透析、腎移植のいずれかが必要

認定が得られた障害年金の等級

障害厚生年金3級

障害年金の受給額

年額約58万円

本事例のポイント

人工透析をしていない状態での請求。

健康診断を受けた日の取扱いについて

初診日は「原則として初めて治療目的で医療機関を受診した日」であり、健康診断を受けた日(健診日)は初診日として取り扱わないこととされています。

そのため本事例では、学生時代の検尿で尿蛋白を指摘された日ではなく、社会人になってから腎機能障害について受診した日が初診日になると判断しました。

請求サポートさせていただき、無事支給となりました。

この方の場合、クレアチニンの数値は上昇しており、認定基準を満たすものでしたが、正社員としてフルタイムで就労しており、年収も高い水準を維持していました。

この点が障害年金の認定に向けて、一番難しい点であると感じていました。

実際は座業であるため就労を継続できている状態でしたが、障害厚生年金3級の「就労に著しい制限を受ける状態」にあたることを明確にする必要がありました。

これまでの治療や病状の経過に加え、現在の職場での状態や家庭内の状態等を詳しく丁寧に聞き取り、請求書類に落とし込んでいきました。

結果として、障害厚生年金3級の認定を得ることができ、大変喜んでおられました。

事例2 病名:2型糖尿病から慢性腎不全

この方は約20年前から糖尿病の治療を受けており、腎機能障害に至っていました。

障害年金を請求しようと考えましたが、糖尿病で受診した日は覚えておらず、人工透析もしていないし、経営者をしているため「障害年金はもらえないのではないか」と考え、弊所に相談に見えました。

傷病名

2型糖尿病から慢性腎不全

障害の状態

長期に渡る糖尿病から腎機能障害を認め、腎臓内科での治療を開始。腎機能は進行性に悪化している。

就労状況

会社経営をしており、高い年収を維持していた。

身体障害者手帳の等級

身体障害者手帳4級

労働能力及び日常生活能力

日常生活に著しい制限を受けている。

予後

慢性に進行しており、透析療法を要する。

認定が得られた障害年金の等級

障害厚生年金2級

障害年金の受給額

年額約150万円

本事例のポイント

初診日が古く特定が困難でした。また、収入が非常に高い状態での請求となりました。

糖尿病から糖尿病性腎症や慢性腎不全に至った場合

糖尿病から糖尿病性腎症や慢性腎不全に至った場合、初診日は最初の糖尿病で初めて医療機関等を受診した日となります。

糖尿病から慢性腎不全に至る場合、糖尿病で初めて受診してから慢性腎不全に至るまでの期間があまりにも長く、初診日時点のカルテがすでに破棄されている等、初診日の証明が困難となるケースが散見されます。

「初診日の証明」が何より重要!

受診状況等証明書

初診日の証明書(受診状況等証明書といいます)は、原則として、カルテに基づいて作成していただきます。カルテの保存期間は法律上5年間ですので、初診日に受診した医療機関にいかなくなってから5年以上経っている場合はカルテが破棄されていることがあります。

医療機関によっては5年より長い保存時間を定めているところもありますので、まずは連絡して確認しましょう。

初診日を確定できないと、

  • 障害基礎年金の請求か、障害厚生年金の請求か。
  • 保険料納付要件を満たしているか。
  • 障害認定日はいつか。

を決めることができません。

これは、どんなに現在の障害の状態が重くても、障害年金の請求手続きすべてが止まってしまうことを意味します。

自分ひとりでは初診日が分からない、確定できないという方はご相談ください。

初診日の確定のために探偵のようになります。

また、腎疾患では受診状況等証明書の他に、「初診日に関する調査票」も提出する必要があります。

初診日の証明については、それだけ厳格さが求められます。

初診日に関する調査票:腎臓・膀胱の病気用

初診日の証明についてご不安な方は、以下からお問い合わせください。

請求サポートさせていただき、無事支給となりました。

この方の場合、初診日が古く、特定が困難な状態となっていました。

しかし、断片的に残っている領収書や検査成績票等の資料をひとつひとつ精査し、初診日を特定する手がかりを探りました。

結果、困難であった初診日を特定することができました。

このプロセスには、10年以上の経験とノウハウが大いに役立ちました。

また、クレアチニンの数値は上昇しており、認定基準を満たすものでしたが、会社の経営者であり、年収も高い水準を維持していました。

この点については、これまでの治療や病状の経過に加え、現在の会社での状態や家庭内の状態等を詳しく丁寧に聞き取り、請求書類に落とし込んでいきました。

結果として、障害厚生年金2級の認定を得ることができ、大変喜んでおられました。

それでは、障害年金の審査について詳しくみていきましょう。

障害年金の審査について

障害年金の審査に、面接はありません。

すべて書類で審査されます。

そのため、書類だけで「日常生活にどのような制限を受けているのか」「働いているならどんな風に働いているのか」を審査機関に分かるように作成しなければなりません。

本当は障害年金を受給できる状態なのに、書類が不十分だからといって不支給になるのは残念なことです。

障害の状態の審査には、主に「診断書」と「病歴・就労状況等申立書」が使用されます。

診断書について

診断書:腎疾患・肝疾患・糖尿病の障害用 診断書:腎疾患・肝疾患・糖尿病の障害用2

障害年金を請求するための診断書は、治療のための医学的な診断書ではなく、生活に必要な所得保障のための社会医学的な診断書です。

そのため、病気やけがなどによって日常生活にどれくらい影響を及ぼしているかがわかるように作成いただくことが大切です。

自分一人でお医者様に伝えることが難しい場合は、お医者様に伝えるべきポイントを整理するようサポート致しますのでお問い合わせください。

病歴・就労状況等申立書について

病歴・就労状況等申立書 病歴・就労状況等申立書2

これは、「発病から現在までの病状・治療の流れ」「日常生活の様子」を記述し、あなたの症状や生活状況が、障害年金の基準を満たすことを申し立てるものです。

適切な「病歴・就労状況等申立書」を作るために必要なことは以下の2点です。

  1. 自分自身の状況を客観的に把握すること
  2. 把握した内容を、審査機関に伝わるようにわかりやすく記述すること

ただでさえ障害を抱えて大変な状況なのに、時間と精神的・体力的な負担がかかる作業になるおそれがあります。

私にご相談いただければ、代筆いたします。

障害年金を受給するために

障害年金の申請は、国民年金法・厚生年金法や認定基準等をご存じない方がひとりで対応するには限界があります。

ご自分の生活がかかった大切なことなので、専門家である社労士に知識・経験を求めるのが最善の選択です。

「事務手数料の2万円を支払うのが惜しくて、とりあえず自分でやってみたけど不支給だった。なんとかしてください」というご相談をいただくケースがあります。

当然その時点からできる限りのサポートをさせていただくのですが、事後重症請求の方の場合、1か月請求が遅くなれば、障害基礎年金2級なら毎月約6万5千円ずつ捨てていくことになります。

最初にかかる2万円の事務手数料を惜しんだばかりに、障害年金の受け取りが数か月遅くなっては本末転倒です。

一人でわけも分からず不安いっぱいで戦うのではなく、あなたの代理人となって受給に向けて取り組んでくれる専門家である社労士を味方につけてください。

お気軽にお問合せください。

障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。

煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。

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