脳性麻痺で障害基礎年金は不支給でした。1年後に申請をしたら受給できますか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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私は生まれつきの脳性麻痺のため身体障害者手帳6級(下肢障害)を持っています。
20歳になったので障害基礎年金の申請を行いましたが、不支給でした。
1年間の期間を空けて改めて申請しようと思っているのですが、受給できるでしょうか?
1年後の障害の状態については現段階では分かりかねるため、受給できるかどうかの判断は致しかねます。
ただし、脳性麻痺のため下肢に障害がある場合、進行性とは考えにくく、1年後の状態も現在と同じであれば、請求の結果も同じになるでしょう。
身体障害者手帳6級の交付を受けているとのことですので、身体障害者手帳と障害年金の認定基準を比較検討してみましょう。
下肢障害の身体障害者手帳6級の状態
身体障害者手帳6級の下肢障害の状態は、「一下肢の足関節の機能の著しい障害」とされています。
一方、障害年金の一下肢障害の認定基準は以下の通りです。
障害年金の一下肢の機能障害の認定基準
【2級】
- 一下肢の3大関節中いずれか2関節以上の関節が全く用を廃したもの
具体的には、一下肢の3大関節中いずれか2関節以上の関節が、以下のいずれかに該当する程度のものをいいます。
- 不良肢位で強直しているもの
- 関節の他動可動域が、健側の他動可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの
- 筋力が著減または消失しているもの
【3級】
- 一下肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの
具体的には、関節の他動可動域が健側の他動可動域に2分の1以下に制限されたもの又はこれと同程度の障害を残すもの。
例えば、起床から就寝まで固定装具を必要とする程度の動揺関節をいいいます。
- 一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの
例えば、一下肢の3大関節中1関節が不良肢位で強直しているもの
- 人工骨頭又は人工関節をそう入置換したもの
【障害手当金】(症状が固定されているもの)
- 一下肢の3大関節のうち、1関節に著しい機能障害を残すもの
具体的には、関節の他動可動域が健側の他動可動域の3分の2以下に制限されたもの又はこれと同程度の障害を残すもの…例えば、常時ではないが、固定装具を必要とする程度の動揺関節、慣習性脱臼をいいます。
本事案の場合
両者の基準を比較検討すると、障害年金3級もしくは障害手当金に該当する可能性が考えられます。
障害年金3級または障害手当金について
3級、障害手当金は、障害厚生年金にしかない等級です。
障害基礎年金の請求となるか、障害厚生年金の請求となるかは、初診日に加入していた年金制度によって決まります。
初診日の時点で厚生年金に加入している場合は、障害厚生年金の請求が可能となり、3級または障害手当金の認定を得ることができます。
しかし、初診日の時点で国民年金に加入している場合は、障害基礎年金の請求になるため、3級もしくは障害手当金相当では障害年金を受給することができません。
本事案の場合、生まれつきの脳性麻痺とのことですので、20歳前傷病の障害基礎年金の請求となるでしょう。
20歳前傷病の障害基礎年金とは…
先天性の病気などにより20歳前から障害があり、初診日が、20歳前(年金制度に加入していない期間)にあり、かつ、障害の状態が1級または2級に該当する場合には、障害基礎年金を受けることができます。
20歳前傷病の障害基礎年金の請求の場合、3級または障害手当金相当では受給することができません。
また、廃用性による障害の状態の悪化は、障害年金の認定の対象とされていません。
※廃用性とは、身体活動の低下や長期間の安静状態などにより、心身の機能が低下した状態をいいます。
1年後にどのような状態になっているかについては、未来のことですので誰にもわかりません。
上記を参考にしていただき、1年後に改めて申請についてご検討されてはいかがでしょうか。
障害年金を受給するために
障害年金の審査は、「しんどい」、「お金に困っている」、「悲しい」等ではなく、あくまで認定基準に該当しているか否かを審査されます。
そのため、国民年金法・厚生年金法や認定基準等をご存じない方がひとりで対応するには限界があります。
ご自分の生活がかかった大切なことなので、専門家である社労士に知識・経験を求めるのが最善の選択です。
一人でわけも分からず不安いっぱいで戦うのではなく、あなたの代理人となって受給に向けて取り組んでくれる専門家である社労士を味方につけてください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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