統合失調症です。これまで職を転々としていますが、今は働いています。障害年金2級はもらえませんか。

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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私は現在52歳会社員です。
10年前に統合失調症を発症し通院を継続していますが、現在も幻覚や幻聴の症状は改善しません。
仕事中に誰かが自分のパソコンの中身を見ているのではないか、盗聴されているのではないかと感じて仕事にならなかったり、会社を無断欠勤したりするため、長期で仕事に就くことができず、職を転々としています。
また、幻聴があると自分の意に反して散財してしまうこともあります。
現在は事務の仕事をしていますが、また無断欠勤をしてしまうのではないかと不安です。
今のうちに障害年金が受給できるようにしておきたいのですが、私の場合、障害基礎年金の請求になるので2級以上にならないと受給できません。
仕事をしている状態でも障害基礎年金2級の受給はできるでしょうか。
また、精神保健福祉手帳が3級でも障害基礎年金2級の受給はできるのでしょうか。
働いているからといって、不支給になるとは限りません。
障害年金の受給者のうち、34.06%の方々が働きながら受給しています。
受給者数
働いていない
働いている
働いている人の割合
2,096,000人
1,346,000人
714,000人
34.06%
そして、精神の障害に限定すると、28.28%の方々が働きながら受給しています。
精神障害による
受給者数働いていない
働いている
働いている人の割合
725,000人
508,000人
205,000人
28.28%
また、働いていることを理由に支給が認められなかった方が訴訟した結果、受給が認められた判例もあります。
このように、働いているからといって受給できないわけではないことがわかります。
さらに、精神保健福祉手帳3級で障害年金2級を受給している方もたくさんおられます。
精神保健福祉手帳
障害年金
1級
2級
3級
1級
99,000人
73,000人
25,000人
1,000人
2級
438,000人
16,000人
410,000人
11,000人
3級
64,000人
1,000人
27,000人
35,000人
なし
1,184,000人
493,000人
611,000人
79,000人
不明
311,000人
121,000人
180,000人
11,000人
このデータからも精神保健福祉手帳が3級であっても障害年金2級を受給できないわけではないことがわかります。
働きながら障害年金を受給できたAさんの事例
私が申請をお手伝いした事例を紹介します。
性別・年齢
女性、55歳
症状
10年以上前から幻聴や幻覚などの残遺状態があり、意味不明なことを叫んだり暴言を吐くなどの異常体験がある。
就労状況
一般企業(障害者雇用)に3年勤務。週5日、電車で1時間かけて通勤している。わずかだが昇給もあり、賞与もある。
結果
障害厚生年金2級
障害年金の認定基準
障害年金には1級から3級の等級があり、各等級の認定基準は以下の通りとされています。
1級
他人の介助を受けなければほとんど自分の用を弁ずることができない程度のもの
2級
必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない程度のもの
3級
労働に著しい制限を受ける程度のもの
この基準を見ると、「働いていたら障害年金はもらえない」、「働いていたら2級はとてもじゃないけど無理」と思ってしまいそうです。
しかし、これは目安であり、「働いていたらもらえない」「働いていなければもらえる」という主旨ではありません。
精神障害で働いている場合に審査で考慮されること
精神に障害があっても、「働いているということは、十分に日常生活能力や労働能力がある」と考えるのではなく、
- 療養状況
- 仕事の種類
- 仕事の内容
- 就労状況
- 仕事場で受けている援助の内容
- 他の従業員との意思疎通の状況
等を十分確認したうえで判断されます。
その他、審査で考慮されること
- 精神障害による出勤状況への影響(頻回の欠席・早退・遅刻など)
- 仕事場での臨機応変な対応や意思疎通に困難な状況
等を考慮し、検討されます。
Aさんの具体的な状況
Aさんの具体的状況は以下のとおりです。
- 障害の特性で、罹病後数年ないし十数年の経過中に症状の好転を見ることがあり、その間に就職するも、急激に症状が増悪し、その状態が持続するため短期間で仕事が続けられなくことを繰り返していた。
- 幻聴があり、現実との区別がつかず、遅刻や無断欠勤が続いていた。(請求日後に退職)
- 幻聴と対話するため、対人関係の構築や意思疎通は困難。
- 不安感や憂うつ気分が増し、食事の準備や金銭管理など日常生活のあらゆる場面で家族のサポートが必要。
「労働能力がある」とは、障がいのない人と同様の労働環境で、同様の仕事をしている、できている状態をいいます。
Aさんは、表面的には一般企業に勤めているため、十分に日常生活能力があり、労働能力もあるように見えますが、実際にはそうではないことがわかります。
この事実を正確かつ、審査機関が2級の認定のために考慮する事項を余すことなく盛り込んだ書類を作成することで2級をもらえる可能性があると判断しました。
結果、無事2級の支給が決定されました。
あなたの症状は受給できる可能性は十分にあります
あなたの症状は、「幻覚や幻聴の症状は改善しない」「会社を無断欠勤する」「職を転々としている」「自分の意に反して散財する」ということですので、障害年金をもらえる可能性は十分にあります。
もう少し詳しい状況をお聞かせいただければ、障害年金をもらえるかどうかチェックいたします。
なお、うつ病や発達障害など、その他の精神の障害でも他人の力を借りないと日常生活や仕事ができない状況であれば、たとえ働いていたとしても、もらえる可能性は十分にあります。
申請に必要な書類準備の難しさ
障害年金の審査に、面接はありません。
すべて書類で審査されます。
そのため、書類だけで「就労にどのような制限を受けているのか」「働いているならどんな風に働いているのか」を審査機関に分かるように作成しなければなりません。
必要なのは、客観的事実を揃え、正確に事実をわかりやすくすることです。
特に、精神の病気の場合は、目に見える症状ではないので、主観的な内容を記載するのでは不十分です。
Aさんは、「障害年金がもらえるようになり、収入が少なくなっても安心できる!」と大変喜んでおられました。
障害年金は「施し」ではなく「権利」です
障害年金は、施しではありません。社会保険料を納めている人にとっての権利です。
本当はもらえる権利があるのに、書類が不十分だからといって不支給になるのは残念なことだと思っています。
私は、もらうべき人のために、的確にお客様の状況を把握し「障害年金をもらえる書類を準備する」ことを常に意識しています。
この権利をきっちり行使できるようお手伝いいたします。
面談では社会保険労務士の中井が直接対応致しますので1日2人までのご予約とさせていただいております。
遠方の方の場合、ZOOMやLINEのビデオ通話での対応となりますが、月に5人程度と限らせていただいております。
お住いの都道府県によっては都道府県担当の社会保険労務士を案内させていただくケースがあります。
まずは、お気軽にご相談ください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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