60歳から前倒しで老齢年金をもらっていると、障害年金の申請は無理ですか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
-
私の父は現在64歳です。
昔から糖尿病を患っていましたが、ここ2〜3年で合併症がでてきて、
歩行障害や視力低下などの症状が出てきました。
仕事ができないため障害年金を申請したいと思いますが、
60歳から前倒しで老齢年金をもらっているので、申請は無理だと言われました。
しかし例外もあるそうですが、父が障害年金をもらえる可能性はあるのでしょうか?
本回答は2019年12月現在のものです。
ご質問内容から、お父さまが障害年金をもらえる可能性は低いでしょう。
障害年金は原則として、65歳の誕生日の2日前までに申請しなければなりません。
お父さまのように、老齢年金の繰り上げ支給を受けている方の場合は、
65歳に達していなくても、65歳に達したとみなされます。
そのため、老齢年金を繰上げて受給している場合は、
障害年金の申請をすることができなくなります。
例外的に、65歳以降でも申請できる場合は以下に限られます。
65歳以降でも障害年金を申請できる場合
- 初診日が、65歳の2日前までにあり、障害認定日の障害状態が障害等級に該当している場合
- 前発傷病と後発傷病を併せて、65歳前にはじめて2級となった場合
- 初診日において国民年金の任意加入者であった場合
- 初診日において厚生年金加入中であった場合
お父さまの場合、歩行障害や視力低下は糖尿病の合併症であることから、
初診日は糖尿病のために初めて医療機関を受診した日となるでしょう。
初診日が60歳よりも前にあり、その時点で保険料納付要件を満たし、
障害認定日時点の診断書を取得することができれば、申請は可能です。
初診日とは
障害の原因となった傷病について、
初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。
具体的には次のような場合が初診日とされます。
- 初めて診療を受けた日(治療行為又は療養に関する指示があった日)
- 同一の傷病で転医があった場合は、一番初めに医師等の診療を受けた日
- 過去の傷病が治癒し同一傷病で再度発症している場合は、再度発症し医師等の診療を受けた日
- 傷病名が確定しておらず、対象傷病と異なる傷病名であっても、同一傷病と判断される場合は、他の傷病名の初診日が対象傷病の初診日
- 障害の原因となった傷病の前に、相当因果関係があると認められる傷病があるときは、最初の傷病の初診日が対象傷病の初診日
※ただし、知的障害の場合は、出生日が初診日となります。
保険料納付要件とは
初診日の前日において以下の1または2を満たしている必要があります。
- 初診日の属する月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
- 初診日において65歳未満であり、初診日の属する月の前々月までの直近1年間に保険料の未納期間がないこと
※20歳前に初診日がある場合は、保険料納付要件は問われません。
障害認定日とは
障害の程度の認定を行うべき日をいい、原則として、
- 初診日から起算して1年6月を経過した日
- 傷病が治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)
のいずれか早い日となります。
糖尿病の認定基準
以下のすべてを満たすものについて、3級に認定されます。
- 90日以上のインスリン治療を行っている
- Cペプチド値、重症低血糖、糖尿病ケトアシドーシス、高血糖高浸透圧症候群のいずれかが一定の程度
- 日常生活の制限が一定の程度
症状、検査成績および具体的な日常生活状況等によっては、
さらに上位等級に認定されることも考えられます。
障害認定日の時点で認定基準に該当すると判断された場合は、
障害認定日から障害厚生年金3級がもらえることになります。
しかし年金を受け取る権利は、権利が発生してから5年を経過すると時効消滅するため、
実際に支給を受けることが出来るのは、時効消滅していない直近の5年分となります。
直近5年分の障害厚生年金3級が支給されることになったとしても、
老齢年金と併給することができないため、どちらか有利な方を選択することになります。
老齢年金を選択すれば障害厚生年金は支給されず、
障害年金を選択すれば、すでに受給している老齢年金額の差額のみが支給されることになります。
ご質問内容からは、初診日の時期等、詳細がわかりかねますが、
手間をかけて障害年金の申請書類をそろえ、認定を得ることができたとしても、
老齢年金と併せて受給することはできないことから、
障害年金を申請するメリットがあまり感じられないかもしれません。
◎障害年金の申請について
ご自身で書類をしっかり準備したつもりが、症状に合った等級が認められないケースや、不支給となるケースが見受けられます。
このようなことを防ぐためには専門知識が必要となりますが、そうなると社労士に相談するか関連書籍を参照しなければなりません。
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◎社労士への依頼も合わせてご検討ください
審査を受ける機会は審査請求、再審査請求を含めて3回あります。
しかし、1度目の請求で認められない場合、2度目以降で決定が覆るのは、たった14.7%となっています。より確実に認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
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お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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