父は老齢年金を受給していますが、人工透析のため障害年金に切り替えることはできないのでしょうか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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私の父は現在75歳で、糖尿病により5年前から人工透析をしています。
網膜症を合併しているため、右眼は殆ど見えていません。
父は65歳から老齢年金を受給していますが、
障害年金に切り替えることはできないのでしょうか?
本回答は2019年10月現在のものです。
ご質問内容から、障害年金に切り替えることは難しいでしょう。
また、障害年金に切り替えることができたとしても、
お父さまの場合、障害年金3級に相当することが考えられるため、
老齢年金と比較しても、老齢年金の方が有利になる可能性が考えられます。
そのため、障害年金を請求するメリットが感じられない可能性が考えられます。
障害年金は原則として、65歳の誕生日の2日前までに申請しなければなりません。
65歳以降でも申請できる場合は以下に限られます。
65歳以降でも障害年金を申請できる場合
- 初診日が、65歳の2日前までにあり、障害認定日の障害状態が障害等級に該当している場合
- 前発傷病と後発傷病を併せて、65歳前にはじめて2級となった場合
- 初診日において国民年金の任意加入者であった場合
- 初診日において厚生年金加入中であった場
お父さまの場合、
糖尿病の初診日が65歳の2日前までにあり、障害認定日の状態が等級に該当している場合は、
障害認定日請求が可能となります。
障害認定日請求とは
障害認定日時点での診断書を取得し、請求することを障害認定日請求といいます。
※障害認定日とは、障害の程度の認定を行うべき日をいい、原則として、
- 初診日から起算して1年6月を経過した日
- 傷病が治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)
のいずれか早い日となります。
初診日とは
障害の原因となった傷病について、
初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。
具体的には次のような場合が初診日とされます。
- 初めて診療を受けた日(治療行為又は療養に関する指示があった日)
- 同一の傷病で転医があった場合は、一番初めに医師等の診療を受けた日
- 過去の傷病が治癒し同一傷病で再度発症している場合は、再度発症し医師等の診療を受けた日
- 傷病名が確定しておらず、対象傷病と異なる傷病名であっても、同一傷病と判断される場合は、他の傷病名の初診日が対象傷病の初診日
- 障害の原因となった傷病の前に、相当因果関係があると認められる傷病があるときは、最初の傷病の初診日が対象傷病の初診日
※ただし、知的障害の場合は、出生日が初診日となります。
糖尿病の認定基準
以下のすべてを満たすものについて、3級に認定されます。
- 90日以上のインスリン治療を行っている
- Cペプチド値、重症低血糖、糖尿病ケトアシドーシス、高血糖高浸透圧症候群のいずれかが一定の程度
- 日常生活の制限が一定の程度
症状、検査成績および具体的な日常生活状況等によっては、
さらに上位等級に認定されることも考えられます。
視力障害の認定基準
- 1級…両眼の視力の和が0.04以下のもの
- 2級…両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの
- 3級…両眼の視力が0.1以下に減じたもの、または、障害手当金の程度であり症状固定していないもの
- 障害手当金…両眼の視力が0.6以下に減じたもの、または、一眼の視力が0.1以下に減じたもの
※屈折異常のあるものについては、矯正視力により認定する。
※両眼の視力とは、それぞれの視力を別々に測定した数値であり、両眼の視力の和とは、それぞれの測定値を合算したものをいう。
例えば、糖尿病の初診日が60歳の時(厚生年金加入期間中)とした場合、
初診日から1年6か月を経過した時点(障害認定日)の診断書を取得します。
その時点では、まだ人工透析は始めていないため、
糖尿病の状態が上記の認定基準に該当する程度であれば、3級が認定されます。
また、障害認定日の時点で右目を失明している場合、
左目である程度見えている場合は、障害手当金相当と判断される可能性が考えられます。
糖尿病の3級と視力障害の障害手当金を併せても、2級にはなりません。
障害厚生年金3級の年金額は、
障害認定日までの被保険者期間の月数や平均標準報酬月額によって計算されます。
一方、65歳からの老齢年金は、老齢基礎年金と老齢厚生年金が支給され、
公的年金に加入していた全期間から年金額が計算されます。
そのため、障害厚生年金3級と老齢年金(老齢基礎年金と老齢厚生年金)とでは、
老齢年金の年金額の方が多くなることが考えられます。
仮に障害年金2級以上に認定されたとしても、
場合によっては、老齢年金の方が有利になることもあります。
上記のように、障害年金の受給権を得るためには、
少なくとも10年以上前の初診日を特定し、診断書を取得する必要があります。
苦労して認定が得られたとしても、
現在受けている老齢年金の方が有利になる可能性が考えられます。
そのため障害年金を請求するメリットが感じられない可能性が考えられます。
◎障害年金の申請について
ご自身で書類をしっかり準備したつもりが、症状に合った等級が認められないケースや、不支給となるケースが見受けられます。
このようなことを防ぐためには専門知識が必要となりますが、そうなると社労士に相談するか関連書籍を参照しなければなりません。
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◎社労士への依頼も合わせてご検討ください
審査を受ける機会は審査請求、再審査請求を含めて3回あります。
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06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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