18歳の時に統合失調症を発症。障害年金の受給資格はありますか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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私は統合失調症を患っています。 23歳の男です。
18の時に発病し、初診のときには既に就職しており、年金を6ヶ月分払っています。
しかし、会社をやめてフリーターになり20歳を越えてからの年金が払えていません。
先日までアルバイトをなんとか頑張っていたのですが、
勤務中に幻聴や過呼吸が原因でまともに働けなくて、解雇されてしまいました。
そこで障者年金を申請してみようかと思っているのですが、
私に受給資格はありますか? また、20歳からさかのぼってもらえるのですか?
本回答は2017年7月時点のものです。
障害年金をもらうためには3つの要件があります。
支給要件を満たすことができれば受給が可能です。
障害年金をもらうための3つの要件
- 初診日要件…障害の原因となった病気やケガを医者か歯科医師に診てもらった日は、国民年金と厚生年金のどちらに加入していたか
- 保険料納付要件…一定以上の年金保険料を納めているかどうか
- 障害認定日要件…厚生労働省が定めた「障害の基準」を満たしているかどうか
「初診日要件」とは
障害の原因となった病気やケガを医者か歯科医師に診てもらった日は、
国民年金と厚生年金のどちらに加入していたか、
その加入していた制度によって、もらえる年金の種類が決まります。
ご質問者様の場合、18歳の時が初診とありますが、
厚生年金加入期間中に初診日があるものと推察されますので、
その場合は20歳前傷病の障害基礎年金ではなく、障害厚生年金の申請となります。
保険料納付要件については、下記1もしくは2の要件を満たす必要があります。
「保険料納付要件」とは
初診日の前日において以下の1または2を満たしている必要があります。
- 初診日の属する月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
- 初診日において65歳未満であり、初診日の属する月の前々月までの直近1年間に保険料の未納期間がないこと
※20歳前に初診日がある場合は、保険料納付要件は問われません。
「障害認定日要件」とは
障害認定日において、一定以上の障害状態にあるかどうかで判断されます。
※障害認定日とは、障害の程度の認定を行うべき日をいい、原則として、
- 初診日から起算して1年6月を経過した日
- 傷病が治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)
のいずれか早い日となります。
ご質問者様の場合、障害厚生年金の申請となりますので、
障害認定日は20歳の誕生日ではなく、
初診日から起算して1年6月を経過した日となります。
その時点の障害の状態が障害等級に該当すると判断された場合、
遡って受給することができます。
統合失調症の障害の状態については、以下の基準によって審査されます。
統合失調症の認定について
統合失調症は、罹患後数年ないし十数年の経過中に症状の好転を見ることもあり、
また、その反面急激に増悪し、その状態を持続することもある。
したがって、統合失調症として認定を行うものに対しては、
発病時からの療養及び症状の経過を十分考慮するものとされています。
統合失調症の認定基準
- 1級…高度の残遺状態又は高度の病状があるため高度の人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験が著明なため、常時の援助が必要なもの
- 2級…残遺状態又は病状があるため人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があるため、日常生活が著しい制限を受けるもの
- 3級…残遺状態又は病状があり、人格変化の程度は著しくないが、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があり、労働が制限を受けるもの
幻聴や過呼吸が原因でまともに働けないとのことですので、
受給の可能性も考えられます。
申請を検討されてはいかがでしょうか。
なお、現在は国民年金保険料が払えていないとのことですが、
障害年金2級以上の受給権を得た場合は、法定免除となります。
障害年金3級以下の場合であっても、申請免除や納付猶予制度を利用することができます。
納付が難しい場合でも未納のままにせず、免除等の制度を利用しましょう。
国民年金保険料の法定免除について
障害基礎年金の認定が得られると、
認定された日を含む月の前月の保険料から法定免除となります。
受給決定後、すみやかに「国民年金保険料免除事由該当届」を提出する必要があります。
申請免除とは
国民年金の第1号被保険者本人、保険料連帯納付義務者である世帯主・配偶者のいずれもが、
以下のいずれかに該当するときは、申請して承認を受ければ、
保険料の全額または一部の納付義務が免除されます。
- 所得が低いとき
- 本人またはその世帯の人が生活保護の生活扶助以外の扶助を受けているとき
- 保険料の納付が著しく困難なとき等
※申請免除には全額免除と3/4免除、半額免除、1/4免除があります。
障害年金の申請について
障害の状態によって等級が決まりますが、
提出書類によって、2級相当の状態なのに3級となったり不支給となったり
というケースが数多くあります。
そのため関連書籍をご購入の上、申請されることをお勧めします。
審査のチャンスは審査請求、再審査請求を含めて3回ありますが、
1度目に不支給となると再審査請求で支給が決定するのは14.7%となっています。
慎重にご準備ください。
申請の流れはこちらにて解説していますので、ご参考にしてください。
社労士への依頼も合わせてご検討ください
よりスムーズに認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
私は元厚生労働省の事務官ですので、
役所の論理・理屈を理解しており、これまで90%以上の確率で認定を得ています。
もし社労士への依頼を検討される場合は、こういった点も合わせてお考えください。
疑問などがございましたら、下記お問い合わせフォームからお気軽にご質問ください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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