初診日の病院は廃院になり、国民年金も納めていません。障害年金の受給は無理ではないですか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
-
私の兄は現在45歳です。統合失調症のため無職で引きこもりです。
中学生くらいの時から入院をしていたのですが、
その後は親が病院に行っても治らないからと言い、通院はしていません。
最近になって再び通院を始めました。親が老後を心配したからです。
障害年金を受給したいと言っているのですが、兄は受給できるのですか?
調べると初診日が重要とありますが、入院していた病院はすでに廃院になっています。
また、国民年金もまったく納めておらず、免除の手続きもしていません。
こんな状態では障害年金の受給は無理ではないですか?
本回答は2020年1月現在のものです。
ご質問内容にもあるように、障害年金の請求には初診日の特定が非常に重要になります。
初診日が特定できない場合は、どんなに状態が重くても認定を得ることができないケースもあります。
初診日とは
障害の原因となった傷病について、
初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。
具体的には次のような場合が初診日とされます。
- 初めて診療を受けた日(治療行為又は療養に関する指示があった日)
- 同一の傷病で転医があった場合は、一番初めに医師等の診療を受けた日
- 過去の傷病が治癒し同一傷病で再度発症している場合は、再度発症し医師等の診療を受けた日
- 傷病名が確定しておらず、対象傷病と異なる傷病名であっても、同一傷病と判断される場合は、他の傷病名の初診日が対象傷病の初診日
- 障害の原因となった傷病の前に、相当因果関係があると認められる傷病があるときは、最初の傷病の初診日が対象傷病の初診日
※ただし、知的障害の場合は、出生日が初診日となります。
お兄さまの場合、入院していた病院は廃院になっているとのことですので、
カルテがないなどの場合は、初診日の特定は難しい可能性が考えられますが、
初診日を合理的に推定できるような一定の書類により、
本人が申し立てた日を初診日と認められる場合があります。
具体的に、次の場合には、審査の上、本人の申し立てた初診日が認められます。
- 初診日について第三者(隣人、友人、民生委員など)が証明する書類があり、他にも参考資料が提出された場合
- 初診日が一定の期間にあることを示す参考資料が提出され、保険料納付要件など一定の条件を満たしている場合
※第三者(三親等以内の親族は認められません)による確認項目は、以下の通りです。
- 発症から初診日までの症状の経過
- 初診日頃における日常生活上の支障度合い
- 医療機関の受診契機
- 医師からの療養の指示など受診時の状況
- 初診日頃の受診状況を知り得た状況 など
お薬手帳や日付の入った診察券、学校の記録等があれば、
初診日を証明するのに参考となる書類となる可能性があります。
お兄さまの場合、中学生の頃に入院をしていたとのことですので、
初診日が特定できれば、保険料納付要件は問われないことが考えられます。
保険料納付要件とは
初診日の前日において以下の1または2を満たしている必要があります。
- 初診日の属する月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
- 初診日において65歳未満であり、初診日の属する月の前々月までの直近1年間に保険料の未納期間がないこと
※20歳前に初診日がある場合は、保険料納付要件は問われません。
初診日の特定ができ、障害の状態が2級以上に該当する程度であれば、
障害基礎年金が支給される可能性が考えられます。
まずは初診日の特定から始められてはいかがでしょうか。
なお、統合失調症の認定基準は、以下の通りです。
統合失調症の認定について
統合失調症は、罹患後数年ないし十数年の経過中に症状の好転を見ることもあり、
また、その反面急激に増悪し、その状態を持続することもある。
したがって、統合失調症として認定を行うものに対しては、
発病時からの療養及び症状の経過を十分考慮するものとされています。
統合失調症の認定基準
- 1級…高度の残遺状態又は高度の病状があるため高度の人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験が著明なため、常時の援助が必要なもの
- 2級…残遺状態又は病状があるため人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があるため、日常生活が著しい制限を受けるもの
- 3級…残遺状態又は病状があり、人格変化の程度は著しくないが、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があり、労働が制限を受けるもの
◎障害年金の申請について
ご自身で書類をしっかり準備したつもりが、症状に合った等級が認められないケースや、不支給となるケースが見受けられます。
このようなことを防ぐためには専門知識が必要となりますが、そうなると社労士に相談するか関連書籍を参照しなければなりません。
当サイトでは1分で障害年金をもらえるか、カンタン査定をいたします。
◎社労士への依頼も合わせてご検討ください
審査を受ける機会は審査請求、再審査請求を含めて3回あります。
しかし、1度目の請求で認められない場合、2度目以降で決定が覆るのは、たった14.7%となっています。より確実に認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
こちらも合わせてご検討ください。疑問などがございましたら、下記よりお気軽にお問い合わせください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
精神に関するその他のQ&A
- 働いていると障害年金を受給できないのは本当ですか?
- うつ病です。最近障害者雇用で働き始めたのですが、障害年金を申請しようと思ってネットで検索したら、働いていたらもらえないという記事が出てきました。でも、もっと検索したら働いていてももらえるという記事も出てきて、何が何だか分かりません。言われてみれば、働いていたらもらえないような気もします。働いていたら障害年金はもらえないのか、もらえるのか、どっちが正しいのですか。
- 障害年金2級は働けないレベルだそうですが、働きながら2級を受給している人がいると聞きました。
- 精神の障害で障害厚生年金2級を受給しながら働くことができるのでしょうか?障害年金2級は働けないレベルと聞いていますが、障害年金を受給しながら働いている人がいると聞きました。障害厚生年金2級を受給しながら働けるなら、ちょっとずつでも働きたいと考えているのですが…。
- 障害が完治したら、障害年金は止められてしまうのでしょうか?
- 私は発達障害で障害厚生年金3級を受給しています。しかし家族は病気にあまり理解がなく、いずれ治るものだと言います。もしも治る薬が開発されて障害が完治したら、障害年金は止められてしまうのでしょうか?
- 働いた収入より障害年金の方が多いのですが、それでも収入があると障害年金は止められますか?
- うつ病で障害年金2級を受給しています。当初、3級でしたがその後悪化して2級になりました。それでも生活のために働かざるを得ず、月に3万円ほどの仕事をしています。働いた収入より障害年金の方が多いので、障害年金が止められたら困るのですが、それでも収入があると障害年金は止められますか?それとも3級に下がりますか?
- 統合失調症で常に介助が必要な状態。障害年金1級になりますか?
- 母親が統合失調症です。現在、障害年金、障害者手帳ともに2級です。特別障害者手当も受給しています。現在の母は一人ではほとんど何もできず、常に介助が必要な状態です。障害年金は1級に上がるのではないかと思っていますがいかがでしょうか?