働いていると障害年金を受給できないのは本当ですか?

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働いていると障害年金を受給できないのは本当ですか?

中井智博
中井智博社会保険労務士
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公開日:

うつ病です。

最近障害者雇用で働き始めたのですが、障害年金を申請しようと思ってネットで検索したら、働いていたらもらえないという記事が出てきました。

でも、もっと検索したら働いていてももらえるという記事も出てきて、何が何だか分かりません。

言われてみれば、働いていたらもらえないような気もします。

働いていたら障害年金はもらえないのか、もらえるのか、どっちが正しいのですか。

「働いていると障害年金を受給できないんですよね!?」と質問されることが頻繁にあります。

インターネット上でそうした記事があるらしいので、この噂が本当か、以下の精神疾患にスポットを当てて、事例を紹介しながら検証していきます。

  • 統合失調症
  • うつ病
  • 双極性障害
  • 知的障害
  • 発達障害

それでは、精神障害で働いている場合の認定基準から確認しましょう。

認定基準を確認する。

現に仕事に従事している者については、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、

  • 療養状況…通院の状況や在宅での療養の状況等
  • 仕事の種類、内容
  • 就労状況…出勤状況への影響はないか
  • 仕事場で受けている援助の内容…就労の実態は不安定ではないか
  • 他の従業員との意思疎通の状況…臨機応変な対応や意思疎通に困難な状況が見られないか

等を十分確認したうえで日常生活能力を判断する。

参照元:国民年金・厚生年金 障害認定基準

認定基準には上記のように定められており、「働いていたら障害年金を受給できない」は認定基準上の根拠はないといえます。

次に、精神障害で働いている場合の障害年金の認定の割合を、統計データで確認しましょう。

統計データから検証する。

働いているからといって、不支給になるとは限りません。

障害年金の受給者のうち、34.06%の方々が働きながら受給しています。

受給者数 働いていない 働いている 働いている人の割合
2,096,000人 1,346,000人 714,000人 34.06%

参照元:年金制度基礎調査(障害年金受給者実態調査)

そして、精神の障害については、28.28%の方々が働きながら受給しています。

精神障害による
受給者数
働いていない 働いている 働いている人の割合
725,000人 508,000人 205,000人 28.28%

また、働いていることを理由に支給が認められなかった方が訴訟した結果、受給が認められた判例もあります。

このように、働いているからといって受給できないわけではないことがわかります。

それでは実際の受給事例から詳しく検証していきましょう。

事例1 病名:うつ病(障害者雇用で就労していたケース)

就労状況

・障害者雇用にて週5日勤務

・月給約19万円

・勤続3か月

病名

うつ病

障害年金の結果

障害厚生年金2級(年額約180万円)

考察

この方の場合、経済的な理由から障害者雇用にて就労を開始しましたが、日常生活面ではパートナーの献身的な支援を受けていました。

また、仕事の内容も緩やかなものに限定してもらう等配慮を受けていました。

こうした実際の状況を考えると、就労しているとはいえ、障害年金の等級に該当する可能性が考えられました。

そこで、職場からの配慮や日常生活で出ている支障について詳細に書類に記載しました。

結果、障害厚生年金2級を得ることができ、「まさか2級になるとは」と非常に喜んでおられました。

この事例から、障害者雇用で就労していたとしても、障害年金2級の認定を得られる可能性があることがわかります。

事例2 病名:注意欠如多動症(ADHD)、自閉症スペクトラム障害(障害者雇用で就労していたケース)

就労状況

障害者雇用にて週5日勤務

月給約25万円

勤続20年

病名

注意欠如多動症(ADHD)、自閉症スペクトラム障害

障害年金の結果

障害厚生年金3級(年額約73万円)

考察

この方の場合、障害者雇用ですが月給約25万円、賞与の支給もあり、かなり収入がありました。

元々一般雇用で勤めていましたが、ミスを頻発することから受診したところ、注意欠如多動症、自閉症スペクトラム障害と診断され、障害者雇用に切り替わったとのことで、仕事上の支障は大きなものでした。

障害者雇用に変わり、手厚く働きやすい環境を整えてもらって就労を継続していたため、障害厚生年金3級の「就労に著しい制限を受ける程度」に該当する可能性が考えられました。

そこで、職場での配慮やできないこと、苦手なことが明確になるように詳細に書類に記載しました。

結果、障害厚生年金3級を得ることができ、非常に喜んでおられました。

この事例から、障害者雇用で就労ししっかりとした収入があったとしても、障害年金の認定を得られる可能性があることが分かります。

事例3 病名:双極性障害(アルバイトで就労していたケース)

就労状況

アルバイトにて週3日程度勤務

月の給与額は6〜7万円

勤続1年

病名

双極性障害

障害年金の結果

障害基礎年金2級(年額約78万円)

考察

この方は、アルバイトとして月に約6〜7万円程度の収入がありました。

元々ご自身が通っていた放課後デイサービスでの就労でしたので、上司や同僚に症状をよく理解してもらっていました。

その上でプレッシャーがなく、また休憩を取りやすい環境を整えてもらい、1日の労働時間も短く設定してもらって就労を続けていましたので、十分に障害基礎年金2級の「日常生活に著しい制限を受ける程度」に該当する可能性が考えられました。

そこで、アルバイト先で受けている配慮やこれまでの病状の経過等を詳細に書類に記載しました。

結果、障害基礎年金2級を得ることができ、非常に喜んでおられました。

この事例から、アルバイトとして就労していたとしても、障害年金2級の認定を得られる可能性があることがわかります。

事例4 病名:知的障害(就労継続支援A型に通所していたケース)

就労状況

就労継続支援A型に週5日通所

月額約8万円

勤続2年

病名

知的障害

障害年金の結果

障害基礎年金2級(年額約78万円)

考察

この方は、就労継続支援A型に週5日通所し、月額約8万円程度の収入がありました。

この方は、特別支援学校を卒業後、就労継続支援A型に通所を開始、休むことなく順調に通っていました。

しかし、日常生活面では食事の準備や身辺の清潔保持、金銭管理も単身ではできず、母親の献身的なサポートの元で生活をしていました。

就労継続支援A型作業所での作業も箱折り等のごく単純なものであり、この状態は、十分に障害基礎年金2級の「日常生活に著しい制限を受ける程度」に該当する可能性が考えられました。

そこで、就労継続支援A型作業所での具体的な作業や日常生活状況等について詳細に書類に記載しました。

結果、障害基礎年金2級を得ることができ、非常に喜んでおられました。

この事例から、就労継続支援A型に休まず通所していたとしても、障害年金2級の認定を得られる可能性があることがわかります。

事例5 病名:うつ病(就労継続支援B型に通所していたケース)

就労状況

就労継続支援B型に週2〜3日通所

月額約5000円

勤続7年

病名

うつ病

障害年金の結果

障害厚生年金2級(年額約125万円)

考察

この方は、就労継続支援B型に週2〜3日通所し、月額約5000円程度の収入がありました。

B型作業所も安定して通所ができず、1日あたり3時間が限度でした。

過去に短時間のアルバイトに就いたこともありましたが、出勤しようとすると激しい動悸がする等の症状もあり、継続することができませんでした。

現在も体調に左右されることも多く、母親から日常生活面でサポートを受けながら生活しており、この状態は、十分に障害厚生年金2級の「日常生活に著しい制限を受ける程度」に該当する可能性が考えられました。

そこで、就労継続支援B型作業所での具体的な作業や日常生活状況等について詳細に書類に記載しました。

結果、障害厚生年金2級を得ることができ、非常に喜んでおられました。

この事例から、就労継続支援B型に通所していたとしても、障害年金2級の認定を得られる可能性があることがわかります。

事例6 病名:自閉症スペクトラム症(就労移行支援事業所に通所していたケース)

就労状況

就労はしていないが、就労移行支援事業所に週5日通所していた。

病名

自閉症スペクトラム症

障害年金の結果

障害基礎年金2級(年額約78万円)

考察

この方はまだ就労していませんでしたが、就労を目指して就労移行支援事業所に通所し、ビジネスマナーや対人スキル等を学んでいました。

就労を目指しているものの、コミュニケーションの問題や不注意、こだわりの強さから職業上の困難さを抱えていました。

これまでもアルバイトを試みても、いずれも継続できず短期で終わっていました。

日常生活においても同居の両親のサポートを受けながら生活をしているという状況であり、この状態は、障害基礎年金2級の「日常生活に著しい制限を受ける程度」に該当する可能性が考えられました。

そこで、意思疎通の状況、臨機応変な対応の困難さや日常生活状況等について詳細に書類に記載しました。

結果、障害基礎年金2級を得ることができ、非常に喜んでおられました。

この事例から、就労を目指して就労移行支援事業所に通所していたとしても、障害年金2級の認定を得られる可能性があることがわかります。

事例7 病名:統合失調症(正社員で就労していたケース)

就労状況

正社員として週5日勤務

月給約30万円

勤続14年

病名

統合失調症

障害年金の結果

障害厚生年金3級(年額約60万円)

考察

この方の場合、正社員として月給約30万円、賞与の支給もあり、かなりの年収がありました。

しかし、仕事内容は資料整理等のごく単純な業務に限られており、また、母親が会社へ車で送迎をしていました。

日常生活においても母親が献身的にサポートをしており、出勤以外はほとんど何もできないという状況でした。

収入がしっかりとあるものの、就労をするために受けている援助や配慮がなくなった場合に予想される状態を考えると、障害厚生年金3級の「就労に著しい制限を受ける程度」に該当する可能性が考えられました。

そこで、就労を継続するために受けている援助や具体的な日常生活状況等について詳細に書類に記載しました。

結果、障害厚生年金3級を得ることができ、非常に喜んでおられました。

この事例から、一般企業で就労している場合も、月収額だけでなく、就労の実態を総合的にみて判断され、正社員であったとしても障害年金の認定を得られる可能性があることがわかります。

次に不支給であった受給事例を検証してみましょう。

事例8 病名:知的障害(障害者雇用で就労、不支給となり相談に来られたケース)

就労状況

障害者雇用にてとして週5日勤務

月給約12万円

勤続8年

病名

知的障害

障害年金の結果

不支給

この方は障害者雇用にて就労し、勤続8年、給与は月に12万円ほどありました。

療育手帳B1をお持ちでしたので、当然受給できるものと考え、母親が障害年金を請求されましたが、結果は不支給に終わり、弊所にご相談にお見えになりました。

ここでは不支給と判断された理由を、不服申立ての決定書から考えていきます。

実際の状態

障害者雇用で就労していますが、ごく単純な作業に限られ、常時の見守りの元で就労していました。

「早めに」といったあいまいな指示は理解ができず、感情の抑制ができず些細な事で物を投げる、蹴る等手が付けられない状態となる等、十分に障害年金2級の「日常生活に著しい制限を受ける程度」に該当すると考えられました。

提出された書類の内容

「勤続8年、月に21日の勤務。現在はジョブコーチなしで就労ができている」

「将来一人になったときが心配なので、日常生活については日ごろから訓練している」

と記載されていました。

実際に受けている支援や日常生活状況については、提出された書類に記載されていませんでした。

不支給となった理由は

決定書では、障害者雇用で8年間、月に21日間の仕事をしており、ジョブコーチなしで就労ができている点、日常生活も日ごろから訓練してできていると記載している点を不支給とした理由として挙げられていました。

障害年金の審査は全て書類で行われますので、実際には様々な支援があったとしても書類に記載されていないことは考慮されません。

弊所でのサポート

実際の状況から十分に障害年金2級の「日常生活に著しい制限を受ける程度」に該当すると考えられました。

そこで、職場で受けている配慮や援助、日常生活の状況等について詳細に書類に記載して、再度請求を行いました。

結果、障害基礎年金2級を得ることができ、非常に喜んでおられました。

まとめ

認定基準、統計データ、過去の事例から検証した結果、以下のことがわかります。

就労しているかどうかだけでは、障害年金をもらえるかどうかは決まりません。

働いていたとしても、障害の状態を審査され、障害年金をもらえる可能性は考えられます。

ただし、認定を得られている事例では、仕事内容や職場での配慮、日常生活の状況等をしっかりと書類に落とし込んで請求をしていました。

一方、不支給であった事例では、実際の状況をしっかりと書類に落とし込めていませんでした。

このことから、就労している場合の障害年金の審査は、認定基準の通り審査されていると考えられます。

障害年金の審査について

障害年金の審査に、面接はありません。

すべて書類で審査されます。

そのため、書類だけで「日常生活にどのような制限を受けているのか」「働いているならどんな風に働いているのか」を審査機関に分かるように作成しなければなりません。

本当は障害年金を受給できる状態なのに、書類が不十分だからといって不支給になるのは残念なことです。

障害の状態の審査には、主に「診断書」と「病歴・就労状況等申立書」が使用されます。

診断書について

障害年金を請求するための診断書は、治療のための医学的な診断書ではなく、生活に必要な所得保障のための社会医学的な診断書です。

そのため、病気やけがなどによって日常生活にどれくらい影響を及ぼしているかがわかるように作成いただくことが大切です。

自分一人でお医者様に伝えることが難しい場合は、お医者様に伝えるべきポイントを整理するようサポート致しますのでお問い合わせください。

病歴・就労状況等申立書について

病歴・就労状況等申立書 病歴・就労状況等申立書2

これは、「発病から現在までの病状・治療の流れ」「日常生活の様子」を記述し、あなたの症状や生活状況が、障害年金の基準を満たすことを申し立てるものです。

適切な「病歴・就労状況等申立書」を作るために必要なことは以下の2点です。

  1. 自分自身の状況を客観的に把握すること
  2. 把握した内容を、審査機関に伝わるようにわかりやすく記述すること

ただでさえ障害を抱えて大変な状況なのに、時間と精神的・体力的な負担がかかる作業になるおそれがあります。

私にご相談いただければ、代筆いたします。

障害年金を受給するために

障害年金の申請は、国民年金法・厚生年金法や認定基準等をご存じない方がひとりで対応するには限界があります。

ご自分の生活がかかった大切なことなので、専門家である社労士に知識・経験を求めるのが最善の選択です。

「事務手数料の2万円を支払うのが惜しくて、とりあえず自分でやってみたけど不支給だった。なんとかしてください」というご相談をいただくケースがあります。

当然その時点からできる限りのサポートをさせていただくのですが、事後重症請求の方の場合、1か月請求が遅くなれば、障害基礎年金2級なら毎月約6万5千円ずつ捨てていくことになります。

最初にかかる2万円の事務手数料を惜しんだばかりに、障害年金の受け取りが数か月遅くなっては本末転倒です。

一人でわけも分からず不安いっぱいで戦うのではなく、あなたの代理人となって受給に向けて取り組んでくれる専門家である社労士を味方につけてください。

お気軽にお問合せください。

障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。

煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。

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