まず額改定請求について確認し、次に睡眠障害の取扱いについて確認しましょう。
額改定請求とは
額改定請求とは、すでに障害年金を受給している人が、病気やケガの症状が悪化して「障害の程度が重くなった」場合に、年金の等級を見直して受給額の増額を求める手続きです。
額改定請求には請求ができるタイミングが設けられています。
これを待機期間といいます。
額改定請求の待期期間
額改定請求は原則として、次の日を経過した日以降にすることができます。
- 障害認定日請求により受給権を得た場合は、障害認定日から1年経った日
- 事後重症請求により受給権を得た場合は、裁定請求日から1年経った日
- 以前に額改定請求をした場合は、額改定請求日から1年経った日
- 障害状態確認届(現況診断書)提出により減額改定された場合は、誕生月から3ヶ月後の1日から1年経った日
- 障害状態確認届(現況診断書)提出により等級変更がなかった場合は、いつでも可
なお、人工透析の開始や心臓移植など、「明らかに症状が重くなった」とされる特定の障害については、1年を待たずに額改定請求ができます。
本事案の場合
額改定請求を検討する場合、上記の待機期間が経過しているか否かの確認が必要です。
上記待期期間が経過している場合は、額改定請求が可能でしょう。
では、障害年金における睡眠障害の取扱いについて確認しましょう。
睡眠障害は、国際疾病分類(ICD-10)により神経症圏に区分されています。
神経症の取扱いについて
神経症にあっては、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則として、認定の対象となりません。
「神経症にあっては原則として認定対象とならない」とは、その傷病による障害については、それがどのようなものであっても、その状態をもって、障害等級に該当する程度以上の障害の状態にあたるものとはしない、との趣旨となっております。
ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症または気分障害に準じて取り扱うとされ、例外的に認定の対象となります。
なお、認定に当たっては、精神病の病態がICD-10による病態区分のどの区分に属す病態であるかを考慮し判断されます。
複数の精神疾患が併存している場合の認定について
うつ病とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定されます。
つまり、うつ病と発達障害が併存している場合、障害年金の審査では、別々に等級を出して足し合わせる(併合認定)のではなく、すべてを一つの病状としてまとめて評価されます。
一方、睡眠障害が併存した場合は、睡眠障害は原則として障害年金の認定の対象とされていませんので、睡眠障害による症状を除き、障害の程度を審査されます。
では、どのような状態ならうつ病、発達障害で障害年金を受給できるか、確認しましょう。
どのような状態ならうつ病、発達障害で障害年金を受給できるか
障害年金では、ケガや病気の程度に応じて等級が設定されています。
▼障害基礎年金
1級と2級
▼障害厚生年金
1級、2級、3級
障害が重い順に、1級、2級、3級となります。
1級、2級、3級の状態は、以下の通りとなっています。
| 障害年金の等級 |
障害の状態 |
3級 ※障害厚生年金のみ |
労働に著しい制限があるもの |
| 2級 |
日常生活に著しい制限があるもの |
| 1級 |
他人の介助がなければほとんど自分の用事を済ませることができないもの |
本事案の場合
睡眠障害は原則として障害年金の認定の対象とされていません。
そのため、睡眠障害による症状を除いて、認定対象となるうつ病、発達障害の障害の状態について審査をされます。
うつ病、発達障害の状態が悪化しており、上記2級に該当すると判断されれば、額改定請求により2級に改定されます。
睡眠障害の診断が加わったことで審査において有利になることはありませんが、額改定請求を前向きにご検討されてはいかがでしょうか。
障害年金を受給するために
障害年金の審査は、「しんどい」、「お金に困っている」、「悲しい」等ではなく、あくまで認定基準に該当しているか否かを審査されます。
そのため、国民年金法・厚生年金法や認定基準等をご存じない方がひとりで対応するには限界があります。
ご自分の生活がかかった大切なことなので、専門家である社労士に知識・経験を求めるのが最善の選択です。
一人でわけも分からず不安いっぱいで戦うのではなく、あなたの代理人となって受給に向けて取り組んでくれる専門家である社労士を味方につけてください。