てんかんとうつ病の初診日が違う場合は、どのように障害厚生年金の申請をすればよいのでしょうか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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私は40歳の時に髄膜炎のため開頭手術をし治癒したのですが、症候性てんかんを発症してしまいました。
しばらく脳外科に通院していましたが、抑うつ状態となったことから、43歳の時に精神科に初めて行きました。
それからは精神科でてんかんとうつ病の薬をもらっています。
現在50歳で失業中、今後の就労の見込みは厳しい状態です。
てんかんとうつ病で障害厚生年金の申請をしたいのですが、てんかんとうつ病の初診日が違う場合は、どのように申請をすればよいのでしょうか?
できれば遡及請求をしたいと思っているのですが、可能でしょうか?
本回答は2021年3月現在のものです。
ご質問者様のようなケースの場合、うつ病はてんかんが起因して発症したという考え方が一般的であることから、双方は「同一疾病」として扱われます。
そのため、初診日は、症候性てんかんを発症し、初めて治療を受けた日になることが考えられます。
ご質問者様の場合、脳外科で受診状況等証明書(初診日の証明書)を取得し、精神科で現時点の診断書を取得できれば、障害厚生年金の申請は可能です。
現在はてんかんとうつ病の治療を受けているとのことですので、それぞれの認定基準に照らし合わせて諸症状を総合的に判断し、等級に該当する程度であれば認定を得ることができます。
てんかんの認定にあたって
てんかんの認定に当たっては、
- 発作の重症度(意識障害の有無、生命の危険性や社会生活での危険性の有無など)
- 発作頻度
- 発作間欠期の精神神経症状や認知障害の結果、日常生活動作がどの程度損なわれ、そのためにどのような社会的不利益を被っているのかという、社会的活動能力の損減の程度
から認定されます。
様々なタイプのてんかん発作が出現し、発作間欠期に精神神経症状や認定障害を有する場合には、治療および病状の経過、日常生活状況等によっては、さらに上位等級に認定されます。
てんかんの認定基準
【1級】
- 十分な治療にかかわらず、てんかん性発作のA又はBが月に1回以上あり、かつ、常時の援助が必要なもの
【2級】
- 十分な治療にかかわらず、てんかん性発作のA又はBが年に2回以上、もしくは、C又はDが月に1回以上あり、かつ、日常生活が著しい制限を受けるもの
【3級】
- 十分な治療にかかわらず、てんかん性発作のA又はBが年に2回未満、もしくは、C又はDが月に1回未満あり、かつ、労働が著しい制限を受けるもの
(注)発作のタイプは以下の通りです。
- A:意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作
- B:意識障害の有無を問わず、転倒する発作
- C:意識を失い、行為が途絶するが、倒れない発作
- D:意識障害はないが、随意運動が失われる発作
うつ病の認定基準
- 1級…高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したりまたは頻繁に繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの
- 2級…気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したりまたは頻繁に繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの
- 3級…気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、その病状は著しくないが、これが持続したりまたは繰り返し、労働に制限を受けるもの
現在は失業中で、今後の就労の見込みは厳しい状態とのことですので、認定が得られる可能性が考えられます。
書類をそろえ、申請をご検討されてはいかがでしょうか。
なお、遡及請求をするためには、初診日から1年6か月経過した時点の診断書が必要です。
遡及請求とは
遡及請求とは、障害認定日に障害等級に該当しているが、知らなかったなどの理由で、障害認定日から1年以上経過して請求するものです。
障害認定日から3か月以内の診断書を取得することができれば、遡及請求を行うことができます。
ご質問者様の場合、当時はうつ病はなく、てんかんの症状のみであった場合は、てんかんの認定基準に照らして審査され、等級に該当すると判断された場合、認定を得ることができます。
◎障害年金の申請について
ご自身で書類をしっかり準備したつもりが、症状に合った等級が認められないケースや、不支給となるケースが見受けられます。
このようなことを防ぐためには専門知識が必要となりますが、そうなると社労士に相談するか関連書籍を参照しなければなりません。
当サイトでは1分で障害年金をもらえるか、カンタン査定をいたします。
◎社労士への依頼も合わせてご検討ください
審査を受ける機会は審査請求、再審査請求を含めて3回あります。
しかし、1度目の請求で認められない場合、2度目以降で決定が覆るのは、たった14.7%となっています。より確実に認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
こちらも合わせてご検討ください。疑問などがございましたら、下記よりお気軽にお問い合わせください。
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どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
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06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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