一生人工肛門なのですが、障害年金も永久に受給できるのでしょうか。

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一生人工肛門なのですが、障害年金も永久に受給できるのでしょうか。

中井智博
中井智博社会保険労務士
  • 詳しいプロフィール
公開日: 最終更新日:

私は中学生の頃から胃腸が弱く、18歳の時に潰瘍性大腸炎と診断されました。

20歳になる前に大腸を全摘し、現在は人工肛門を装着しています。

私の場合、肛門は手術で完全に取り去っていますので、一生人工肛門なのですが、障害年金も永久に受給できるのでしょうか。

ここでは以下について記載いたします。

  • 有期認定と永久認定について
  • 人工肛門を造設した場合の障害年金の請求について

障害年金の有期認定と永久認定について

障害年金は原則として1〜5年の有期認定となっており、更新制のようになっています。

切断による障害等、今後障害の状態が変化する見込みがないものについては、永久認定がなされる場合がありますが、精神疾患や内部疾患など、服薬などによって状態が変わる可能性が考えられるものについては、原則として有期認定となります。

本事案の場合

人工肛門を造設した場合でも有期認定となっている事例も多数あり、人工肛門であれば永久認定がされる、というものではありません。

永久認定とされるか否かは個々の事案ごとに決定されますが、

有期認定の場合でも更新を続けていくことで、結果として永久に受給していたというケースもあります。

本事案の場合、永久に受給できるか否かの前に、受給できるかどうかを検討する必要があるでしょう。

以下では、人工肛門を造設した場合の障害年金の受給の可否について記載します。

人工肛門を造設した場合の障害年金の認定について

人工肛門を造設したものは、障害年金の認定の対象とされているので基準を満たせば受給できます。

障害年金には、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。

種類 対象となる人
障害基礎年金 「初診日」に国民年金に加入していた人
障害厚生年金 「初診日」が厚生年金保険加入中にある人

※「初診日」とは、「病気やけがについて初めて医師の診療を受けた日」を指します

自営業者、フリーランス、専業主婦、無職の方は、障害基礎年金の対象となります。

障害の状態の前に、請求の条件を確認しましょう

障害年金を請求するためには以下の要件を満たしていることが前提となります。

このふたつの要件を満たしていれば、障害年金を請求することができ、障害の状態が基準に該当しているかどうか、審査を受けることができます。

審査の結果、基準に該当すると判断されれば、障害年金を受給することができます。

では、どのような状態なら障害年金を受給できるか、みていきましょう。

どのような状態なら人工肛門で障害年金を受給できるか

障害年金では、ケガや病気の程度に応じて等級が設定されています。

▼障害基礎年金
1級と2級

▼障害厚生年金
1級、2級、3級

障害が重い順に、1級、2級、3級となります。

1級、2級、3級の状態は、以下の通りとなっています。

障害年金の等級 障害の状態
3級
※障害厚生年金のみ
労働に著しい制限があるもの
2級 日常生活に著しい制限があるもの
1級 他人の介助がなければほとんど自分の用事を済ませることができないもの
人工肛門を造設した場合

人工肛門を造設した場合、原則として3級と認定されます。

なお、次のものは2級と認定されます。

  • 人工肛門を造設し、かつ、新膀胱を造設したもの又は尿路変更術を施したもの
  • 人工肛門を造設し、かつ、完全排尿障害(カテーテル留置又は自己導尿の常時施行を必要とする)状態にあるもの

※全身状態、術後の経過及び予後、原疾患の性質、進行状況等により総合的に判断し、さらに上位等級に認定する場合があります。

本事案の場合

本事案の場合、「18歳の時に潰瘍性大腸炎と診断されました」とのことですので、20歳前傷病の障害基礎年金の請求となるでしょう。

20歳前傷病の障害基礎年金とは…

先天性の病気などにより20歳前から障害があり、初診日が、20歳前(年金制度に加入していない期間)にあり、かつ、障害の状態が1級または2級に該当する場合には、障害基礎年金を受けることができます。

上記の通り、人工肛門を造設した場合、原則として3級に認定されますので、障害基礎年金の請求の場合、認定を得ることができません。

人工肛門を造設しでもなお状態が悪く、2級の状態に該当するか否かについて検討し、障害年金の請求をご検討されてはいかがでしょうか。

障害年金を受給するために

障害年金の審査は、「しんどい」、「お金に困っている」、「悲しい」等ではなく、あくまで認定基準に該当しているか否かを審査されます。

そのため、国民年金法・厚生年金法や認定基準等をご存じない方がひとりで対応するには限界があります。

ご自分の生活がかかった大切なことなので、専門家である社労士に知識・経験を求めるのが最善の選択です。

一人でわけも分からず不安いっぱいで戦うのではなく、あなたの代理人となって受給に向けて取り組んでくれる専門家である社労士を味方につけてください。

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障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。

煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。

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