最初に受診した病院のカルテがない場合、障害年金の申請はどのように行えばよいのでしょうか。

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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私は15歳の時にうつ病で精神科病院に入院したことがあり、その後しばらく通院していましたが、薬を飲みたくなかったのと、症状が少し良くなったので、途中で通うのをやめていました。
しかし、21歳の時にまた調子が悪くなってきて、別の精神科を受診したら、広汎性発達障害と診断されました。
現在25歳ですが、適応障害もあり働ける見込みもないので、障害年金の申請をしようと思っています。
私の場合、最初に病院を受診したのは5年以上前なので、おそらくカルテはないと思います。
このような場合、障害年金の申請はどのように行えばよいのでしょうか。
カルテの保存期間は5年間と義務付けられていますが、5年以上保管している病院はたくさんあります。
特にご質問者様の場合、入院したこともあるとのことですので、カルテが残っている可能性も考えられます。
まずは、当時の病院にカルテの有無について確認しましょう。
初診時のカルテが残っておらず証明書を取得できない場合でも、初診日を合理的に推定できるような一定の書類により、本人が申し立てた日を初診日と認められるケースがあります。
具体的に、次の場合には、審査の上、本人の申し立てた初診日が認められます。
- 初診日について第三者(隣人、友人、民生委員など)が証明する書類があり、他にも参考資料が提出された場合
- 初診日が一定の期間にあることを示す参考資料が提出され、保険料納付要件など一定の条件を満たしている場合
※第三者(三親等以内の親族は認められません)による確認項目は、以下の通りです。
- 発症から初診日までの症状の経過
- 初診日頃における日常生活上の支障度合い
- 医療機関の受診契機
- 医師からの療養の指示など受診時の状況
- 初診日頃の受診状況を知り得た状況 など
例えば、現在の病院を初めて受診した際に、15歳の時に精神科に通っていたことを話していて、そのことがカルテに記載されている場合は、証明となる場合があります。
いま一度、初診日の証明となる書類を探してみてはいかがでしょうか。
なお、20歳前に初診日があることが確認できれば、20歳前傷病の障害基礎年金の申請が可能となります。
20歳前傷病の障害基礎年金とは
先天性の病気などにより20歳前から障害があり、初診日が、20歳前(年金制度に加入していない期間)にあり、かつ、障害の状態が認定基準に該当する場合には、障害基礎年金を受けることができます。
等級は1級と2級があり、障害の程度によって決められます。
※初診日とは、出生直後に、あるいは乳幼児期の健康診断(6ヶ月〜3歳時健診)、または養護学校、更生相談所等の各種検査のいずれかにおいて、医師または歯科医師の診断により、20歳までに障害が確認されている場合や、療育手帳等が交付されている場合を含みます。
適応障害は障害年金の対象となりませんが、広汎性発達障害は対象となります。
次の認定基準の1級もしくは2級に該当する程度であれば、認定が得られる可能性が考えられます。
発達障害の認定について
発達障害については、たとえ知能指数が高くても社会行動やコミュニケーション能力の障害により対人関係や意思疎通を円滑に行うことが出来ないために日常生活に著しい制限を受けることに着目して認定をされます。
発達障害の認定基準
【1級】
以下1〜2を満たすもの
- 社会性やコミュニケーション能力が欠如している
- 著しく不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの
【2級】
以下1〜2を満たすもの
- 社会性やコミュニケーション能力が乏しい
- 不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの
【3級】
以下1〜2を満たすもの
- 社会性やコミュニケーション能力が不十分
- 社会行動に問題がみられるため、労働が著しい制限を受けるもの
(本回答は2022年9月現在のものです。)
障害年金の申請について
ご自身で書類をしっかり準備したつもりが、症状に合った等級が認められないケースや、不支給となるケースが見受けられます。
このようなことを防ぐためには専門知識が必要となりますが、そうなると社労士に相談するか関連書籍を参照しなければなりません。
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◎社労士への依頼も合わせてご検討ください
審査を受ける機会は審査請求、再審査請求を含めて3回あります。
しかし、1度目の請求で認められない場合、2度目以降で決定が覆るのは、たった14.7%となっています。より確実に認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
こちらも合わせてご検討ください。疑問などがございましたら、下記よりお気軽にお問い合わせください。
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障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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