生活保護を受ける前から国民年金が納付できていないのですが、障害年金の受給資格はあるのでしょうか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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私は30歳無職です。25歳から生活保護で生活しています。
家族に精神障害を疑われて半年前に検査をしたら、広汎性発達障害とわかりました。
家族に障害年金も申請しなさいと言われているのですが、私は生活保護を受ける前から生活に困窮していたため、国民年金が納付できていません。
この状態で障害年金の受給資格はあるのでしょうか?
半年前に検査をした時が初めて病院を受診した日(初診日)であれば、その時点では生活保護を受給しているため、国民年金保険料は法定免除になっているでしょう。
その場合は、障害年金の要件のひとつである「保険料納付要件」を満たしていることになるため、受給資格はあることが考えられます。
ただし、まだ初診日から半年しか経過していないため、申請できる時期(障害認定日)はまだ到来していません。
初診日とは
障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。
保険料納付要件とは
初診日の前日において以下の1または2を満たしている必要があります。
- 初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
- 初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと
※ただし、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、納付要件はありません。
法定免除とは
次に該当する「国民年金の第1号被保険者」は、届け出れば保険料が免除されます。
- 障害年金1級または2級を受けている
- 生活保護の生活扶助を受けている
- 国立及び国立以外のハンセン病療養所などで療養している
障害認定日とは
障害の程度の認定を行うべき日をいい、原則として、
- 「初診日」から起算して1年6月を経過した日
- 傷病が治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)
のいずれか早い日となります。
障害認定日時点の状態が次の認定基準の2級以上に該当する場合、受給が可能となります。
障害認定日の到来を待って申請をご検討されてはいかがでしょうか。
発達障害の認定について
発達障害については、たとえ知能指数が高くても社会行動やコミュニケーション能力の障害により対人関係や意思疎通を円滑に行うことが出来ないために日常生活に著しい制限を受けることに着目して認定をされます。
発達障害の認定基準
【1級】
以下1〜2を満たすもの
- 社会性やコミュニケーション能力が欠如している
- 著しく不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの
【2級】
以下1〜2を満たすもの
- 社会性やコミュニケーション能力が乏しい
- 不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの
【3級】
以下1〜2を満たすもの
- 社会性やコミュニケーション能力が不十分
- 社会行動に問題がみられるため、労働が著しい制限を受けるもの
なお、障害年金と生活保護は、両方とも満額もらうことはできません。
障害認定日の時点で生活保護を受けている場合は、次の調整を受けることになります。
生活保護と障害年金の関係
生活保護と障害年金の両方の受給権を得られた場合、障害年金は満額支給され、生活保護費の方が調整を受けることとなります。
生活保護と障害年金は以下のような関係になります。
- 最低生活費>障害年金の場合、障害年金は満額、最低生活費は障害年金との差額分が支給されます。
- 最低生活費<障害年金の場合、障害年金は満額、最低生活費は支給されません。
(本回答は2021年6月現在のものです。)
障害年金の申請について
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06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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