人工関節置換術を受けた右足の痛みがひどく睡眠障害となったため、障害年金2級に該当するでしょうか。

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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私は2年前に右足の変形股関節症のため人工股関節置換術を受けました。
その時に障害厚生年金3級がもらえると聞いたのですが、私が国民年金でしたので2級にならないと無理と言われ、仕方なく断念しました。
最近、右足の痛みがひどく、そのせいで夜も眠れず睡眠障害となり、何もできない状態です。
この状態は2級に該当するでしょうか。
まず、人工関節置換術を受けた場合の障害年金の取扱いを確認しましょう。
人工関節置換術を受けた場合の障害年金について
人工関節をそう入置換したものは、原則として障害厚生年金3級に相当します。
障害年金3級について
3級は、障害厚生年金にしかない等級です。
障害基礎年金の請求となるか、障害厚生年金の請求となるかは、初診日に加入していた年金制度によって決まります。
初診日の時点で厚生年金に加入している場合は、障害厚生年金の請求が可能となり、3級の認定を得ることができます。
しかし、初診日の時点で国民年金に加入している場合は、障害基礎年金の請求になるため、3級相当では障害年金を受給することができません。
ただし、両下肢の3大関節のうち1関節にそれぞれ人工関節のそう入手術を行い、以下の要件のすべてを満たした場合には、2級以上に認定することとされています。
- 立ち上がる、歩く、片足で立つ、階段を登る、階段を下りるなどの日常生活動作が、実用性に乏しいほど制限されていること。例えば、日常生活動作の多くが一人で全くできないか、または必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、非常に困難であること。
- 下肢障害の主な原因および程度評価の根拠が、自覚症状としての疼痛のみによるものではなく、医学的、客観的にその障害を生ずるに妥当なものであること。
- 下肢の障害の状態が、行動量、気候、季節などの外的要因により一時的に大きく変動するものではなく、永続性を有すること。
本事案の場合
本事案の場合、初診日時点で国民年金被保険者であり、2級以上に該当しなければ障害年金を受給できないところ、片足のみの人工関節置換術では2級に該当しないとの判断から断念したとのことでしょう。
では、睡眠障害についてもみていきましょう。
睡眠障害は、国際疾病分類(ICD-10)上、神経症に分類されています。
神経症の障害年金での取り扱いについて
神経症にあっては、その症状が長時間持続し、一見重症なものであっても、原則として、認定の対象とはなりません。
「神経症にあっては原則として認定対象とならない」とは、その傷病による障害については、それがどのようなものであっても、その状態をもって、障害等級に該当する程度以上の障害の状態にあたるものとはしない、との趣旨となっております。
ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症または気分障害に準じて取り扱うとされ、例外的に認定の対象となります。
なお、睡眠障害ではなく、うつ病や双極性障害などの診断名であれば、認定の対象となっています。
一度診断名を確認されてはいかがでしょうか。
精神の障害の認定基準
- 1級…精神の障害であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
- 2級…精神の障害であって、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
- 3級…精神に、労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
障害年金を受給するために
障害年金の審査は、「しんどい」、「お金に困っている」、「悲しい」等ではなく、あくまで認定基準に該当しているか否かを審査されます。
そのため、国民年金法・厚生年金法や認定基準等をご存じない方がひとりで対応するには限界があります。
ご自分の生活がかかった大切なことなので、専門家である社労士に知識・経験を求めるのが最善の選択です。
一人でわけも分からず不安いっぱいで戦うのではなく、あなたの代理人となって受給に向けて取り組んでくれる専門家である社労士を味方につけてください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
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このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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