糖尿病による左下腿切断、慢性腎不全の人工透析を行っています。障害厚生年金の申請はできますか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
-
私は50代男性、在職中です。
10年前に糖尿病による左下腿切断、3年前より慢性腎不全の人工透析を行っています。
この状態で障害厚生年金の申請はできますか?
また5年まで遡れると聞きましたが、どのように手続きをすればよいですか?
本回答は2019年2月現在のものです。
ご質問内容からは、具体的な糖尿病の初診日や、
その時点の保険料納付要件を満たしているかがわかりかねますが、
障害年金は、以下の支給要件を満たすことができれば、申請が可能となります。
障害年金を受給するための3つの条件
- 初診日要件…障害の原因となった病気やケガを医者か歯科医師に診てもらった日は、国民年金と厚生年金のどちらに加入していたか
- 保険料納付要件…一定以上の年金保険料を納めているかどうか。
- 障害認定日要件…厚生労働省が定めた「障害の基準」を満たしているかどうか
「初診日要件」とは
初診日は、国民年金と厚生年金のどちらに加入していたか、
その加入していた制度によって、もらえる年金の種類が決まります。
- 初診日が厚生年金被保険者期間中にある場合は、障害厚生年金
- 初診日が国民年金被保険者期間中にある場合は、障害基礎年金
- 初診日が20歳前または60歳以上65歳未満(国内に住んでいる方のみ)の年金未加入期間にある場合は、障害基礎年金
※初診日とは…障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。ただし、知的障害の場合は、出生日が初診日となります。
「保険料納付要件」とは
初診日の前日において以下の1または2を満たしている必要があります。
- 初診日の属する月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
- 初診日において65歳未満であり、初診日の属する月の前々月までの直近1年間に保険料の未納期間がないこと
※20歳前に初診日がある場合は、保険料納付要件は問われません。
「障害認定日要件」とは
障害認定日において、一定以上の障害状態にあるかどうかで判断されます。
※障害認定日とは、障害の程度の認定を行うべき日をいい、原則として、
- 初診日から起算して1年6月を経過した日
- 傷病が治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)
のいずれか早い日となります。
糖尿病性壊疽等の慢性合併症は、
糖尿病患者の血糖コントロールの困難な状態が長年にわたると発症することとなります。
そのため、糖尿病の初診日を特定することが困難なケースがあります。
ご質問者様の場合も、初診日は10年以上前になることが拝察されるため、
まずは初診日の特定を行いましょう。
障害認定日時点の診断書を取得することができれば、
遡及請求をすることが可能となります。
その時点の障害の状態が認定基準に該当すると判断された場合、
障害認定日にさかのぼって受給権が発生します。
ただし、年金を受け取る権利は、権利が発生してから5年を経過すると時効消滅します。
そのため、障害認定日の時点で認定が得られたとしても、
実際に支給を受けることが出来るのは、時効消滅していない直近の5年分となります。
糖尿病による障害の認定について
糖尿病による障害の程度は、
合併症の有無及びその程度、代謝のコントロール状態、治療及び症状の経過、
具体的な日常生活状況等を十分考慮し、総合的に認定するとされています。
糖尿病の認定基準
以下のすべてを満たすものについて、3級に認定されます。
- 90日以上のインスリン治療を行っている
- Cペプチド値、重症低血糖、糖尿病ケトアシドーシス、高血糖高浸透圧症候群のいずれかが一定の程度
- 日常生活の制限が一定の程度
症状、検査成績および具体的な日常生活状況等によっては、
さらに上位等級に認定されることも考えられます。
障害年金の下肢の欠損障害については、以下の通りです。
下肢の欠損障害について
【1級】
- 両下肢を足関節以上で欠くもの
※「足関節以上で欠くもの」とは、ショパール関節以上で欠くものをいう
【2級】
- 一下肢を足関節以上で欠くもの
【3級】
- 一下肢をリスフラン関節以上で失ったもの
また、現在は人工透析を行っているとのことですので、原則として2級と認定されます。
現在の診断書を取得し、申請をご検討されてはいかがでしょうか。
◎障害年金の申請について
ご自身で書類をしっかり準備したつもりが、症状に合った等級が認められないケースや、不支給となるケースが見受けられます。
このようなことを防ぐためには専門知識が必要となりますが、そうなると社労士に相談するか関連書籍を参照しなければなりません。
当サイトでは1分で障害年金をもらえるか、カンタン査定をいたします。
◎社労士への依頼も合わせてご検討ください
審査を受ける機会は審査請求、再審査請求を含めて3回あります。
しかし、1度目の請求で認められない場合、2度目以降で決定が覆るのは、たった14.7%となっています。より確実に認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
こちらも合わせてご検討ください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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