在宅酸素になりましたが、障害年金はもらえますか。

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在宅酸素になりましたが、障害年金はもらえますか。

中井智博
中井智博社会保険労務士
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公開日:

夫が肺がんになり、在宅酸素になりました。

今は休職中ですが、外出の際も酸素ボンベを引っ張って歩いています。

今までは工場で作業をする仕事をしていましたが、おそらく元の仕事には戻れないと思います。

今後が不安なのですが、障害年金はもらえますか。

ネットには「在宅酸素でもらえる!」と書いているページがありますが、「もらえなかった」という人もいるようです。

よろしくお願いします。

わが国では在宅酸素療法を必要とする慢性呼吸不全患者の数が次第に増加しており、2017年には16万人を上回る規模に達すると推定されています。

日本呼吸器学会の「在宅呼吸ケア白書」(2010年)によれば、原因病態は慢性閉塞性肺疾患(COPD)が45%を占め、次いで間質性肺炎18%、肺結核後遺症12%と報告されています。

引用元:日経メディカル「呼吸不全・在宅酸素療法」

在宅酸素療法を施行中のものは、障害年金の認定の対象とされているので基準を満たせば受給できます。

障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金です。

障害年金には、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。

種類 対象となる人
障害基礎年金 「初診日」に国民年金に加入していた人
障害厚生年金 「初診日」が厚生年金保険加入中にある人

※「初診日」とは、「病気やけがについて初めて医師の診療を受けた日」を指します

自営業者、フリーランス、専業主婦、無職の方は、障害基礎年金の対象となります。

障害の状態の前に、請求の条件を確認しましょう

障害年金を請求するためには以下の要件を満たしていることが前提となります。

このふたつの要件を満たしていれば、障害年金を請求することができ、障害の状態が基準に該当しているかどうか、審査を受けることができます。

審査の結果、基準に該当すると判断されれば、障害年金を受給することができます。

在宅酸素療法での障害年金請求について

在宅酸素療法とは、酸素を体内に取り込めない方が自宅など病院の外で、酸素を吸入しながら生活する治療法です。

引用元:健康長寿ネット「在宅酸素療法(HOT)」

常時(24時間)施行するためには、外出時は携帯用の酸素ボンベを用いるなど制限があり、また、風邪や疲労を契機に症状が悪化する場合もあるため、障害年金の認定の対象とされています。

まずは、どのような状態なら障害年金を受給できるか、みていきましょう。

どのような状態なら障害年金を受給できるか

障害年金では、ケガや病気の程度に応じて等級が設定されています。

▼障害基礎年金
1級と2級

▼障害厚生年金
1級、2級、3級

障害が重い順に、1級、2級、3級となります。

1級、2級、3級の状態は、以下の通りとなっています。

障害年金の等級 障害の状態
3級
※障害厚生年金のみ
労働に著しい制限があるもの
2級 日常生活に著しい制限があるもの
1級 他人の介助がなければほとんど自分の用事を済ませることができないもの
在宅酸素療法を施行中の障害年金について

常時(24時間)の在宅酸素療法を施行中のもので、かつ、軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度のものは、原則として3級と認定されます。

※常時(24時間)ではないものは、対象とはなりません。

※在宅酸素療法をしており、2級の認定が得られた事例はこちら

障害年金の受給額は以下の通りです。
障害等級 障害基礎年金 障害厚生年金
1級 年1,039,625円 年1,039,625円+報酬比例の年金額×1.25
2級 年831,700円 年831,700円+報酬比例の年金額
3級 報酬比例の年金額(最低保障額623,800円)

障害年金だけでは悠々自適な生活はできませんが、受給できれば、日常生活に大きな助けとなるでしょう。

このページの最後の方に弊所で手伝って受給できた事例を掲載していますので、そちらもご確認ください。

在宅酸素療法をしていても障害年金が不支給になる場合

在宅酸素療法を施行中のもので、かつ、軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度のものは、上記の通り原則として3級と認定されます。

そのため、障害基礎年金の請求(=2級以上でなければ受給できません)では認定を得ることが難しくなっています。

「在宅酸素療法をしているのに障害年金を受給できなかった」と弊所に相談に見える方が度々おられます。

在宅酸素療法をしているのに障害年金を受給できなかった理由は、十中八九「初診日が厚生年金加入期間ではない」というものです。

「初診日の証明」が何より重要!

受診状況等証明書

初診日の証明書(受診状況等証明書といいます)は、原則として、カルテに基づいて作成していただきます。カルテの保存期間は法律上5年間ですので、初診日に受診した医療機関にいかなくなってから5年以上経っている場合はカルテが破棄されていることがあります。

医療機関によっては5年より長い保存時間を定めているところもありますので、まずは連絡して確認しましょう。

初診日を確定できないと、

  • 障害基礎年金の請求か、障害厚生年金の請求か。
  • 保険料納付要件を満たしているか。
  • 障害認定日はいつか。

を決めることができません。

これは、どんなに現在の障害の状態が重くても、障害年金の請求手続きすべてが止まってしまうことを意味します。

自分ひとりでは初診日が分からない、確定できないという方はご相談ください。

初診日の確定のために探偵のようになります。

また、在宅酸素療法を施行中のものは受診状況等証明書の他に、「初診日に関する調査票」も提出する必要があります。

初診日の証明については、それだけ厳格さが求められます。

初診日に関する調査票:肺の病気用

初診日の証明についてご不安な方は、以下からお問い合わせください。

それでは手続きの流れを確認しましょう。

障害年金の請求手続きの流れ

「障害年金を請求しよう!」と思ってから請求までの大まかな流れは以下の通りとなります。

  1. 初診日はいつだったかを確認する
  2. 保険料納付要件を満たしているかを確認する
  3. 初診日を証明する
  4. 医師に診断書を書いていただく
  5. 病歴・就労状況等申立書を作成する
  6. その他の必要な書類を添付する
  7. 年金請求書とともに揃えた書類を提出する

以下では弊事務所でサポートした在宅酸素療法の受給事例を紹介いたします。

ご参考いただき「自分ももらえるのではないか」という可能性を考えてみましょう。

在宅酸素療法での受給事例

事例1 病名:肺線維症(初診日の特定が困難であった事例)

肺線維症のため在宅酸素吸入を常時しているため、3級の認定は得られるが、「念のため」とお考えになり、弊所にご相談にお見えになりました。

傷病名

肺線維症

障害の状態

肺線維症と診断され、すぐに在宅酸素療法を開始

就労状況

正社員

身体障害者手帳の等級

なし

労働能力及び日常生活能力

日常生活は休みながらゆっくり行う必要がある。坐位での労働は可能だが、会話で息切れがあり配慮が必要。

予後

不詳

認定が得られた障害年金の等級

障害厚生年金3級

障害年金の受給額

年額約62万円

本事例のポイント

以前からの膠原病との相当因果関係により、初診日の特定が困難であった。

肺線維症と診断され、ほどなく在宅酸素療法を施行されましたので、スムーズに請求ができるものと想定していました。

しかし、面談時の会話の中で「以前全身性エリテマトーデスで〜」といった話が出てきました。

さらに詳しくうかがうと、全身性エリテマトーデスの前には関節リウマチで受診もされていました。

相当因果関係について

障害年金の請求において、前の疾患または負傷がなかったならば後の疾病が起こらなかったであろうと認められる場合は、相当因果関係ありとみて前後の傷病は同一傷病として取り扱われます。

初診日の特定が困難を極めるケース

関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、肺線維症はすべて膠原病であるため、「相当因果関係があり」と扱われます。

そのため、肺線維症の初診日は、関節リウマチについて初めて医師等の診療を受けた日となり、10年以上も前となります。

10年以上も前の受診となりますので記憶も曖昧であり、また、カルテも破棄されており、初診日の特定が困難を極めました。

請求サポートさせていただき、無事3級の認定となりました。

数少ない手に入る資料から初診日を合理的に推認し、さらにその初診日に厚生年金に加入している必要がありました。

本事案では状態としては3級に該当すると見込めておりましたので、初診日の特定が受給の可否のカギとなっていました。

幸い病院のカルテは破棄されていましたが受診をしていた記録等から初診日を推認することができ、無事に障害厚生年金3級の認定を得ることができました。

ご本人様も簡単に認定を得られると考えていたところから思わぬ展開となりましたが3級の認定が得られたときには、とても安堵されておられました。

事例2 病名:肺がん(在宅酸素療法を開始し、2級の認定が得られて事例)

肺がんから常時在宅酸素療法を行いながら、仕事も続けておられました。

在宅酸素は原則として3級であるとご存知でしたが、2級の認定をご希望され、弊所にご相談にお見えになりました。

傷病名

肺がん

障害の状態

咳が止まらず、息苦しさを感じた。右肺がんと診断され、右肺全摘出術を受けた。その後、在宅酸素療法を開始

就労状況

正社員であった。

身体障害者手帳の等級

身体障害者手帳1級

労働能力及び日常生活能力

短距離の歩行などでも容易に呼吸困難感を自覚しする。労働、日常生活共に大きな制限が認められる。

予後

肺がんの予後に規定される。

認定が得られた障害年金の等級

障害厚生年金2級

障害年金の受給額

年額約260万円

本事例のポイント

在宅酸素療法を開始した場合、原則として3級に相当するが、2級を希望していた。

在宅酸素療法を施行中のものについて2級がもらえる場合

常時(24時間)の在宅酸素療法を施行中のもので、かつ、軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度のものは、原則として3級と認定されます。

ただし、臨床症状、検査成績及び具体的な日常生活状況等によっては、さらに上位等級に認定される場合があります。

どのような状態であれば2級に該当するか確認しましょう。

呼吸不全で障害年金2級に該当する場合

以下1,2の両方を満たすもの

1.A表及びB表の検査成績が中等度異常を示すもの

【A表 動脈血ガス分析値】

区分

検査項目

単位

軽度異常

中等度異常

高度異常

動脈血O2分圧

Torr

70~61

60~56

55以下

動脈血CO2分圧

Torr

46~50

51~59

60以上

(注)病状判定に際しては、動脈血 O2分圧値を重視する。

  【B表 予測肺活量1秒率】

検査項目

単位

軽度異常

中等度異常

高度異常

予測肺活量1秒率

40~31

30~21

20以下

2.以下のいずれかに該当すること

  • 身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の 50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
  • 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の 50%以上は起居しているもの

また、在宅酸素療法を施行中の場合、いつ障害年金を請求できるかを以下で確認しましょう。

在宅酸素療法を施行中の場合の障害認定日について

障害認定日とは、「障害の程度の認定を行うべき日」をいい、在宅酸素療法施行中の場合の障害認定日は、以下の「いずれか早い日」となります。

  • 初診日から起算して1年6月を経過した日
  • 在宅酸素療法を開始した日

本事案の方は、初診日から短期間で在宅酸素療法を開始していましたので、1年6月を待たず、在宅酸素療法を開始した日が障害認定日となりました。

請求サポートさせていただき、無事支給となりました。

本事案では、「在宅酸素療法をしても原則として3級」ということをご存知の上で、2級をご希望され、ご相談にお見えになりました。

最初に検査成績を検討すると、2級に該当する程度でした。

次に詳しく聞き取りをすると、就労を継続しているとはいえ、職場では現場作業ができないためデスクワークとなり、残業もできないため収入は大きく減少しました。

階段昇降がないように2階のロッカーを1階にしてもらったり、疲れた時はいつでも休めるようにしてもらうなど、多くの配慮を受けていました。

入浴も息苦しくなるためできず、日常生活にも制限を受ける状態でした

この状態は上記2級に該当する可能性が考えられました。

結果として、希望通り2級の認定が得られ、依頼者の方は大変喜んでおられました。

障害年金の審査について

障害年金の審査に、面接はありません。

すべて書類で審査されます。

そのため、書類だけで「日常生活にどのような制限を受けているのか」「働いているならどんな風に働いているのか」を審査機関に分かるように作成しなければなりません。

本当は障害年金を受給できる状態なのに、書類が不十分だからといって不支給になるのは残念なことです。

障害の状態の審査には、主に「診断書」と「病歴・就労状況等申立書」が使用されます。

診断書について

診断書:呼吸器疾患の障害用 診断書:呼吸器疾患の障害用2

障害年金を請求するための診断書は、治療のための医学的な診断書ではなく、生活に必要な所得保障のための社会医学的な診断書です。

そのため、病気やけがなどによって日常生活にどれくらい影響を及ぼしているかがわかるように作成いただくことが大切です。

自分一人でお医者様に伝えることが難しい場合は、お医者様に伝えるべきポイントを整理するようサポート致しますのでお問い合わせください。

病歴・就労状況等申立書について

病歴・就労状況等申立書 病歴・就労状況等申立書2

これは、「発病から現在までの病状・治療の流れ」「日常生活の様子」を記述し、あなたの症状や生活状況が、障害年金の基準を満たすことを申し立てるものです。

適切な「病歴・就労状況等申立書」を作るために必要なことは以下の2点です。

  1. 自分自身の状況を客観的に把握すること
  2. 把握した内容を、審査機関に伝わるようにわかりやすく記述すること

ただでさえ障害を抱えて大変な状況なのに、時間と精神的・体力的な負担がかかる作業になるおそれがあります。

私にご相談いただければ、代筆いたします。

障害年金を受給するために

障害年金の申請は、国民年金法・厚生年金法や認定基準等をご存じない方がひとりで対応するには限界があります。

ご自分の生活がかかった大切なことなので、専門家である社労士に知識・経験を求めるのが最善の選択です。

「事務手数料の2万円を支払うのが惜しくて、とりあえず自分でやってみたけど不支給だった。なんとかしてください」というご相談をいただくケースがあります。

当然その時点からできる限りのサポートをさせていただくのですが、事後重症請求の方の場合、1か月請求が遅くなれば、障害基礎年金2級なら毎月約6万5千円ずつ捨てていくことになります。

最初にかかる2万円の事務手数料を惜しんだばかりに、障害年金の受け取りが数か月遅くなっては本末転倒です。

一人でわけも分からず不安いっぱいで戦うのではなく、あなたの代理人となって受給に向けて取り組んでくれる専門家である社労士を味方につけてください。

お気軽にお問合せください。

障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。

煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。

どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。

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