障害年金をもらうか老齢年金を繰り上げるか、どちらが有利でしょうか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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障害年金の申請について質問させてください。
私の父は現在62歳で、去年に会社を退職しました。
再就職を予定していた矢先に、突然自宅で倒れ救急搬送されました。
脳出血のため右半身に麻痺が残り、今はまだ入院していますが、
リハビリの経過を見て退院の予定です。
もちろん再就職などできる状態ではありません。
そこで、障害年金をもらうか老齢年金を繰り上げるかしようと考えているのですが、
どちらが有利でしょうか?
本回答は2017年5月時点のものです。
脳出血のため右半身麻痺になったとのことですので、
重い障害が残ったものと推察いたします。
障害年金については、お父さまの場合、会社を退職後の62歳の時に、
自宅で倒れて救急搬送されたとのことですので、
その時が初診とされ、障害基礎年金の申請となります。
障害年金は、障害認定日が到来すれば申請が可能となります。
障害年金の受給額は平成29年現在、以下の通りとなっています。
障害年金の受給額(平成29年)
- 障害基礎年金1級…年974,100円
- 障害基礎年金2級…年779,300円
※障害基礎年金の受給権者に加算対象となる子がいる場合、子の加算を受けることができます。
脳出血などの脳血管疾患の場合の障害認定日は、以下の通りです。
脳血管疾患の障害認定日
脳血管疾患による障害の場合、障害認定日は
- 初診日から6か月経過後の症状固定日
- 初診日から1年6か月を経過した日
のいずれか早い方の日となります。
半身まひの各等級に相当すると認められるものを一部例示すると、以下の通りです。
半身まひの認定基準
【1級】
- 一上肢及び一下肢の用を全く廃したもの…日常生活における動作のすべてが「一人で全くできない」又はこれに近い状態
【2級】
- 一上肢及び一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの…日常生活における動作の多くが「一人で全くできない場合」又は日常生活における動作のほとんどが「一人でできるが非常に不自由な場合」
一方、老齢年金の繰り上げ受給額については、
加入していた被保険者期間や平均標準報酬額、請求時の年齢等から計算されます。
詳しくはお近くの年金事務所でご確認ください。
障害年金は非課税所得となりますが、老齢年金は課税対象となっています。
障害年金は原則として有期認定のため、1〜5年ごとに更新の手続きが必要ですが、
老齢年金にはそのような手続きはありません。
また、障害者特例による特別支給の老齢厚生年金を受けることができる場合もあります。
特別支給の老齢厚生年金の障害者特例について
特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始を、
報酬比例部分の支給開始と同じにするというのが、障害者特例です。
障害者特例を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 昭和36年4月1日以前生まれの男性、または昭和41年4月1日以前生まれの女性
- 過去に12カ月以上厚生年金に加入
- 現在は厚生年金に加入していない
- 年金保険料の納付月数と免除月数の合算月数が300月以上
- 障害等級3級以上に該当
- 障害者特例の老齢厚生年金を請求
どちらが有利かについてはお答えしかねますが、
それぞれを比較、考慮して有利な方を選ばれてはいかがでしょうか。
障害年金の申請について
障害の状態によって等級が決まりますが、
提出書類によって、2級相当の状態なのに3級となったり不支給となったり
というケースが数多くあります。
そのため関連書籍をご購入の上、申請されることをお勧めします。
審査のチャンスは審査請求、再審査請求を含めて3回ありますが、
1度目に不支給となると再審査請求で支給が決定するのは14.7%となっています。
慎重にご準備ください。
申請の流れはこちらにて解説していますので、ご参考にしてください。
社労士への依頼も合わせてご検討ください
よりスムーズに認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
私は元厚生労働省の事務官ですので、
役所の論理・理屈を理解しており、これまで90%以上の確率で認定を得ています。
もし社労士への依頼を検討される場合は、こういった点も合わせてお考えください。
疑問などがございましたら、下記お問い合わせフォームからお気軽にご質問ください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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