障害年金の初診日がいつか、受給資格があるのかすらわかりません。

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
-
私は数年前に左足に人工関節術をしたのですが、
今回、右足も人工関節をすることになりました。
そこで障害年金申請を考えていますが、初診日がいつなのか、
厚生年金なのか国民年金なのか、さっぱりわかりません。
国民年金も未納期間が数年あるため、そもそも受給資格があるのかどうかすらわかりません。
こんな状況で障害年金の申請ができますでしょうか?
私の経歴について
- 平成2年10月にバイク事故で左足負傷。数回の通院のみ。(22歳大学生のため国民年金は未加入)
- 平成3年4月一般企業に入社。(厚生年金加入)
- 平成10年4月、家業を継ぐため退職(国民年金加入。その後未納期間あり)
- 平成23年5月ごろから左足が痛みがひどくなり通院開始。
- 平成26年8月、左足に人工関節術
- 今年、右足の人工関節術予定
本回答は2017年8月時点のものです。
まず、初診日についてですが、
22歳の時のバイク事故と現在の人工関節と、相当因果関係がある場合は、
事故当時が初診日となります。
ただし、22歳で大学生のため国民年金は未加入、とありますので、
その時を初診日として障害年金申請をすることは難しいでしょう。
しかし、障害年金には社会的治癒という考え方があります。
社会的治癒とは
社会的治癒とは、医療を行う必要がなくなり社会復帰して、
無症状で医療を受けることなく相当期間(傷病にもよりますが、少なくとも5年程度)
経過している場合に、前の傷病と後の傷病を分けて取り扱う考え方です。
ご質問者様も、20年以上は問題なく生活をしていたのであれば、
平成23年5月頃に通院を開始したときを初診日と主張し申請することで、
社会的治癒が認められる可能性も考えられます。
平成23年5月頃を初診日として主張する場合は、
障害基礎年金の申請となります。
また、保険料納付要件を満たす必要があります。
未納期間が数年あるとのことですので、
免除申請がされていないか等について確認する必要があるでしょう。
障害厚生年金か障害基礎年金か
障害厚生年金を受給できるか、障害基礎年金の受給となるかは、
初診日に加入していた年金制度によって決まります。
- 初診日が厚生年金被保険者期間中にある場合は、障害厚生年金
- 初診日が国民年金被保険者期間中にある場合は、障害基礎年金
- 初診日が20歳前または60歳以上65歳未満(国内に住んでいる方のみ)の年金未加入期間にある場合は、障害基礎年金
「保険料納付要件」とは
初診日の前日において以下の1または2を満たしている必要があります。
- 初診日の属する月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
- 初診日において65歳未満であり、初診日の属する月の前々月までの直近1年間に保険料の未納期間がないこと
※20歳前に初診日がある場合は、保険料納付要件は問われません。
人工関節をそう入したものは、原則として3級と認定されます。
3級は厚生年金にしかない等級です。
障害基礎年金の等級は1級および2級のみのため、
障害基礎年金の申請で3級相当では不支給となります。
ただし、両下肢それぞれに行った場合、2級に認定される場合があります。
両下肢に人工骨頭または人工関節をそう入置換した場合
両下肢の3大関節のうち1関節にそれぞれ人工骨頭または人工関節の
そう入置換手術を行った場合の障害認定については、
以下の要件のすべてを満たした場合には、2級以上に認定することとされています。
- 立ち上がる、歩く、片足で立つ、階段を登る、階段を下りるなどの日常生活動作が、実用性に乏しいほど制限されていること。例えば、日常生活動作の多くが一人で全くできないか、または必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、非常に困難であること。
- 下肢障害の主な原因および程度評価の根拠が、自覚症状としての疼痛のみによるものではなく、医学的、客観的にその障害を生ずるに妥当なものであること。
- 下肢の障害の状態が、行動量、気候、季節などの外的要因により一時的に大きく変動するものではなく、永続性を有すること。
今後、右足の人工関節術を予定されているとのことですので、
手術をしてもなお、上記の要件すべてを満たしている場合は、
2級の認定を得られる可能性も考えられます。
なお、社会的治癒が認められない場合、
特別障害給付金が支給される場合があります。
特別障害給付金制度について
国民年金に任意加入していなかったことにより、
障害基礎年金等を受給していない障害者の方について、
国民年金制度の発展過程において生じた特別な事情にかんがみ、
福祉的措置として「特別障害給付金制度」が創設されました。
【支給対象者】
- 平成3年3月以前に国民年金任意加入対象であった学生
- 昭和61年3月以前に国民年金任意加入対象であった被用者等の配偶者であって、当時、任意加入していなかった期間内に初診日があり、現在、障害基礎年金の1級、2級相当の障害の状態にある方。
※65歳に達する日の前日までに当該障害状態に該当された方に限られます。
また、障害基礎年金や障害厚生年金、障害共済年金などを受給することができる方は
対象になりません。
【支給額】
障害基礎年金1級相当に該当する方:平成29年度基本月額51,400円
障害基礎年金2級相当に該当する方:平成29年度基本月額41,120円
特別障害給付金を申請する場合でも、
診断書や病歴・就労状況等申立書等が必要となります。
障害年金の申請について
障害の状態によって等級が決まりますが、
提出書類によって、2級相当の状態なのに3級となったり不支給となったり
というケースが数多くあります。
そのため関連書籍をご購入の上、申請されることをお勧めします。
審査のチャンスは審査請求、再審査請求を含めて3回ありますが、
1度目に不支給となると再審査請求で支給が決定するのは14.7%となっています。
慎重にご準備ください。
申請の流れはこちらにて解説していますので、ご参考にしてください。
社労士への依頼も合わせてご検討ください
よりスムーズに認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
疑問などがございましたら、下記お問い合わせフォームからお気軽にご質問ください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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