網膜色素変性症で障害年金2級相当と思われます。5年間さかのぼって請求できますか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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障害年金を受給申請しようと思ってますが、
初診日は16歳の時で、障害認定日は初診日より1年6ヶ月後の17歳。
現在は27歳ですが、網膜色素変性症という進行性の目の病気で、
障害年金2級相当と思われます。この状況でも5年間さかのぼって請求できますか?
本回答は2017年8月時点のものです。
障害年金の請求において、遡って請求することを遡及請求といいます。
遡及請求とは
遡及請求とは、障害認定日に障害等級に該当しているが、
知らなかったなどの理由で、障害認定日から1年以上経過して請求するものです。
20歳前に初診日がある場合の障害認定日は、以下の通りです。
20歳前傷病の障害基礎年金の障害認定日
20歳前傷病の障害基礎年金の障害認定日は、
- 20歳の誕生日
- 請求する傷病の初診日から起算して1年6か月を経過した日
のいずれか遅い方となります。
ご質問者様の場合、初診日が16歳の時とのことですので、
障害認定日は17歳の時ではなく、20歳の誕生日となります。
20歳の誕生日の前後3か月の診断書を取得することができ、
その時の障害の状態が2級以上に該当している場合は、
遡及して障害年金を受給することができます。
遡及請求が認められた場合、
実際に支給を受けることが出来るのは時効消滅していない直近の5年分となります。
網膜色素変性症の特徴的な症状は、
夜盲(暗いところでものが見えにくい)、
視野狭窄(視野が狭い)、視力低下の3つがあります。
視野障害の認定基準は、次のいずれかを満たすものとなっています。
視野障害の認定基準
【2級】
- 両眼の視野が5度以内(I/2視標)
- 両眼の視野が10度以内(I/4視標)であり、かつ中心10度以内の8方向の残存視野のそれぞれの角度の合計が56度以下(I/2視標)
【3級】(症状が固定していないもの)
- 両眼の視野が10度以内のもの
- 両眼による視野が2分の1以上欠損したもの…片眼ずつ測定し、それぞれの視野表を重ね合わせることで、測定した視野の面積が生理的限界の面積の1/2以上欠損しているもの
障害年金の視力障害の認定基準は以下の通りとなっております。
視力障害の認定基準について
- 1級…両眼の視力の和が0.04以下のもの
- 2級…両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの
- 3級…両眼の視力が0.1以下に減じたもの、または、障害手当金の程度であり症状固定していないもの
- 障害手当金…両眼の視力が0.6以下に減じたもの、または、一眼の視力が0.1以下に減じたもの
視力障害と視野障害が併存している場合
視力障害と視野障害が併存している場合、併合認定の取扱いを行われます。
ご質問内容からは、具体的な障害の状態がわかりかねますので、
受給の可否については判断いたしかねますが、
上記の認定基準に該当している場合は、受給の可能性も考えられます。
遡及請求をするのであれば、20歳の誕生日の前後3か月の診断書と、
現在の診断書を取得し、申請をしましょう。
20歳前障害の障害年金の申請について
初診日が古くなると初診日の特定と証明が非常に困難になります。
初診日の特定と証明、十分な書類作成等、
申請に必要な書類の準備には専門知識が必要ですので、
関連書籍をご購入の上、申請されることをお勧めします。
審査のチャンスは審査請求、再審査請求を含めて3回ありますが、
1度目に不支給となると再審査請求で支給が決定するのは14.7%となっています。
慎重にご準備ください。
申請の流れはこちらにて解説していますので、ご参考にしてください。
社労士への依頼も合わせてご検討ください
よりスムーズに認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
疑問などがございましたら、下記お問い合わせフォームからお気軽にご質問ください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
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06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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