在宅酸素をした場合は、その日にさかのぼって障害年金3級がもらえるのですか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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10年前から喘息のような症状があり治療をしていました。
あまり良くならないため転々と病院を変えて、
最終的に大学病院で落ち着き、3年前から在宅酸素をしています。
初診日は厚生年金でしたので、障害年金3級がもらえると聞きました。
在宅酸素をした場合は、その日にさかのぼってもらえると聞きましたが、
私の場合は3年分がもらえるのでしょうか?
本回答は2018年4月現在のものです。
在宅酸素療法を施行中のものについて
原則として、以下のいずれも満たしているものは、3級と認定されます。
- 常時(24時間)の在宅酸素療法を施行中
- 軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度
なお、臨床症状、検査成績及び具体的な日常生活状況等によっては、
さらに上位等級に認定するとされています。
障害年金の請求において、
障害認定日にさかのぼって請求することを遡及請求といいます。
遡及請求とは
遡及請求とは、障害認定日に障害等級に該当しているが、
知らなかったなどの理由で、障害認定日から1年以上経過して請求するものです。
障害認定日から3か月以内の診断書を取得することができれば、
遡及請求を行うことができます。
障害認定日とは
障害認定日とは、障害の程度の認定を行うべき日をいい、原則として、
- 初診日から起算して1年6月を経過した日
- 傷病が治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)
のいずれか早い日となります。
在宅酸素療法を施行中の場合の障害認定日は、
上記の1、もしくは在宅酸素療法を開始した日のいずれか早い日となります。
ご質問様の場合、初診日は10年前と拝察いたしますので、
その日から起算して1年6月を経過した日が認定日になります。
遡及請求を行う場合は、その時点の診断書を取得し、申請をします。
その時点の障害の程度が認定基準に該当すると判断された場合、
さかのぼって支給されます。
慢性気管支喘息の認定については、以下の通りです。
慢性気管支喘息の認定について
慢性気管支喘息については、症状が安定している時期においての症状の程度、
使用する薬剤、酸素療法の有無、検査所見、具体的な日常生活状況等を把握して、
総合的に認定することとされています。
各等級に相当する障害の状態は以下の通りです。
慢性気管支喘息の認定基準
【1級】
- 最大限の薬物療法を行っても発作強度が大発作となり、無症状の期間がない。
- 身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの
- 予測肺活量 1 秒率が高度異常(測定不能を含む)、かつ、動脈血ガス分析値が高度異常で常に在宅酸素療法を必要とするもの
【2級】
- 呼吸困難を常に認める。
- 常時とは限らないが、酸素療法を必要とする。
- 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の 50%以上は起居しているもの、または、身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の 50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
- プレドニゾロンに換算して1日10mg相当以上の連用、又は5mg相当以上の連用と吸入ステロイド高用量の連用を必要とするもの
【3級】
- 喘鳴や呼吸困難を週 1 回以上認める。
- 非継続的なステロイド薬の使用を必要とする場合がある。
- 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の 50%以上は起居しているもの、または、軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの。
- 吸入ステロイド中用量以上及び長期管理薬を追加薬として2剤以上の連用を必要とし、かつ、短時間作用性吸入β2刺激薬頓用を少なくとも週に 1 回以上必要とするもの
上記の症状は、的確な喘息治療を行い、
なおもその症状を示すものであることとされています。
ご質問内容からは、検査成績、日常生活状況等の詳細がわかりかねますので、
障害等級に該当するかについては判断いたしかねますが、
遡及請求が認められた場合、
障害認定日の翌月分から申請した月までの分がまとめて支給されます。
ただし、年金を受ける権利は、権利が発生してから5年を経過すると時効消滅します。
そのため、障害年金を遡及請求をしたとしても、
実際に支給を受けることが出来るのは時効消滅していない直近の5年分となります。
障害年金の申請について
障害の状態によって等級が決まりますが、
提出書類によって、2級相当の状態なのに3級となったり不支給となったりというケースが
数多くあります。
そのため関連書籍をご購入の上、申請されることをお勧めします。
審査のチャンスは審査請求、再審査請求を含めて3回ありますが、
1度目に不支給となると再審査請求で支給が決定するのは14.7%となっています。
慎重にご準備ください。
申請の流れはこちらにて解説していますので、ご参考にしてください。
社労士への依頼も合わせてご検討ください
よりスムーズに認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
疑問などがございましたら、下記お問い合わせフォームからお気軽にご質問ください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
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06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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