初診日が厚生年金加入の時であれば、障害年金の遡及請求ができますか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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私は現在32歳の無職の女です。初診日が24歳の頃なのですが、
広汎性発達障害は、20歳以前の疾患ということで、障害基礎年金で申請すべきでしょうか。
それとも初診日時点では、厚生年金に加入していたので、
障害厚生年金で申請すべきでしょうか。
それから以前に「広汎性発達障害は20歳以前の障害なので、遡及請求はできません。」
と言われたのですが、
初診日が厚生年金加入の時であれば遡及請求ができますか?
本回答は2018年1月時点のものです。
初診日とは
初診日とは、障害の原因となった傷病について、
初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。
発達障害は、通常低年齢で発症する疾患ですが、
知的障害を伴わない者が発達障害の症状により、
初めて受診した日が20歳以降であった場合は、その受診日を初診日とします。
ご質問者様の場合、初診日が24歳の頃で厚生年金に加入していたのであれば、
障害厚生年金の申請になります。
障害年金の請求において、さかのぼって請求することを遡及請求といいます。
遡及請求とは
遡及請求とは、障害認定日に障害等級に該当しているが、
知らなかったなどの理由で、障害認定日から1年以上経過して請求するものです。
遡及請求は、
障害認定日から3か月以内の診断書を取得することができれば、行うことができます。
障害認定日とは
障害認定日とは、障害の程度の認定を行うべき日をいい、原則として、
- 初診日から起算して1年6月を経過した日
- 傷病が治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)
のいずれか早い日となります。
なお、20歳前傷病の場合でも、同様に診断書を取得することができれば、
遡及請求は可能です。
20歳前傷病の障害基礎年金の障害認定日
20歳前傷病の障害基礎年金の障害認定日は、
- 20歳の誕生日
- 請求する傷病の初診日から起算して1年6か月を経過した日
のいずれか遅い方となります。
障害認定日の時点で障害の状態が障害等級に該当すると判断された場合、
障害年金が支給されます。
発達障害の認定基準は、以下の通りです。
発達障害の認定について
発達障害については、
たとえ知能指数が高くても社会行動やコミュニケーション能力の障害により
対人関係や意思疎通を円滑に行うことが出来ないために
日常生活に著しい制限を受けることに着目して認定をされます。
発達障害の認定基準
【1級】
以下1〜2を満たすもの
- 社会性やコミュニケーション能力が欠如している
- 著しく不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの
【2級】
以下1〜2を満たすもの
- 社会性やコミュニケーション能力が乏しい
- 不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの
【3級】
以下1〜2を満たすもの
- 社会性やコミュニケーション能力が不十分
- 社会行動に問題がみられるため、労働が著しい制限を受けるもの
ご質問内容からは、日常生活状況等がわかりかねますが、
上記の認定基準を参考にしていただき、申請を検討されてはいかがでしょうか。
障害年金の申請について
障害の状態によって等級が決まりますが、
提出書類によって、2級相当の状態なのに3級となったり不支給となったり
というケースが数多くあります。
そのため関連書籍をご購入の上、申請されることをお勧めします。
審査のチャンスは審査請求、再審査請求を含めて3回ありますが、
1度目に不支給となると再審査請求で支給が決定するのは14.7%となっています。
慎重にご準備ください。
申請の流れはこちらにて解説していますので、ご参考にしてください。
社労士への依頼も合わせてご検討ください
よりスムーズに認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
疑問などがございましたら、下記お問い合わせフォームからお気軽にご質問ください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
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06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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