傷病手当金が終了したら、首の捻挫とうつ病の両方で障害年金を申請するのですか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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私は半年前に事故に遭い、首を捻挫しました。
仕事ができないので傷病手当金を受けながら休職しているのですが、
首の痛みからうつ状態となり、精神科にも通院しています。
このまま職場復帰ができない場合は、障害年金の申請を考えているのですが、
その場合は、首の捻挫とうつ病の両方で障害年金を申請するのですか?
本回答は2019年11月現在のものです。
それぞれの障害の程度によって、
両方の障害で申請をするか、片方の障害で申請するかを決めることになります。
両方の障害がともに2級に相当する場合は、併合で1級になりますが、
2級と3級の場合は、1級にはならないため、有利な方を選択することになります。
また、両方とも3級相当の場合、2級になる場合もありますが、
多くの場合、どちらか有利な方を選択することになります。
例えば、首の捻挫から上肢の機能障害に及んだケースでは、
以下の認定基準により審査されることが考えられます。
上肢の機能障害の認定基準
【1級】
両上肢の機能に著しい障害を有するもの。
具体的には、両上肢の3大関節中それぞれ2関節以上の関節が、次のいずれかに該当するもの
- 不良肢位で強直しているもの
- 関節の他動可動域が、参考可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの
- 筋力が著減または消失しているもの
【2級】
1.一上肢の機能に著しい障害を有するもの。
具体的には、一上肢の3大関節中いずれか2関節以上の関節が、
- 不良肢位で強直しているもの
- 関節の他動可動域が、健側の他動可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの
- 筋力が著減または消失しているもの
2.両上肢の機能に相当程度の障害を残すもの
- 両上肢の3大関節中それぞれ1関節の他動可動域が、参考可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの
【3級】
1.一上肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの。
「用を廃したもの」とは、関節の他動可動域が健側の他動可動域の2分の1以下に制限されたもの又はこれと同程度の障害を残すものをいう。
2.一上肢の機能に相当程度の障害を残すもの。
例えば、一上肢の3大関節中1関節が不良肢位で強直しているもの
3.両上肢に機能障害を残すもの
例えば、両上肢の3大関節中1関節の筋力が半減しているもの
また、うつ病の認定基準は、以下の通りです。
うつ病の認定基準
- 1級…高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したりまたは頻繁に繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの
- 2級…気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したりまたは頻繁に繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの
- 3級…気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、その病状は著しくないが、これが持続したりまたは繰り返し、労働に制限を受けるもの
ご質問内容からは、それぞれの障害の程度が分かりかねるため、
両方で申請をした方がよいか、どちらか一方で申請すればよいかの判断は致しかねますが、
両方で申請をする場合は、それぞれの診断書を取得し、
それぞれの病歴就労状況等申立書を作成する必要があります。
これらのことを踏まえて、申請をご検討されてはいかがでしょうか。
なお、首の捻挫の初診日は、半年前の事故の時になることが考えられ、
症状が固定してる場合は、障害認定日が到来している可能性が考えられますが、
うつ病の初診日は、事故の時ではなく、うつ病について初めて診療等を受けられた日となります。
障害認定日は、初診日から1年6か月経過した日になるため、
まだ障害認定日は到来していないことが考えられます。
そのため、うつ病で申請をする場合は、障害認定日の到来を待って申請することになります。
初診日とは
障害の原因となった傷病について、
初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。
具体的には次のような場合が初診日とされます。
- 初めて診療を受けた日(治療行為又は療養に関する指示があった日)
- 同一の傷病で転医があった場合は、一番初めに医師等の診療を受けた日
- 過去の傷病が治癒し同一傷病で再度発症している場合は、再度発症し医師等の診療を受けた日
- 傷病名が確定しておらず、対象傷病と異なる傷病名であっても、同一傷病と判断される場合は、他の傷病名の初診日が対象傷病の初診日
- 障害の原因となった傷病の前に、相当因果関係があると認められる傷病があるときは、最初の傷病の初診日が対象傷病の初診日
※ただし、知的障害の場合は、出生日が初診日となります。
障害認定日とは
障害の程度の認定を行うべき日をいい、原則として、
- 初診日から起算して1年6月を経過した日
- 傷病が治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)
のいずれか早い日となります。
◎障害年金の申請について
ご自身で書類をしっかり準備したつもりが、症状に合った等級が認められないケースや、不支給となるケースが見受けられます。
このようなことを防ぐためには専門知識が必要となりますが、そうなると社労士に相談するか関連書籍を参照しなければなりません。
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◎社労士への依頼も合わせてご検討ください
審査を受ける機会は審査請求、再審査請求を含めて3回あります。
しかし、1度目の請求で認められない場合、2度目以降で決定が覆るのは、たった14.7%となっています。より確実に認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
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お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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